百貨店は「メディア」で、ショッピングモールは「プラットフォーム」だというお話。

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

以前ご紹介したことのある『荻上チキ Session-22』というPodcast番組。

この番組で先日放送された、「デパート・百貨店の過去・現在・未来」が非常に興味深く面白かったです!小売業が好きな人、メディア論やコミュニティ論が好きな人は必聴ですよ。

今日は本編の内容を、少しだけご紹介してみようと思います。

百貨店とショッピングモールの違いって?

さて、みなさん、「百貨店とショッピングモールの違いを説明してみて。」と言われたらどのように答えますか?

「伊勢丹」や「西武」などが百貨店であるということは異論がないと思いますし、「イオンモール」や「ららぽーと」がショッピングモールだということも異論ないと思います。

では、ルミネなどの駅ビルはどうでしょう?東京スカイツリーは?

ちょっと判断が難しいところですよね。

百貨店がメディアで、ショッピングモールがプラットフォーム。

この点、番組内では、不動産賃貸業を行っているのがショッピングモールだと定義付けていました。つまり、デベロッパーがスペースを賃貸して、アパレルショップなどのテナントを入れているということです。

この成り立ちというのは、郊外に新しいコミュニティの場所を作ろうというもとに生まれてきた商業施設であり、もともとは都市計画の歴史の中に組み込まれるものであると。

一方、百貨店の場合は、百貨店独自のセンスで商品をセレクトし、それを「どんなコンセプトで見せていくのか?」が最重要課題であり、百貨店の本質とは“編集”です。

人々が「なぜデパートに行くのか?」と言われれば、「そこにいって自分の階級が一つ上がったという幻想を抱けるから」。それはつまり商業技術の一種であり、販売技術のや商業の歴史に組み込まれるものであると。

つまりその本質は全く異なるもので、ウェブ界隈でわかりやすく例えると、ショッピングモールというのはYouTubeやニコニコ動画というような、どちらかというとプラットフォームに近いモノで、コミュニティ形成の一助を担うもの。

百貨店は、WIREDやハフィントン・ポストのようなメディアに近い性質があるものだということです。

ただし、上記の質問の回答にも困るように、今モノが売れない時代になり、仕入れの仕方にも変化がでてきたことにより、その違いが曖昧になってきたのは事実です。

百貨店自体も、今はテナントビジネスに移り変わってきてしまっているところも多く、売り場の雰囲気がショッピングモールと一緒というところもしばしば…。

今、また百貨店が面白くなってきた!

しかし今ここにきて、百貨店が自分たちのビジネスモデル、小売業界の“メディア”としての役割を再発見して、百貨店が面白くなってきている!と。

まず、わかりやすいところで言えば、先日リニューアルオープンした伊勢丹のように、時間体験型に移行するという手法。

売り場面積を敢えて15%ほど縮小することで、イベントスペースを拡大したり、休憩スペースを増やしたりして、滞在重視型のモデルにシフトするという手法です。

他にも「外商」というビジネス。これはいわゆる訪問型販売の一つといえるでしょう。

年末になると、「百貨店で1000万円の福袋を数量限定で販売する」というニュースがよく流れますが、そこに購入申込みをしてきてくれた人々を抱え込み、その方たちへ向けてダイレクトに商品を販売していくという感じらしいです。

高齢化に伴い、「お金はあるけれど、移動ができない」いわゆる”買い物弱者”の需要を狙って、今百貨店が新たに力を入れている分野であるそうです。

上述した取り組みは、百貨店の新しい取り組みのようにも思えますが、百貨店がメディアであるという本質を捉えて、本来の目的・従来の目的から改めて考えてみると、非常に理に適った施策であるといえます。

昔の百貨店と言えば、休日の家族の憩いの場。“日常祝祭空間”を提供してきた場所でした。外商にしても、かつての”御用聞き”のようなもので、百貨店の前身である呉服店と同じようなことをやっていると言えるわけです。

最後に

自分たちが創りたいもの・目指したいものは、場を提供するプラットフォームなのか、それとも編集して魅せるメディアなのか。

それを考える時に、この百貨店とショッピングモールの違いを例にとって考えてみると、非常にわかりやすく、更に一段深い考察ができるような気がします。

そもそもどんなバリューを、お客さん(ユーザー)に届けたいと思いスタートさせたものなのか。その軸を明確にしてみて考えると、今回の百貨店の例のように、そもそも本質が異なるショッピングモールとムダな争いをすることがなくなります。

その代わり、自分たちが届けるべきモノ・届けるべき相手に集中することができるようになるわけです。

なにはともあれ、今後の百貨店の復活劇が楽しみで仕方ありません。

ちなみに、百貨店が多いのも「SHITAMACHI」ですよね。…そう考えると、色々と面白くなっていくんではないでしょうか?

今日の記事が、何かしら皆さんの参考になれば幸いです。

それでは今日はこのへんで!

ではではー。

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