有料課金モデルで高めるべきは、コンテンツの「クオリティ」ではなく受け手側との「距離感」。

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

最近至るところで言われていることではありますが、今年は有料課金モデルがひとつ潮流になることは間違いないと思います。

その方法はいろいろあって、由緒正しき有料メルマガから始まり、Synapseが提供するオンラインサロンや、noteの有料マガジン、Peatixを活用したオフラインのリアルイベントなんかも有料課金モデルに含まれるでしょう。

ご多分に漏れず、昨年うちの会社でも「編集女子(オンラインサロン)」「もとくらの袋とじ(有料マガジン)」「灯台もと倶楽部(リアルイベント)」などなど、いろいろと試してみました。

年末年始にその反省をしつつ、今後の有料課金モデルの行く末を色々と考えてみたのですが、そこでハッと気づいた事がありました。

それは、有料課金モデルで高めるべきはコンテンツの「クオリティ」ではなく、「距離感」であるということです。今日はそんなお話を少しだけ。

有料課金ユーザーにクオリティの高いものを届けたいは、作り手側のエゴ。

確かに、作り手側のサービス精神の観点からすると、「せっかく有料課金してくれたのだから、いつもより(無料で出しているモノよりも)少しでもクオリティの高いものを用意して届けたい!」と思ってしまうのが、人間の性です。日本人なら尚更のおもてなし精神です。

しかし、もうすでに最高のパフォーマンスをしようと日々努力している中で、そこから更に有料課金者のために新しくゼロからよりクオリティの高いものを作り出すというのは、無理ゲーです。

分業制が進んでいる大手出版社やマスコミならまだしも、ベンチャーや個人事業主ではまず不可能でしょうね。

そもそも、この「おもてなし精神」って、一体何なのでしょう?ぼくは思うのですが、コレってあくまで作り手側からのエゴでしかないと思います。

もし自分が読み手側(ファン側)だったら、本当に更にクオリティの高いコンテンツを望むでしょうか?「有料課金をしている私達だけに、更にとんでもないクオリティのモノを見せて!」と願うでしょうか?

「クオリティはそのままでいいから距離感を縮めて欲しい!」と願うファン心理。

その答えは否。それよりもきっと、距離感をもっと縮めて欲しいと願うはずです。

それは物理的な距離感はもちろんのこと、心理的な距離感や、時間的な距離感もそこには含まれるのだと思います。

昨年、某有料サロンを覗いてみた時に、直感的につまらないなと思ったことがありました。

それが何なのか、後に振り返ってみて考えたのですが、原因はコンテンツのクオリティじゃなかったんです。むしろコンテンツのクオリティで言えば、間違いなくサロン内コンテンツの方がクオリティが高かった。

しかし、無料の時と有料の時の距離感が全く変わらなかったのです。つまり、お金を課金しても、主宰者との距離が一切縮まらなかったんです。

だからこそ、僕はそのサロンに対してつまらないと感じてしまったのでしょう。

音楽アーティストのライブにおける、チケットの価格差による距離感の違い。

これをもっとわかりやすい例でたとえると、音楽アーティストのライブなんかをイメージしてもらえればわかりやすいかもしれません。

音楽アーティストのライブ内で披露される内容(コンテンツ)というのは、一番高い席の人も一番安い席の人も、そのライブ中に見られるセットリストは同じ内容ですよね?

しかし、その距離感は金額ごとで異なります。もちろん高い席になればなるほど、席が近くなっていく。

更に海外のアーティストなんかは最近、何十万円という高額チケットも用意していて、ライブ後に楽屋招待などもあると聞きます。これもまさに距離感の発想です。

決して、高額課金者のためにシークレットライブを開催するというようなことは行わないですし、ファンもそれを求めてはいない。それよりも、距離感を縮めるための提案の方が圧倒的に喜んでくれるわけです。

コンテンツのクオリティは日々追い求めるべき。

誤解してほしくないのは、コンテンツのクオリティを今以上にあげる必要がないと言っているわけではありません。

そこは常に最高のパフォーマンスを追い求め、日々鍛錬し続けるべきです。そこをサボった時点でもう終わり。未来はない。

僕がここで強調したいのは、有料課金モデルを採用するうえで、そこをゴムのように引っ張ったり縮めたりするというのは、意図的にしないほうが良いということです。コンテンツに対しては、常に全力であれ、です。

じゃあ、一体何で有料課金の柔軟性を担保するのかというと、それは「距離感」なのではないか。それが今日の記事で書きたかったことです。

「セルフフライデー方式」はファンとの心理的距離感を縮める上で効果的。

その一つの答えとして、うまくいっているのが昨日もご紹介した「セルフフライデー方式」を採用している「月刊 はあちゅう」なんだろうなと思います。

参照:インプットした流れで、過去の自分のアウトプットも読み返す。 | 隠居系男子

音楽アーティストの例は「物理的な距離感」だけだったわけですが、はあちゅうさんの場合は「心理的な距離感」を縮めているわけですね。

最後に

「距離感」という言葉が分かりづらい場合、「友達」というキーワードでも良いかもしれません。

参照:「ユーザーと友達になること」の重要性。『シャオミ 爆買いを生む戦略』を読んで。 | 隠居系男子

さて、有料課金モデルで高めるべきは「クオリティ」ではなく「距離感」であるということがわかったうえで、ではメディア運営における「距離感」とは一体何なのでしょう?

そんなことを考えつつ、この1年でまた色々とチャレンジしていきたいなと思っています。

それでは今日はこのへんで。

ではではー!

追伸:この記事の続きを書きました↓

受け手側とのタッチポイントを増やすときは、距離感の違いを意識した方がいいというお話。 | 隠居系男子

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