どうも鳥井(@hirofumi21)です。
昨日更新した記事「Cut11月号あまちゃん能年玲奈特集 僕らは能年玲奈のことを実は何も知らなかった。」にも書いた通り、Cut11月号の巻頭特集は能年玲奈さんだったんですが、じつはもう一つ特集がありました。
それがこの「宮崎駿は私たちに何を残してくれたのか? 本人の言葉と共に振り返る全11作」です。
確かにジブリは、これから2つ作品の公開が控えています。来月中頃にはスタジオジブリドキュメンタリー映画『夢と狂気の王国』、そして来月下旬には『かぐや姫の物語』が公開される予定です。
しかし、能年玲奈特集同様、宮崎駿さんに関する番宣は今はなにもないはず!なのに、この特集…なにこの男気…最高です。笑
ということで、今回は昨日に引き続き、Cut11月号から宮崎駿特集で自分が気になったところをピックアップして少し書いてみたいと思います。
宮崎駿監督作品の全11作を振り返る。
今回の特集は、題名にもあるように、全11作品を振り返るという形になっています。一応全作品名を挙げておくと・・・
- ルパン三世カリオストロの城
- 風の谷のナウシカ
- 天空の城ラピュタ
- となりのトトロ
- 魔女の宅急便
- 紅の豚
- もののけ姫
- 千と千尋の神隠し
- ハウルの動く城
- 崖の上のポニョ
- 風立ちぬ
…となります。「あれ?全作品って言ってるのに、あの作品入ってないじゃん!」って思っている方!その作品は宮崎駿さんが監督した作品じゃないですからねっ!
ここに上がっている作品が、宮崎駿さんが監督した作品で、ここに名前が挙がっていないジブリ作品は全て、高畑勲さんだったり宮崎吾朗さんだったり、他の監督がつくっている作品です!お間違いのないよう。笑
今回の特集は、後半に内田樹さんと高橋源一郎さんの対談(司会はおなじみ渋谷陽一さん!)が掲載されているのですが、そちらも一緒に書いてしまうと、とてもじゃないけど今回の記事内にはおさまらないので、まずは11作品を振り返る方だけを。
近いうちにこのお三方の対談部分も記事にできたらいいなとは思っています!
魔女の宅急便
さて、今回この11作品全てにCutのライターさんが1人1作品コメントを寄せているのですが、その中でも特に際立っていたのが、『魔女の宅急便』のコメントです。
ホントは全文引用なんて芸のないことはあまりしたくないのですが、あまりにもその視点が素晴らしかったので、この部分だけは全文引用させてもらいます。
「80年代生まれの僕らは、まさに魔女の宅急便にこんな印象を抱いている!」と絶賛したくなる素敵なコメントでした。
私の周りでは、この作品は圧倒的に女性の支持が高い。それは、魔女や黒猫というモチーフや物語の世界観が女心を掴んで話さないからだというのは言うまでもないが、『魔女の宅急便』が宮崎作品の中で特殊なのは、何よりも、ヒロインが面倒くさい13歳の普通の女の子だということだ。
宮崎駿は一貫して強いヒロインを描いてきた。クラリスもナウシカもサンも重いものを背負い、自分を捨ててでもそれを守ろうと戦う。しかしこの作品のヒロイン・キキは、いつも迷い、自分自身に押しつぶされ、たまに破綻する(要するにそれが思春期なのだけれど)。世間知らずで、魔女である自分をちょっと特別だと思っていて、よくわからないところですねたり落ち込んだりする。
だからキキは、宮崎作品の中でももっとも、特に女子が感情移入してしまうヒロインなのだ。ストーリーや華やかな町並みにも心は躍るが、それよりもとにかく、キキの気持ちや人との関係性に感情を持っていかれてしまう。だから、「黒は女を美しく見せる」というおソノさんの言葉を信じて、私たちはたまに黒を着る。“ニシンとかぼちゃのパイ”を嫌いと言った少女に心から怒り、ジジの言葉が聞こえなくなった絶望を忘れない。そして時には、雨の中ずぶ濡れで帰りたくなる。
10代で『魔女の宅急便』に触れてしまった私達は、いくつになっても戦う普通の女の子をやめられないのだ。宮崎駿は当初、この作品を監督する予定ではなかったという。彼はその後も13歳の普通の少女を自分から描こうとしなかった。だからこそ、宮崎駿とキキをつないだ偶然に私は感謝したい。
川辺美希
どうでしょうか。女性目線で書かれていますが、男子も納得のコメントだったと思います。
僕らは物心がついた時に初めてこの作品を見て、キキと同じ13歳前後でもう一度見たはずです。17歳前後で「子供だなー」とちょっと見下しながらみたりもしました。そして今、キキの怖いもの知らずの行動力と、その真っ直ぐな感情表現に、自然と勇気づけられているわけです。
そうやって僕らは、ジブリ作品を見て育ってきました。
生まれた時に既にビデオとして当たり前のように存在していて、それがどれだけかけがえのないことだったか、僕達の人格形成過程にどれほどの影響を与えているのか、この文章を読んで改めて思い知らされました。
これに呼応するわけじゃないですが、同じように男子目線で「トンボ」についても書いてみたいなーと思わされる内容でした。本当に等身大の素敵な文章です。
最後に
他の10作品にもそれぞれコメントが掲載されています。
「あ、そうそう!」とか「へぇー、そうやって解釈しているんだ!」的なことまで、なんだか若い目線で書かれているような気がして、読んでいて一緒に宮崎さんの作品で盛り上がっているような、そんな気分にさせられます。(若くなかったらごめんなさい笑)
決して、世間的には有名な方々のコメントではないですが、ずっとジブリを追いかけてきたCutだからこそ書けるこの愛のある文章を、ぜひみなさんも一度読んでみてください!
冒頭の能年玲奈特集と、内田樹✕高橋源一郎✕渋谷陽一対談も合わせて、今回のCutは本当に心からオススメできる良い雑誌に仕上がっていると思います!
それでは今日はこのへんで!
ではではー!
鳥井弘文
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