メディアを通して伝えたいことが「欲望」なのか「真実」なのか。

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

人に何かを伝えるとき、真実をもとにその考察を伝えたいのか、欲望や趣味趣向をただ伝えたいだけなのかということは、常に意識するべきことだと思っています。

新興メディアであれば、その本質が「ジャーナリズムか否か」という事をまずは考えるべきなのでしょう。この前提を意識した上で、メディアの方向性を考えていかなければメディアの方針を決めることができないからです。

以前もご紹介した『メディアの苦悩~28人の証言』という本の中で、東浩紀さんがこのことについて非常にわかりやすく解説していたので、それをご紹介しつつ、「MATCHA」を例にメディアの性質について考えてみようと思います。

「欲望の問題」と「真実の問題」は違う。

まずは東さんの解説を少し引用してみましょう。

市民ジャーナリズムのプラットフォームについての議論が最近ありますが、世の中はついてこないと僕は思う。集合知でできることとできないことがある。

たとえば、「ぐるなび」のように「食べ物が美味しい/美味しくない」というテーマについては、市民のさまざまな声を集めたほうが、一人の評論家の意見よりもいい結果が現れることもあるかもしれません。

でも、それをモデルにして、すべてのことができるとは僕は思わない。結局、「欲望の問題」「真実の問題」は違うんです。ネットは、みんなの「欲望の問題」を可視化する装置なんです。「みんなが何を望んでいるのか」「みんなが何を好きなのか」はわかる。ただし、「何が正しいのか」「何が真実なのか」はわからない。これはすごく大事なところです。

MATCHAは「欲望の問題」を取り扱うメディア

例えば、MATCHAはウェブメディアではありますが、「真実の問題」を取り扱うメディアではありません。

MATCHAは、日本人が何を面白いと感じているのか、それを可視化していこうとしているメディアです。日本人の欲望を明確にした上で、訪日外国人の方々にもその内容がわかりやすい形で伝えていくのが主たる目的。

だからこそ、百戦錬磨のプロのライターさんたちだけではなく、日本人の様々な声も集まるように、今までライター経験がないような方々にも、そのアツい熱量を記事にしてもらっています。

参照
日本の良さを全世界へ同時に届けていく上で大切な事は、外国人に迎合しないこと。 | 隠居系男子

ウェブ時代は、プロのライターよりも大好きな人が語るアツい記事のほうが面白い! | 隠居系男子

つまり、MATCHAには真実を可視化するジャーナリズム的な問題は存在せず、「日本人が何を望んでいるのか、何が好きなのか」を可視化をしていくのが主たる目的のウェブメディアであるということになります。

最後に

今回のお話とぜひ合わせて読んで欲しいのが、以前書いた「主観メディアか、客観メディアか」という内容の記事です。

参照:Fashionsnap.comのPodcastで語られた「ウェブメディアでライターをやりたい人へ向けたアドバイス」がものすごく的確だった。 | 隠居系男子

ウェブ上で何かを表現し、誰かに伝えようとするとき、それは「主観なのか客観なのか」「ジャーナリズムなのか否か」という2点はぜひ考えてみて欲しい事項です。

このあたりを考えていくことによって、自分たちがどんなメディアを作り上げていきたいのか、そのためにはどんなコンテンツを作っていけばいいのかということが自然と明確になってくるはずです。

メディアを立ち上げようとしている方や、既に新興メディアを運営している方々の参考になれば幸いです。

それでは今日はこのへんで!

ではではー!

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