メディアで稼げないのではなく、稼がない。「ローカルメディアのつくり方」の収益面に思うこと。

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

先日神保町のEDITORYで行われたイベント「ローカルメディアのつくり方」。

こちらのイベントに「灯台もと暮らし」の編集長・佐野が登壇させていただきました。

当日のイベントの内容は、「らふらく」の鈴木さんがリアルタイムでツイートしてくださって、更に以下の様なイベントレポート記事まで書いてくれました。本当にありがたいです。

ただ、これだけを読んでしまうと誤解してしまう方もいるのかなと思ったので、今日は僕の方から少しだけ補足しておきます。

「ここまで工数をかけて、手をかけて記事を作ったとしても、収益がゼロならウェブでローカルメディアなんて作るのはやめようかな。」なんて、どうか思わないで欲しいです。

運営者が満足して食べていける分であれば、簡単に稼げる。

まず、端的に言ってしまうと、ウェブメディアをコンスタントにまわしていくには、3〜5人ぐらいが携わっている必要があり、その3〜5人程度が満足に食べていけるだけの収益を出すことは、ウェブメディアの場合であれば可能です。

個人ブログとはまた違いますからね。法人化して、しっかりと運営していけば、それほど難しくはないのが実情です。

また、収益化と、PV増や認知度拡大は似て非なるもの。

どこまで言っていいのかわからないので、具体的な名前は伏せておきますが、似たようなことをやっているメディアは、それほど世間的には認知されていないとしても、しっかりと収益化できています。

特にローカルメディアの場合(自分は作ったことがないので、そこまで自信満々に言えるわけではないですが…)PV・認知度向上は難しくとも、その分、読者も広告主も「その地域の人々がメイン」と明確になるので、もっと簡単に収益化できるはず。

ではなぜ「灯台もと暮らし」は収益化しないのか?

「では、なぜお前たちはそれを実践しないんだ?」と思われるでしょう。

その理由は、僕らはこの「灯台もと暮らし」というウェブのメディアを従来のメディアが実践してきたビジネスモデルとは、また違ったやり方で収益化をしていきたいと思っているし、拡大させていきたいと思っているからです。

関わっている全員が満足に食べていけるためだけではなく、もっとメディアとしての機能とは何なのかということを改めて捉え直して、自分たちの納得のいく1次コンテンツを作り続けていくことで、もっと高みを目指したいと思っています。

だから今は、下手に広告とかは入れたくありません。そうすると従来までのメディアと同じ形式、同じやり方を踏襲しなくてはいけなくなってしまうので。

もちろん、僕たちもどこかのタイミングで従来のやり方を踏襲するタイミングが来るかもしれません。でも今のところは、受託業務の売上でお金の部分には特に困っていないので、まだしばらくは広告バージンは守っていきながら、違うやり方を模索してみようかと思っています。

受託業務を行うことで、社内の成長につながる。

ここまで読んできた方の中には、「そうはいっても、そのために受託の業務を行って、自分たちの本業の時間を取られてしまっていたら、本末転倒じゃないか!」と思われる方もいるかもしれません。

でも、それは大きな誤解で、実は受託業務から学ぶこともとても多いのです。20代しかいない若い会社だからこそ、このようなやりとりをさせてもらう経験はものすごく貴重な経験の場となっているのです。そこで得た様々なノウハウが、そのままダイレクトに「灯台もと暮らし」にも反映されていたりもします。

参照:20代後半で起業してよかったなと思う理由。 | 隠居系男子

確かに受託の業務をこなすために、時間はかなり掛かってしまうというのは事実ではあるのですが、今はこの循環がとても良いなと思っているわけです。

受託のメリットは、「バランス感覚の養成」と「メディアの急速な発展の防止」

では具体的にどのようなメリットがあるのかと言いますと、まずは好きなことと社会のニーズのバランス感覚が養えることです。

広告出稿主も株主もいない中でウェブメディアを好き勝手運営していくと、やはりどこかで社会のニーズとのズレが生じてきます。

でも、受託業務のほうでしっかりと社会のニーズと合った記事も作っているので、「社会との繋がり」みたいな感覚も忘れずにいられる。だからこそ、常識的な価値観、世間の欲求というのも常に意識しながら自分たちのコンテンツも作っていくことができます。まずは、これが一つ目の受託業務のメリットです。

そしてもうひとつは、受託が良い感じの足枷になっていて、メディアの急速な発展を妨げることができるということです。

「え!?メディアが急速な発展を遂げて、拡大していくことはいいことじゃないか!」と思われるかもしれませんが、メディアの拡大とメディアの急成長は全く意味が異なります。そして、メディアで一番やってはいけないことは急成長だと僕は思うのです。

メディアは、徐々に徐々にその認知を広げていき、拡大していくのが一番健全な形。コンテンツの質が育たない段階で、多くの人の目に触れるようになったとしても、それは結局バブルが起きていることと同じですから。

メディアとしての編集機能が育つまでには、ある程度時間が掛かるのも当然だし、むしろそこに時間を掛けるべきだと思います。これは、今までの自身の経験や、良いメディア・悪いメディアを見比べてみてもそう感じます。

チームワークや編集ノウハウ、そのメディアの色や“らしさ”が出るまでは、ある程度粘ることが絶対に必要不可欠。

「本当に人様の役に立つ記事とは何なのか、自分たちが表現していきたいことは何なのか」それを自分たちの頭でしっかりと1つずつ考えていくためにもその時間は必要で、その時間を与えてくれる良い足枷が受託業務だなと思うわけです。

最後に

さて、色々とダラダラ書いてきましたが、この記事の結論としては、従来のやり方でも、稼げるメディアを作りたいんだって言う人は、ぜひ自分が作りたいテーマや地域でサクッとメディアをつくってしまい、はじめから自分たちが満足に食う分だけを稼いで、ドンドン回していけばいいと思います。

そうではなく、今までになかった新たな形のメディアを目指し、そのためには受託を受けながらでもいいから、理想的な形を追求していきたいというのであれば、存分に自分たちのやりたいことを突き詰めていくべきだと思います。

僕らは「灯台もと暮らし」を通じて、後者のロールモデルになれるように努力して、他の方も実践できるような横展開できる仕組みを提示していきたいと思っています。

それでは今日はこのへんで!

ではではー!

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