やなせたかし『何のために生まれてきたの?』を読んで。アンパンマンよ永遠に。

何のために生まれてきたの? (100年インタビュー)

小学生のころ、パンパンに太っていたので「アンパンマンに似てる!」とよく言われてました、どうも鳥井(@hirofumi21)です。

当時はもちろん嫌だったんですが、今考えるといい思い出です。笑

そして、甥っ子が今まさにアンパンマンにハマっている最中なので、今回のやなせたかしさんがお亡くなりになったというニュースは、なんだか他人事とは思えませんでした。

そんな中、フィードを眺めていたらこんな記事を発見。

やなせたかし 何のために生まれてきたの? | PHPビジネスオンライン 衆知

この記事の最後に掲載されている電子書籍『何のために生まれてきたの?』を、何気なく読んでみたらこれが本当に面白かった!

ぜひ、多くの人に読んで欲しいと思うので、今回はこの本で気になった部分をピックアップして紹介してみたいと思います。

69歳でやっとアンパンマンがヒット!

僕はこの本を読むまで知らなかったのですが、アンパンマンが世間的に流行し始めたのは、なんとやなせたかしさんが69歳の頃!

それまでも、色々な職業を兼務しながら漫画家して活動していたらしいのですが、どれも鳴かず飛ばずで、ヒット作は生まれなかったようです。

遅咲きの著名人と言えば、マネジメントで有名なピーター・ドラッカーや、ケンタッキーフライドチキンのカーネル・サンダースが有名ですよね。

しかしドラッカーもカーネル・サンダースも、確か60代前半で花開いているはず。そう考えると、このやなせたかしさんの69歳という超遅咲きは、これから更に高齢化社会が深刻となる日本において、1つの希望とも言えるのではないでしょうか。

「定年退職後の第2の人生設計」がメディアでも度々話題となっていますが、ぜひともこの逸話を励みにして「第2のやなせたかし」を目指す高齢者が増えてくれればいいなと願います。

世界中をみてもバイ菌のキャラクターなんていない。

実は、初期の頃のアンパンマンには、バイキンマンというキャラクターは存在しなかったようです。

しかし、なんとなく話が引き締まらないなと思っていた時、「あ!敵役がいないからだ!」と思いつき、「アンパンは食品だから、敵役はバイキンがいいかな」となって、バイキンマンが誕生したらしいです。

アンパンマンにおけるバイキンマンというのは、本当に欠かせないキャラですよね。やなせたかしさんは本書の中でバイキンマン誕生について以下のように語っています。

(バイキンマン誕生によって)話が、がぜん面白くなってきて、これは成功だった。つまり光と影ができたんです。光を描こうとすれば、影を描かなくちゃいけない。だからバイキンマンに力を入れて描けば、アンパンマンに自然と光が当たるわけです。

今日更新したもう一本の記事「瀧本哲史著『僕は君たちに武器を配りたい』オーディオブック版のススメ!」にも書きましたが、やはり何かを際立たせたい時には「対比」が非常に重要になってきます。

このアンパンマンとバイキンマンの対比というのは、僕らはもうそれが当たり前のように捉えていますが、本当に深く考え始めれば、それはもう哲学の領域にさえ踏み込めるほどのテーマ。

なぜアンパンマンはバイキンマンを殺してしまわないのか、バイキンマンはどうして改心して皆と仲良く暮らさないのか、そんなことを考え始めれば本当にキリがありません…笑

あ、この件に関して、以前Twitterでも紹介しましたが、小鳥ピヨピヨさんの記事が個人的には素晴らしいと思うので、ぜひみなさんも読んでみてください。

バイキンマンを被ったアンパンマンに関する考察:小鳥ピヨピヨ

復興をテーマにしたバナナ島の映画

3.11のあとに公開された映画『それいけ! アンパンマン よみがえれ バナナ島』を皆さんはご存知でしょうか。

僕もこの映画の存在を最近まで知らなかったのですが、実はこの映画ものすごくいいんです!!

たまたま甥っ子の子守をしながら一緒に見ていたのですが、ここに出てくるバイキンマンが驚くほどカッコイイ!

それもそのはず、実はこの映画は“復興”をテーマにやなせたかしさんが制作した作品らしいのです。

いつもは悪役のバイキンマンでさえも「いざというときには敵も見方もない。国を守らなくてはいけない。」というメッセージを込めて、復興を手伝うという設定にしたと本書には書かれていました。

僕は、この映画に復興への思いが込められていたなんて全く知らずにみていたのですが、それを知らなくても本当に素晴らしい作品だったので、ぜひ皆さんにも見てみて欲しいと思います!

最後に

この本を読みながら終始感じていたことは、「話し方の特徴が宮崎駿さんや半藤一利さんと非常に似ているなー。」ということでした。

読んでいる最中に、「あれ?今俺、誰の本を読んでいるんだっけ?」と一瞬戸惑ってしまうほどです。

しゃべり口調はもちろんのこと、考え方や信念なども本当に似通っているんですよね。

以前こちらの記事「腰抜け愛国談義から考える「これからの日本は脇役を目指すべきだ」というお話。」でも紹介した書籍『半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義』を読んで「面白い!」と思ってくれた方には、ぜひこの本も一緒に読んで欲しいと思います。

もちろん逆もまた然りで、今回このやなせたかしさんの本を読んでみて、好感触だった場合には、ぜひその流れで『腰ぬけ愛国談義』の方も読んで欲しい!

「老害」なんて言葉もありますが、日本にはこれだけカッコイイじいさんたちがいるんです!

やなせたかしさんは94歳でお亡くなりになってしまいましたが、宮崎駿さんが現在72歳、半藤一利さんが83歳、ぜひともこの二人にも、少なくとも94歳まで頑張って欲しいと、これを読んで強く思ってしまいました。笑

そして、若い世代は更に努力して、このカッコイイじいさん達が創ってくれたこの日本という国を「受け継ぎ、受け継いでいかないければいけない」と、改めて思った次第です。

最後に、長くなってしまいましたが、本書のおわりに載せられていたやなせたかしさんの「100年後へのメッセージ」を引用して終わりたいと思います。

100年後へのメッセージ

100年後の世界では、
漫画的精神で、みんながなかよく、そして面白く、
楽しく暮らせる世界になってほしい。
希望を込めて、そう考えています。

やなせたかし

やなせたかし 何のために生まれてきたの?

それでは今日はこのへんで!

ではではー!

鳥井弘文

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承 井上雄彦 pepita2を読んで。日本人が受け取って、受け継いでいくもの。 | 隠居系男子

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