函館蔦屋書店で見つけた、地方の文化を育む新たな“居場所”

函館蔦屋書店

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

昨日書いた以下の記事が、これを書いている時点で既に2000いいね!を越え、多くの方に読んでもらうことができました。

参照:函館蔦屋書店がスゴい!代官山を超え、これを目当てに函館に移住しても良いレベル! | 隠居系男子

BLOGOSの方にも転載されており、そちらも既に1万PVを越えていて、本当に有り難い限りです!

今日は予告した通り、こちらの記事の続きです。

「地方の新たなカタチとして、もしかしたらコレが正解なのかもしれない」と思った理由。

最初は函館に不相応だと思った蔦屋書店だったのですが、だんだん見慣れてくるとその可能性に気が付き始め、地方の新たな文化の中心地となるのではないのか。その辺の話を今日は書いてみようかなと思います。

画像引用元:函館 蔦屋書店 | 函館蔦屋書店がめざすのは、これからの時代のスタンダード。

“函館市民”がみんないる。

函館蔦屋書店暖炉

今回僕は地元に帰省中の4日間、毎日この店舗に通ってみました。

そしてそこで気がついたのは、自分が想像する“函館市民”がみんないるということです。

もちろん、お店はまだできたばかりですし、函館に住んでいてもこのお店を知らない人はたくさんいるはずなので、函館市民が全員来ているわけではありません。

ただ、色々な世代の人達がしっかりとお店に足を運んでいるんです。代官山の蔦屋書店の様に客層に偏りがなく、逆にそれがいいのかもしれないなと。

自分の固定概念が「蔦屋書店にいる人達とはこんな人達である」と決めつけていただけで、その固定概念を取っ払って店内を眺めてみると、この空間って実はみんなにすごく優しく作られているんだなと気が付かされます。ものすごくいい空間なんです。

無駄に装飾が施されておらず、ジャンルごとに分かれている本棚は非常に見やすい。空間も余計に広くとってあるので、圧迫感もありません。

本物の暖炉なども置かれていて、それを取り囲むようにベンチが設置されているのですが、朝7時半ぐらいにはそこで漁協組合にいそうなおじいちゃんが、家から持ってきたであろう新聞紙をを広げて読んでいたりもするんです。笑

でも、ここで見ると「それもありだな!」ってみえてくるんですよね。不思議なことに…。

子供が成長していける場所。

函館蔦屋書店児童書
画像引用元:北海道ファンマガジン

あと、代官山では絶対にあり得ない光景として面白かったのが、前回の記事にも書きましたが、子供用のスペースが広く設けられているということ。

そして、それが「成長するにつれて、こう使っていって欲しい。」ということちゃんとみえるようになっているんです。

函館蔦屋書店プレイルーム
画像引用元:北海道ファンマガジン

0歳から遊べるプレイルームがあり、その隣には2才以上から入れる少し高度なオモチャが置かれているスペースもある。

もちろん、プレイルームのまわりには児童書がズラっと並べられているので、もう少し成長してくると、こちらの本に惹かれるようになっていくのでしょう。

子供用の可愛い机と椅子も置かれており、実際に子どもたちが並んで児童書を読んでいる姿も見受けられました。

函館蔦屋書店オーディオ
画像引用元:北海道ファンマガジン

小学生になれば2階へ移動し、ゲーム・カード・漫画・音楽売り場に移るのでしょう。この場所に設置されているオシャレなソファの上で、子どもたちが楽しそうにDSで対戦していたりする姿なんかも。

中学生になれば参考書を探しに来るようになるでしょうし、高校生になると机を使って勉強するようになる。そして、何かに迷ったり悩んだりした時は、ふと本屋の中を歩いてみて、多くの本に出会い励まされたりすることもあるでしょう。

暖かい暖炉に囲まれている中で、そんな思い出を1つずつ作っていきながら、しっかりと成長していくことが出来る場所となっているんです。

きっとこの先、「僕は蔦屋書店に育まれたんだ」という人もこの地から出てくるのではないかなと。それこそ函館蔦屋書店が自分人生において大切な場所だったという人が。

あのお洒落過ぎて、一部の人からはギャグのように扱われてしまう代官山の蔦屋書店よりも、なんだかよっぽどリアルな場所に感じられました。

こんな素敵な場所が自分の地元にあればきっと誇らしく思うだろうし、じゃあこの町を出て行かなくてもいいかなって思う人もいるはず。

たとえ函館を出たとしても、22歳の時、好きな本も自由に読めるし函館に帰るかなという選択肢もきっと生まれてくるはずです。

イオンのような大型商業施設よりも、こうゆう文化的な育みをしてくれる場所のほうが、より愛着が湧く場となっていくように感じました。

地方でのリアル書店の強み

さて、昨日の記事をシェアして頂いた時に、いくつかあった意見が「本当にこれで採算が取れるかどうか」というお話。

僕も正直、そこはわかりません。

自分も四日間通っておきながら、蔦屋書店で何かモノを買ったかといえば何も買っていない。スタバのコーヒーだけ。見つけて読んでみたいなと思った本はその場でAmazonで購入し、神奈川の家に送ってしまいました。

