BRUTUS喫茶店特集「大坊珈琲店」に学ぶ、誰かの印象に残る方法。

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

昨日の「WIRED VOL.12『キルラキル』を生み出したアニメ制作会社トリガーの3つの弾痕。 | 隠居系男子」に続けて今日もインタビュー記事の抜粋です。

今回は、BRUTUSの喫茶店特集の中から、昨年惜しまれつつ閉店した伝説の喫茶店「大坊珈琲店」の店主だった大坊勝次さんのインタビュー。

僕はこのお店に行ったことはないのですが、インタビューの内容がとても興味深かったので、今回ご紹介しておきたいと思います。

誰かの印象に残る秘訣、それはきっと「リズムを変えること」なのだと思います。

「大坊さん、喫茶店って何なんでしょうか?」

このインタビューは、編集者の岡本仁さんが大坊さんに「喫茶店って何なんでしょうか?」ということを質問する形式で進んでいきます。

まずは何も言わずに読んで読んで頂きたいので、少し長いですが引用してみましょう。

岡本:今回お話を伺うにあたり改めて、僕は大坊珈琲店に何回くらい行ったのかと考えてみたんですけど、多分10回に満たないかもしれないんです。それなのに、ものすごく通ったような気分になるのはどうしてだろう?と思っていたんです。

大坊:どうしてそう思われたのか、お客様側からの意見をぜひ聞いてみたいですね。

岡本:ありきたりな言い方ですけど、時間の進み方が違うというか…。お店の中に入る瞬間までは、街に合わせたスピードで自分は動いていたり考えていたりすると思うんです。例えばコーヒーでも飲もうと思った時に、いろんなお店に入りますが、町中よりも騒がしいお店や、ものすごく急いでいる感じのお店、いろいろです。そういう店も嫌いじゃないですが、あまり印象に残らないというか、大坊珈琲店に感じたような感想にはつながらないと思うんです。コーヒーを飲むとかブレイクを入れるという欲求だけを満たして、また表に出る。でも大坊さんのお店は短い間でもそこに浸る感じがありました。

大坊:ありがとうございます。

岡本:こころあるお客さんなら、大坊さんがコーヒーを入れているあの雰囲気を見たら、お仕事の邪魔をしてはいけないなと、あまり話しかけないと思うんですね。大坊さんも自分からあまり話される方ではないと思うから、わかりやすいコミュニケーションは何もない。でも、多分大坊さんは、入ってきた人に何かを伝えようとされていたと思うんです。

(中略)

岡本:おいしいコーヒーを提供するという大前提があると思いますが、大坊さんはお店をやるうえで、コーヒー以外の部分でどんなことを大切にしたいと思っていたんですか?

大坊:店に来て、椅子に座り、コーヒーを飲んで帰る。その一瞬と言ってもいい時間に、ホッとしてもらえたらと。それだけです。

岡本:店にいる自分がさっきまでと違い、妙に落ち着いている。確かに大坊さんのお店で僕が感じたことは、そういうことだったと思います。

「リズムを変える」ということ。

上記の岡本さんのお話の中にもありますが、回数が少なくても印象に残っているという時というのは「自分のリズムが変えられた時」なんだと思います。

どこかのお店、旅先、人に恋する時だって全部そうです。きっとそれまでの自分の時間軸とは全く違う時間軸が進む瞬間を味わった時、人は強烈に印象に残るような体験をするのでしょう。

先日、たまたま友人に渋谷にある喫茶店「茶亭 羽當」に連れていってもらったんですが、そこでもまさに同じような印象を受けました。

「なんで渋谷のような喧騒だらけの街に、こんなお店が…!?」って思わされるのですが、むしろあの場所だからこそ人々の印象に残るし、「リズムを変えられる場所」として人々に愛され続けているんだろうなぁって。

今の世の中では、誰もが自分のリズムを取れないまま、せかせかと過ぎ去っていく毎日に不安を感じています。本来必要だと思っていることもままならないまま、膨大な情報に流されて生きている。

参照:高度情報化社会とは、情報が“少ない”時代。 | 隠居系男子

だからこそ、リズムを変えてくれる場所が重宝がられるし、そんな人やモノ・場所が今改めて見直されているんだと思います。

最後に

僕はこの「リズムを変える」ということを完全にバスケから学びました。

だからどうしてもこの話になると、スラムダンクの仙道のセリフ「まだあわてるような時間じゃない。」というのを思い出してしまいます。

参照:忙しくて寝られる時間が短い時こそ、寝る前の儀式を怠るな! | 隠居系男子

あのシーンが異常なまでに印象に残っているというのもやはり、それまでの緊迫したシーンから一気にフワッと緊張感を解きほぐすようなリズムに変えられたからなんだと思います。

きっと“個性”“〜らしさ”というのは、自分なりのリズムを淡々と刻むことができるか。そしてそれと同時に、いかにリズムを意識しつつ、他人のリズムに合わせ、時に変えられるか、なんだと思います。

これを読んでくださった皆さんの何かしらの参考になれば幸いです。気になる方は是非本書を手にとってみて下さい。

BRUTUS (ブルータス) 2014年 6/15号 [雑誌]

それでは今日はこのへんで!

ではではー!

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