東京国際文芸フェスティバル2014オープニングイベントに参加して納得した「母国語」で書く意味。

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

ご縁あって、2月28日に行われた東京文芸フェスティバルのオープニングイベントを観に行ってきました。

今回は、このイベントの概要を説明しつつ、2回に分けて自分が参加してみて気になった部分を書いてみようと思います。

東京国際文芸フェスティバルとは?

今年で2回目の開催となる「東京国際文芸フェスティバル」。

国内外から作家、詩人、漫画家、装幀家、編集者、翻訳者らが一同に集まり、東京都内の大学や美術館、カフェなどで行われるトークイベントの総称です。

今回僕が参加したオープニングイベントでは、大きく分けて2つのディスカッションが行われました。

第1部は、イスラエル人作家のエトガル・ケレットさん、米作家のネイサン・イングランダーさん、日本人作家の松家仁之さん、雑誌「ニューヨーカー」でフィクションエディターを務めるデボラ・トリースマンさんの4名。

第2部は、作家のジュノ・ディアスさん、アレクサンドダ・ヘモンさん、西加奈子さん、そして元『グランタ』編集長のジョン・フリーマンさんの4名で行われました。

彼らの言葉を用いながら、今回は書いていきたいと思います。 (※同時通訳で聞いていたので、一部意訳が含まれ、正確な翻訳ではないことはご了承ください。)

自分自身の母国語で書くということ。

まず、第1部で印象に残っているお話は、「自分自身の母国語で書くということ」です。

松家仁之さんの「グローバルの風潮が高まると、読者が少ない分、日本語で書くのは危険だと考える日本の作家がいるが、皆さんは自分自身の母国語で書くということについてどのように考えているのか」という質問から、この話題が始まりました。

作家のエトガル・ケレットさんとネイサン・イングランダーさんの二人は、母国語で書くことによって内側を表現することに繋がるので、第2言語で書くよりも母国語で書く方が望ましいと主張します。

母国語で書くことにより、自分の中の「直感」に従って文章を書くことができ、自分が一体何を表現し伝えたいのか、言葉のもつ本当の強さを使ってそれを書き表すことができるからだと言います。

そもそも、書くという行為は、普段の生活の中で連続した行為であって、自分自身をダイレクトに表現するものであるから、日常と密接にリンクしているのだと。

だからこそ、普段の日常生活の中で使っている母国語で書くことによって、そこに本当の意味でのクリエイティブが生まれるのだと仰っていました。

翌日に覚えている本とは?

このお二人の話を聞いて、ニューヨーカーでフィクションエディターを務めるデボラ・トリースマンさんは、「私達が翌日に覚えている本とは一体何なのでしょうか」という話を始めます。

「きっとそれは、読んだあとに自分の気持ちが揺り動かされたものである」と彼女は主張していました。

そして「彼ら二人は、どうすれば自分の読者の気持ちを揺り動かす事ができるのか、それに気が付いている」と。

「だからこそ、彼らは母国語で書くことが自分にとって最良の手段なのだと理解しているのだ」と仰っていました。

勝てないゲームの中で一番の美を見つけていく!

この話題の最後にエトガル・ケレットさんが以下のように締めくくったのが非常に印象的だったのでご紹介しておきます。

人は皆失敗するし、どれだけ成功する人でも最後は必ず死ぬ。これがTVゲームであれば、既に負けている事になる。

しかし、その勝てないゲームの中で一番の美を見つけていく!それが素晴らしいことなのだ。

これは、最初の「グローバルの中でマイノリティーの母国語で書く」という 質問に直接繋がっているわけではないですが、これがまさしくその答えなのだと思います。

この世におけるメジャーな言語が短期間では変わらないように、どうあがいても勝てないゲームと言うのはこの世に多数存在します。しかし、その中でも美を見つけていくことに意味があるのでしょう。

最後に

僕自身、ここ半年ぐらい毎日ブログを書いていますが、やはり日本語以外の言語で書くということはしないと思います。たとえ、今後どれだけ他の言語の能力が上がったとしても。

自分にとっても「書く」という行為は、普段の生活の中で連続した行為であって、自分自身をダイレクトに表現するものであるから、それ以外考えられません。

そんなことを改めて考えさせられた第1部のディスカッションでした。

さて、明日は第2部の感想を書いてみようと思います。

今回の「東京国際文芸フェスティバル」に関する記事はBLOGOSの方で完成版をご覧になることが出来ますので、合わせて読んでみてください。

東京国際文芸フェスティバル2014オープニングイベントで語られた「作家の定め」

それでは今日はこのへんで!

ではではー!

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