お客さんの数の割には、レジに並んでいる人も多くはないですし、ショップ袋を持っている人も少ない…。

ただ、この部分はこれからドンドン変わっていくだろうなとも思います。

なぜなら、地方はまだまだリアル書店に頼っているところが大きいからです。

Amazonなどで購入したとしても、北海道の場合は届くまでに2〜3日程掛かってしまいますし、もちろん電子書籍の普及なんて進んでいない。最近やっと皆がスマホを持ち始めるようになった程度です。

それに高齢者が多い地方では、まだまだリアル書店に対する「信頼」が圧倒的に高い。ECにクレジットカードを打ち込むのが怖いっていう年配の方もまだまだ大勢います。

店舗に行く場合も車で行く人が大多数なので、本を持ち帰る重さなども全く関係ないですし。

これからドンドン市民の認知が高まっていき「何か本を買いたいときは、蔦屋書店にいけば必ずあるだろう」と思ってもらえれば、これから売れ行きが伸びてくることは十分考えられます。

実際に、僕の地元の友人や両親なども既に「蔦屋書店にいけば絶対買える!」と認知しているらしく、函館市民の最後の砦のようになっていました。笑

ついで買いの需要もある。

あとは、雑貨類なども非常に充実していて、これも函館に関していえば他のお店には売っていないモノが多く、ここで初めて手にとるような物が多いと思います。(MoMAとか)

『あまちゃん』でも描かれたように、日本の地方には日本どころか、その地方からもほとんど出たことがないっていう人はたくさんいます。

その人達がたまたま訪れて、今まで見たことのないような雑貨や、ニッチな本を実際に手に取ってみたら、その物珍しさに買ってしまうということも十分に考えられるでしょう。

そのためにもまずはイベントをたくさん開いて、とにかく店舗に足を運んでもらい、実際に店内の商品を見てもらう。

今はまだイベントも探り探りのようですが、これが全世代に向けて色々とチャレンジしていけば、また面白くなっていきそうです。

行政ではなく企業が「町おこし」できるかもしれない。

実は、函館は典型的な地方の過疎地域・高齢化地域として有名で、その実験都市として昔からよく使われている場所なんです。

「日本の10年後の姿が、今の函館にある。」と言われるほど。

なので、コンビニとかでも、まずは函館から実験的に販売してみようという商品があったりするんです。

この蔦屋書店が今後どんな風に受け入れられるのか、まだわかりません。

でも相当大きなチャレンジだと思いますし、これが本当に成功したら行政ではなく企業が「市民の憩いの場」を創りだしたことになります。

ドンドン通っているうちに見慣れてきて、何を作りたいのか、やりたいのかは垣間見ることが出来ました。

少しやり過ぎた感はあるかもしれないけれど、この場所で出来上がる文化は必ずあるはずです。そして、その芽は確実“あの場所”に生まれ始めていたと思います。

最後に

今回のこの蔦屋書店は、都内からでも十分に見に行く価値があると思います!

特に接客業やサービス業にとって、ものすごく良いアイディアの宝庫だと思います。もちろんリアル・ネット問わず!

函館という街は、本当に小さな街なので、観光スポットは1日もあれば全てまわれてしまいます。

しかし、美味しい食事は3食では食べきれません!ぜひ2〜3日分位は食べて欲しいところ!

そのためにも、3泊4日ぐらいの日程で、蔦屋書店でガンガンノマドして、空いた時間にちょろっと観光するぐらいが丁度いいのかなと。

函館はそんな楽しみ方もできる街となりました!ぜひこれを読んでくれた皆さんも、興味があれば実際に足を運んでみてください!

それでは今日はこのへんで。

ではではー!

その他この投稿に関連した記事はこちら!

代官山の蔦屋書店が北海道函館市にもオープンすることに思うこと | 隠居系男子

高城剛のメルマガと「モヤさま」が見つけてくれた函館の人の魅力 | 隠居系男子

『いま東京と東京論を問い直す』も新しくて面白い! | 隠居系男子

シェアしてくれるとめちゃくちゃ嬉しいです!

スポンサードリンク