どうも鳥井(@hirofumi21)です。
前回、「これからの時代は“雑誌的な働き方”が主流になる。」という記事で雑誌の話題に触れたので、今日も雑誌や書籍まわりに関する話を少し。
今、人々のスキマ時間はドンドンと細切れになっており、雑誌のようなコンテンツは長すぎて読まなくなると言われています。
しかし僕は、雑誌は今後も必ず残っていくと思います。むしろ、人々の時間が更に限られていくからこそ、これから雑誌を読む人が増えていくのではないかと思うのです。
その代わり、消えていくだろうなと思うのが、「紙の本のために出されているビジネス本」。この分野が一番最初に影を潜めていくのではないかと思っています。
こういった話はビジネス本を出している人は、なかなか言わないことなので、まだその辺に利害関係がないこのブログだからこそ、今回少し書いてみようかなと思います。笑
“紙の本のために作られた”ビジネス本はなくなる。
まず、ここで一番重要な事は“紙の本のためにつくられた”ビジネス本であることです。
ビジネス本の現状
いまビジネス本コーナーに行くと、ものすごくわかりやすい傾向が広がっています。
まず、題名が人の注意を引きやすい過激なものであること。
そして、海外の子供の写真を使った表紙です。
これは、テレビが衰退し始めたと言われた頃のテレビ番組やCMの状況に非常によく似ていると思います。
「どれだけ売れなくなったとしても、なんとかして今の売上規模を保っていかないと、企業として立ち行かなくなるから、より多くの人に興味を持ってもらうために、わかりやすく過激なものにする。」
「お金はかけられないけど、視聴者の注意を引くために、ギャラが安くて皆が大好きな子供や動物を使う。」
こども店長とか懐かしいですよね。
最近のビジネス本で、わかりやすい具体例を挙げるとすれば、以下の様な書籍。
家入さんは既にベストセラー作家ですし、このあたりの流れを十分理解した上で、楽しんで書かれていると思うので、例にあげても差し支えないと思うのですが、正にこんな状況が書店のビジネス本コーナーに広がっています。
紙の本の目的がズレてしまっている。
著書を通して伝えたいこというのは、著者ごとに異なるはずです。しかし、どのビジネス書をみても10万文字・200ページとなっているのは、どう考えてもおかしいと思いませんか。
そして最近はこのパッケージにのせるために、無理やり10万字に薄めた本が多すぎです。
僕もいつか本は出してみたいと考えているので、本を出された方に出版の話を聞く機会が多いのですが、皆第一声にいうのが「名刺代わりになるよ。」ということです。
「本が一種の信頼の担保になるから出した。」っていう人がとても多いんです。
確かに、日本出版業界が作り上げた流通システムにのっかって、日本全国の書店に置かれるようになれば、その認知度は絶大です。出版社にガンガンPRしてもらって、書店の平積みになれば尚更でしょう。
ただ、こうやって考えてくると、もう紙のビジネス書というのは「売れる本を作って儲けて、認知度をあげるためにしか機能していない」ということになります。
どう考えても本来の出版の目的とはズレてしまっているわけです。こういったものが、これから先も長く続いていくとは思えません。
電子書籍のための電子書籍が主流になる。
以上の流れを踏まえて個人的に思うのは、これから増えるのは“電子書籍のために作られた”電子書籍ではないかなと。
紙の本の電子版じゃありませんよ。電子書籍で出すことを最初から想定して作られた電子書籍です。
一番わかりやすい例で言えば、このブログでも既に何度も紹介してきていますが、ちきりんさんの『「Chikirinの日記」の育て方』です。
この本で扱っている内容は、間違いなく紙の本で出すことも可能だったでしょう。
しかしちきりんさんの意向により、電子書籍で出すことを目的として書かれており、電子書籍のために編集されています。もちろん10万文字なんてところもこだわらず、必要なことを必要な分だけ、非常に簡潔に書かれています。そして表紙に至っては、ちきりんさんご本人がパワポで制作したもの。
でもこれが本当に読みやすかった!
中だるみすることもなく、一気にざーっと読んでしまうことが出来ますし、伝えたいこともすんなりと入ってきました。
参照:ちきりんの成功要因は「まだ全然本気出してないけど…?」 | 隠居系男子
だから僕はこの形式が、今を生きる人達の時間軸にあった分量・編集方法であり、正解のカタチだと思うのです。「短いから良い」って言っているんじゃないですよ。伝えたいことと、その分量が適切だから読みやすいんです。
もしこれが10万文字をはるかに超える分量であっても、伝えたいことがそれに見合っているのなら、それはそれでいいんです。
少し飛躍してしまいますが、『かぐや姫の物語』もそれは一緒。
参照:『かぐや姫の物語』は完璧で美しく、虚しくて残酷な映画。 | 隠居系男子
読み物の未来
さて、ここまでの流れから「読み物の未来」っていうのは、以下のようになっていくと僕は思っています。
【スキマ時間】
- ウェブニュース
- ウェブメディア
- SNS・ブログ
【ある程度まとまった時間】
- 電子書籍のための電子書籍
- 雑誌形式の媒体(特集のようなもの)
- 有料メルマガ
- 文芸書
【研究・リサーチ・学習】
- 各専門書
人々の時間の使い方が劇的に変化している中で、実際に読めるのはここまででしょう。
“紙の本のために作られた”ビジネス本のような、形式優先の無駄なもの・余計なものはドンドン排除されていく運命にあるんだと思います。
紙の本は、同ジャンル複数人でパッケージしたものになっていく。
さて、ここまで書いてきて矛盾するようですが、きっと日本の出版業界が作り上げてきたシステムや流通というのは、早々にはなくならないでしょう。
きっと紙の本のために作られた本は、今後もドンドン増えていくはずです。日本が一度創りあげてしまった世界に類をみない完璧なシステムというのは、根が想像以上に深くて、そう簡単に消え去ることはありません。
しかし上記のような人々の価値観の変化が表れていることも事実なので、そんな中で主流になっていくのは、同じようなジャンルの人たち複数人でパッケージ化した本なのかなと。
まだ読んでいないので表紙からしか判断できませんが、きっとこういった形式のものでしょう。
でもこれってどっちかっていうと…いや思いっきり雑誌的ですよね?だから、やっぱり雑誌的な物が残るのかなーと思うわけです。
最後に
今回の予想は、かなり恣意的な考えも含まれているため当たらない可能性もかなり高いです。
ただ個人的には、「本来の目的に合わせて、こうやって正しい姿に戻っていくだろう」という確信はありますし、それは過去の歴史を見てきても明らかです。
今後どのように変化していくのか、見守っていきたいと思います。
今回の内容についてブログ「ノマド研究所」でお馴染みの大石哲之さんも、以下の記事で詳しく述べられています。合わせて読んでみてください。
提言をする媒体としての「出版」という役割の終わり | 大石哲之のノマド研究所
それでは今日はこのへんで!
ではではー!
鳥井弘文
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