『劇場版 魔法少女まどかマギカ 新編 叛逆の物語』がファンの期待に応え、『風立ちぬ』がファンを完全に無視したお話

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語 (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

祝日なのでお休みでも読みたくなる記事ということで、今日も映画のお話を!

今回は、先週観た映画『劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語』について書いてみようかなと思います。

まず、僕は「まどか☆マギカ」に関しては、アニメ版を2回通してみて、映画の前篇後編を1回ずつ観ただけなので、全然ファンと言えるほどではありません。

また、制作背景や作者のインタビューなどもほとんど目を通していないので、今回書く文章はそういったド素人が書いたものだということは、最初にお断りしておきます。その上で読んでみてください。

今年話題となった二つのアニメ映画

さて、このブログでアニメ映画といえば、スタジオジブリ作品なので、今回は『風立ちぬ』と比較しながら、少し書いていきたいと思います。

あ、もちろんどちらの作品に関してもネタバレありなので、まだ観ていない方は注意してください!

ファンの期待に十二分に応えた『まどか☆マギカ』

まず、今回の映画『叛逆の物語』は純粋に面白かったです!もうめちゃくちゃ楽しめました。本当に良い作品だったと思います。

そして、観ながら終始思っていたのは「めちゃくちゃファンサービスしている作品だなー」と。

とにかく、まどか☆マギカファンが好きそうなことを、すべて織り込んだらこうなりました!というような内容。

  • 魔法少女全員の変身シーン
  • 全員が協力して戦うシーン
  • マミさんの局所的なアップ
  • マミさんとほむらのバトルシーン
  • ループする世界
  • 小難しい衒学的な話

などなど、挙げ始めればキリがないほど、本当に何から何まで全てが詰め込まれていました。

もはや二次創作物の“期待”まで、すべてを一身に背負い込んで作りました!という感じ。それこそ、この作品自体が「まどか」なんじゃないかと思うぐらいです。

これだけファンの希望に応える作品であれば、まどか☆マギカのTVシリーズを最後まで観た人であれば誰もが楽しめて、そりゃあ好評価の作品になるはずです!

ファンに背を向けた『風立ちぬ』

一方、『風立ちぬ』は、完全にファンの期待を無視して作られた作品です。

世間が宮崎駿さんの最新作に求めるものは、きっとナウシカやトトロ、魔女の宅急便などの続編か、それに類似するファンタジー作品だと思います。

参照:ニコニコ動画を運営するドワンゴ会長・川上量生著『ルールを変える思考法』が完全に星5つだった! | 隠居系男子

宮崎駿さん本人が「今の時代は、もうファンタジーを作れるような時代じゃない」と再三発言を繰り返しているので、そういった作品はあり得ないとしても、『紅の豚』のような空を自由に飛び回る宮崎駿さんらしい作品であれば、また作ってくれるのじゃないか、そうゆう淡い期待はジブリファンにあったはずです。

しかし、いざ蓋を開けてみると、全くそういった作品ではありませんでした。『風立ちぬ』という、空を飛ばない飛行機設計士の話です。

じゃあ、零戦が空中で戦闘するシーンがあるのかといえば、それも一切ありません。空をとぶのは、飛行実験をしているシーンのみです。

では、実在する人物を用いて戦時中の話を描いているので、宮崎駿の政治的なイデオロギーが描かれているのかといえば、それもありません。

とにかく、宮崎駿さんに対して、世間が注目していることは何一つ表現されていないんです。

もちろんこういった作品になっているのには理由があり、スタジオジブリプロデューサーの鈴木敏夫さんの意図するところでもあります。

鈴木さんは「戦闘機が大好きだけれど、反戦運動にも参加してしまう宮崎駿の中にある矛盾、それを彼が得意とする“空の舞台”を使わせないで描かせたら、どう描くのか、それを僕は純粋に観てみたい。だからこの作品を作ってもらうことにした。」というようなお話を以前していました。

鈴木さんと宮崎さんの各人の想いがどれだけ作品に反映されているのかは、誰にもわかりませんが、それがスタジオジブリとなって表現された時、やはりファンの期待を完全に無視しているということが分かってもらえると思います。

どちらの手法で作品を作るのが優れているのか

では、どちらの手法で作品を作っていくのがより優れているのか、という話になると思いますが、これについては答えがないと思います。

どちらも、作品として素晴らしかったですし、純粋に楽しませてもらえました。それは間違いありません。

ただ、一つ言えることは、宮崎駿が日本のアニメ界の頂点に君臨している以上、意識・無意識関係なく、その逆に振ってしまうことになるんだろうなと。

鈴木さんも以前仰っていましたが「今、日本でアニメを作っている人が可哀想だ。宮崎駿という天才がいるから。彼の作品を意識して作らざるを得ない」と。

宮崎駿がこれだけファンを無視した作り方をしていくのであれば、こっちはファンに対してゴリゴリに媚びていこう!っていうのは、多かれ少なかれ、今の日本のアニメ制作者の中にあるのではないでしょうか。

最後に

最後に、少しだけ僕個人の考えを述べると、何かを「創造」している人間であれば、一つが評価されたら、次はまた違うことで評価を得たくなってしまうだろうなと。

たとえ、類似したものを出せばそれがまた世間から評価されるとわかっていても、それが「使命感」に変わってしまったら、一方で辛くなるというか、純粋な「楽しみ」ではなくなってしまうはずです。

庵野秀明監督の『エヴァンゲリオン』なんてまさにそう。庵野さんご本人も鈴木さんとの対話の中で言っていましたが、「僕がエヴァを作らないとファンが許してくれないんだ。だから僕は作らないといけない」と。

もちろんエヴァの新作が出続けて、それが評価されていくことは、ものすごく達成感のあることだとは思います。それこそアドレナリン出まくりで!

しかし、何かで褒めてもらったら、次はまた違うことで褒めてもらいたくなる、それが子供心ってもんでしょう。笑

僕がスタジオジブリに惹かれてしまうのは、そういった無邪気な少年が3人も集まって、ずーっと子供心を忘れずにやっているということなんだと思います。

最後は、まどか☆マギカからかなり離れてしまいましたが、今回この映画をみて僕はそんなことを考えました。

本当に面白い映画だったので、アニメ版を観た人はぜひ劇場で観てください!絶対に後悔しない映画となっています!

既に観た方はこちらの記事が、映画の考察が綺麗にまとまっています!合わせてどうぞ!

【ネタバレ】「劇場版魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語」のあらすじと考察をまとめてみました!TVシリーズをしっかり理解しておこう。 | iPhone・Macの情報発信ブログ~Number333~

それでは今日はこのへんで!

ではではー!

鳥井弘文

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