『夢と狂気の王国』はジブリを題材にしたドキュメンタリー作品史上最高傑作だった。

夢と狂気の王国

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

昨日、映画『夢と狂気の王国』を公開初日に観に行ってきました。もうホントに最高の一言です!

この作品は、2012年の秋ごろから約1年間スタジオジブリに密着して作らており、宮崎駿監督『風立ちぬ』と高畑勲監督『かぐや姫の物語』の制作風景を主な題材としているドキュメンタリー映画です。

監督は砂田麻美監督、プロデューサーはドワンゴ会長でスタジオジブリプロデューサー見習いの川上量生さん。

ほんとうに素晴らしい作品でした。僕は映画館で声を堪えながら泣いたのは、人生でこれが初めてです。驚くほど泣けました。今まで数多くのスタジオジブリを題材にしたドキュメンタリー作品を観てきましたが、断言できます。これが最高傑作です。

今回は、どの点が今までのドキュメンタリー番組と違ったのか、思わず泣いてしまったシーンの話も含めて、この映画の見どころを自分なりに少し書いてみたいと思います。

あ、ネタバレにならない程度に書くつもりですが、「何も知らずに観たい!」という方は読まないほうがいいと思います!

監督が女性ならではの優しい描き方


予告篇|映画『夢と狂気の王国』

この映画のキャッチコピーが「ジブリにしのび込んだマミちゃんの冒険」となっているように、今回の映画は砂田監督がジブリに約1年間密着してつくられた作品です。

今までのスタジオジブリのドキュメンタリーは、『プロフェッショナル仕事の流儀』をはじめ、NHKの番組スタッフが作っている事が多かったんです。しかも、主に男性。

参照:プロフェッショナル仕事の流儀・宮崎駿『風立ちぬ』特集のこれじゃない感。 | 隠居系男子

それはそれでNHKらしさが出ており、質実剛健という感じで良かったのですが、今回の映画は今までとは全く違います。

公開前夜に行われた、ニコニコ生放送の対談「3人のプロデューサーが語ったスタジオジブリの現在、過去、未来 「夢と狂気の王国」公開記念」の中でもそれは語られていました。

なんというか、描き方が非常に繊細で優しいんです。そして映像も非常に温かみがあって綺麗。

それがあまりにも美しく描かれすぎているため、スタジオジブリ関係者やアニメ制作関係者が見ると、少し違うかなーと思うところもあるらしいですが、それは“夢”の部分ということで。

もちろん、後半にいけば行くほど、この王国の“狂気”の部分もしっかりと描かれており、どちらも垣間見ることができると思います。

また、公開舞台挨拶で鈴木敏夫さんが言っていましたが、砂田監督が初めてジブリに訪れてどんな作品を作りたいのかと説明した際に「ドキュメンタリーを作りたいわけじゃない、ジブリを題材にした映画を作りたい!」と答えたらしいです。

それが鈴木さんの心を打ち、今回の作品につながったようですが、まさにその通りという映画。ドキュメンタリーを観ているというよりは、一本の映画を観ているような感じになってくるんですよね。

そうゆう意味でも、ジブリファンに限らず、多くの方に楽しんでもらえると思いますし、特に女性には非常にオススメです!

スタジオジブリ設立当初の映像がたくさん出てくる

とは言いつつ、ジブリファンにもどうしてもオススメしたい理由があります!それがこの「スタジオジブリ設立当初の過去の映像」。

当時まだ30〜40代の鈴木さんや宮崎さんが写真ではなく、動く映像として出てくるんです。

そして編集が非常に上手いため、繋ぎ目がほとんどなく、過去の映像が流れ始めたという感じを受けず、自然に見ることが出来るんです!

今まで本や話で聞いてきた物語が、実際に過去の映像として残っているだけでも感動モノですが、その映像を今回の映画の中でふんだんに使われているというのは、もうジブリファンなら絶対に見ないとダメ!

特に鈴木さんがすごい!川上さんも対談の中で言っていましたが、「今は人格者に見えるけれど、当時の鈴木さんはいかがわしい!」と。

もちろん半分冗談だとは思いますが、本当にそんな感じなんですよね!30年の月日が流れて、ジブリという作品に向き合ってくると、人はこうも変わるのかと。

そんなことをしみじみ考えさせられてしまう、本当に貴重な映像でした。

引退記者会見控室でのシーンは涙なしでは観られない。

この映画、色々なところでウルッと来てしまって、気づかないうちに自然と涙が溢れてくる場面が多いのですが、最後の引退記者会見の控室で、宮崎駿監督が砂田麻美監督を呼んで話をするシーンがあり、ここが本当に素晴らしいんです…。

僕はこの時に一気に涙腺が崩壊しました。「なぜこの期に及んでこの人はこんな話をできるんだろう?」と本当に只々感動…。

この時の編集の仕方も非常に上手で、映像効果も半端ないんです。このシーンだけでも映画館でみる価値があると思うので、ぜひ気になる方は、映画館へ行ってみてください!

最後に

公開初日の土曜日に、横浜にある映画館に観に行ったのですが、席はガラガラでした。全部で20人もいないくらい。

こんなに素晴らしい映画なのに、これじゃあ絶対にもったいない!本当に少しでも多くの人に見て欲しいと思います。

この記事を読んで、ちょっとでも興味を持ってくれた方がいれば幸いです。

あ、ちなみにこの映画のエンドロール、予想以上に短いので注意してください!僕は目が真っ赤なときに、明るくなって相当焦りましたので。笑

それでは今日はこのへんで!

ではではー!

鳥井弘文

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