日本の家屋には、もともと何もなかった。

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

最近、日本の歴史が気になっていて、時間があれば実際に歴史的な名所へ行ってみたり、本を読み漁ったり、歴史を扱った番組など観ています。

そんな中近頃よく思うのが、「日本の家屋って収納がほとんどなかったんだ」ということ。

今の断捨離のような流れは、決して新しいライフスタイルではなく、「日本人古来の生き方」に舞い戻ってきているだけなのではないでしょうか。

今日はそんなことについて少し書いてみようと思います。

『逝きし世の面影』に見る日本家屋の姿。

以前「奈良の志賀直哉旧居と、鈴木敏夫✕アイフルホーム大竹会長の対談から考える、日本が進むべき未来とは。」の記事の中でも取り上げたことのある、『逝きし世の面影』。

この本は、日本の江戸時代に海外からやってきた外国人の人々が日本をどのように観ていたのか、それを当時日本にやってきた外国人の日記や手紙からまとめたものです。

この本に、当時の日本人の暮らしぶりや、日本家屋の様子が分かりやすく書かれているので、まずはここから少し引用してみましょう。

日本人の欲望は単純で、贅沢といえばただ着物にお金をかけるくらいが関の山である。

何となれば贅沢の禁令は、古来すこぶる厳密であり、生活第一の必需品は廉い。上流家庭の食事とても、至って簡素であるから、貧乏人だとて富貴の人々とさほど違った食事をしているわけではない。

日本人が他の東洋諸民族と異なる特性の1つは、奢侈贅沢に執着心を持たないことであって、非常に高貴な人々の館ですら、簡素、単純きわまるものである。すなわち、大広間にも備え付けの椅子、机、書棚などの備品が1つもない。

「日本人の家には、家具らしきものがほとんど無い」というのは、あらゆる欧米人が上陸後真っ先に気付いた特徴であったそうです。

当時、日本に上陸後三日目に横浜の日本人町を見物したボーヴォワルという名の外国人はこのように書き残しています。


家具と言えば、彼らはほとんど何も持たない。

一隅に小さなかまど、夜具を入れる引き戸つきの戸棚、小さな棚の上には飯や魚を盛る漆塗りの小皿が皆きちんと並べられている。これが小さな家の家財道具で、彼らはこれで十分に公明正大に暮らしているのだ。

もともと何もないのが、日本。

自分の地元は北海道函館市で、過去に港町として栄えたということもあり、歴史的な洋館が多く立ち並んでいます。

その洋館の中を覗きにいけば、必ず素晴らしい家具が並んでおり、「それも含めた全てのものが洋館である」というような作りとなっています。

昨年まで住んでいた中国・北京でも、もちろんそうでした。中国の歴史的な建造物を見学しに行くと必ず、中国らしい家具や調度品のようなものが、ところ狭しと並べられているのです。

しかし、日本の歴史的な建造物や家屋の場合は、どこを観に行っても本当にガランとしています。もちろんイスやタンス、書棚などもほとんどありません。

この違いが非常に面白いのではないかと。

日本古来の生活様式

東京にある最近流行りのインテリアショップへ行っても、日本らしいもので売っているものというのは、実はほとんどありません。

全て欧米系の小洒落た雑貨や家具であり、たまにアジアンテイストのものが並べられていたりするだけです。

そもそも、日本にはインテリアという概念すらなかったのかもしれません。

一時期のブームから、ひとつのライフスタイルとして確立した「断捨離」。

今までには存在しなかった全く新しいライフスタイルを取り入れようとしている人々として捉えられたり、それが行き過ぎた人達に対しては「病的だ」と揶揄されるという風潮もあります。

しかし、このように考えてくると別に大したことではない、「断捨離」を始めとした「モノを持たない生活」というのは、もともと何百年と続いてきた日本の生活様式に戻ろうとしているだけなのかもしれません。

最後に

何が「当たり前」で、何が「違う」のか。これは、自分の視点をどこに置くのかで全く変わってくるものなのだと思います。

日本の何百年と続いた「モノを持たない生活様式」から考えると、これほど全国民が物も持ちまくっている時代という方が異常な事なのかもしれません。

決してどちらが優れているというわけではなく、自分たちが受け継いできている意識の中で「何が本当に快適なのか」それを色々な時間軸に自分の視点を置きながら、「自分の頭で考えてみる」ということが求められている時代なのだと思います。

それでは今日はこのへんで。

ではではー。

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