グローバル都市が「主」で地方が「従」という関係性が変わっていけば、チープな地域振興はなくなっていく。

藻谷浩介対話集 しなやかな日本列島のつくりかた

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

昨日の記事に引き続き、藻谷浩介著『しなやかな日本列島のつくりかた』を読んで、自分なりに思ったことを書いていこうと思います。

参照:「入込数」を重視する日本の観光地と「PV数」を重視するブログの相似点。 | 隠居系男子

今、日本の至るところで持て囃されている「ゆるキャラ」「B級グルメ」などのチープな地域振興について、なぜ持て囃されてしまうかという原因を探りつつ、その打開策を少しだけ考えてみます。

「今、日本ではチープな地域振興が持て囃されている。」

まずは、今日本の観光地で何が起きているのか、藻谷さんと山田さんの会話の内容を少し引用してみましょう。

藻谷 今、日本ではチープな地域振興が持て囃されています。B級グルメ単発イベント、そしてゆるキャラ

山田 ダメな地域って、その3つを必ずやっていますよね。その地域の既存の資源をしっかり活用して育てましょうという話にならずに、新しい何かに飛びつきたがる。私は、町は育てるもの、「町づくり」ではなく、「まち育て」であるべきだと主張しているんですが。

(中略)

藻谷 B級グルメも人が集まるだけで、全く収益を生みませんよね。むしろ地域の優良資源をB級品のイメージとともに叩き売るという悲惨な状況です。

山田 地元で取れるいい素材を使いながら、予算を抑えて振る舞おうとするから、原価割れしてしまうんですよね。手の込んだ調理も出来ないので、せっかくの素材もまずくなる。当然のことながら、生産者は「何やってんだ、せっかくいい素材なのに」と怒る。地元の人同士の人間関係もわるくなり、農漁業者と商業観光事業者の間に溝ができていく。それでいて地元の人は誰も儲からない。

藻谷 非常に残念ですよね。地域に貢献したいなら、もっと地域にお金が落ちて、循環することをやりなさいと言いたい。

山田 そもそもA級品がないところにB級品は存在できないのにいきなりBだけを作るから話がおかしくなるんです。宿泊も食事もまずはその地域で一番と言えるものを提供できるようにするべきです。チープなものを作るのはその後でいい。

東京のようなグローバル都市が主で、地方が従という刷り込み現象。

「ゆるキャラ」や「B級グルメ」というのは、日本の“へりくだる”文化が作り出してしまった産物だと思っています。

「つまらないものですが…」と言いながらモノを差し出す日本の風習が間違った形で発展してしまった結果が、このチープで残念な地域振興につながっているのだと。

きっとその裏にあるのは「東京のようなグローバル都市が主で、地方が従だ」という刷り込み現象的な発想です。だからこそ東京にあるものが「A級品」で、東京で活躍している人が「本キャラ」だと勘違いして、自分たちはそれに従属するものを用意すればいいのだと無意識のうちに考えてしまうのでしょう。

戦後からずっと東京に一極集中してきたせいで、地方の人々の深い深い意識レベルにまでそれが刷り込まれてしまっているのが今の現状です。

『あまちゃん』が提示してくれた、地方の人々が主役になる時代。

しかし、これからの時代はそうじゃないのかもしれないと提示してくれたのが、昨年放送された『あまちゃん』なのだと思います。

参照:あまちゃんが描いた地元とは?宇野常寛の評論から探る地方活性化の秘訣。 | 隠居系男子

上記の記事でも書いたのですが、「私達が誇りを持って愛せる地元」という価値観を提示していたのが『あまちゃん』で、たとえそのきっかけが“偽史”であったとしてもいいのだと。

きっと『あまちゃん』で提示されたような取り組みや提案というのは今後徐々に増えてくるはずですしょう。地方にいる人たちが主役で、地方で起きていることがメインのストーリーで超大作なのだと思えるような取り組みです。

函館蔦屋書店があの場所に出店し、そこで目指してくれているものというのも、まさにこの一例なのだと思います。

参照:函館蔦屋書店で見つけた、地方の文化を育む新たな“居場所” | 隠居系男子

最後に

地方の人々が主役と思えるようなの取り組みがドンドン増えていけば、きっと日本の地方も変わってくるはずです。

藻谷さんと山田さんの会話の中にあるような、A級品というものがその地方から生まれ、それをダイレクトに世界へ向けて発信する地方も出てくるはずです。それが「町を育てていく」という発想に繋がっていくのでしょう。

自分がこのブログやMATCHAを通して発信していきたいことの一つも、そういった変化なので、これからも引き続きこういった分野に関しては発信し続けていこうと思います。

それでは今日はこのへんで。

ではではー!

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