消費者は必ず「購入」して「所有」しなければならないのか?

最近よく思うのですが、消費者は必ず購入して所有しなければいけないんでしょうか?

たとえば、今にも消えてなくなりそうな伝統工芸品があったとします。

それがなくならないようにするためには、一般的には消費者が買い支えないといけません。

でも、手の込んだ商品ほど高額になるし、今の暮らしの中にも落とし込みにくいものが多い。リデザイン(リブランディング)にも限界があります。

「たとえそうであったとしても、その伝統工芸品に共感し、支えたいと思うなら購入して支えろ!」というのが今の当たり前であり、常識です。

しかし、現代の若者たちの収入が軒並み下がり続けている中で、購入し所有することを強要すること自体がナンセンスだなあと、僕なんかは思うのです。

所有しなくても、その精神に触れることが一番の喜び。

極端な話、買わなくても、僕らの世代は満足できるんです。

職人さんたちのものづくりの姿勢に触れるだけで、自分の生き方や働き方に強い影響を受けて、自分の人生が豊かになっていく。

だから自然と支えたいと思う。自分の暮らしの中で、その伝統工芸品がフィットするかどうかというのは、また別のお話なんです。

でも現状は、商品を購入して買い支える以外の方法は存在しない状態。

デニムは購入しなくても、支援はする。

少し話が逸れてしまいますが、現在開催中のEVERYDENIMのクラウドファンディングは非常にわかりやすい例なのかなと思います。

彼らのクラウドファンディングは、目標達成金額の300万円を大幅に上回り、現在450万円を越えました。

参照:キャラバンで「移動型販売」をしたい!デニム兄弟が新しい小売りにチャレンジします! – CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

既に200人以上の支援者が現れていて、そのうち40件以上の支援は彼らのデニムを購入する以外の支援です。

つまり、彼らのデニムを直接購入しなくても、EVERYDENIMの二人の活動は支援したいと思ってくれている人たちが実在するわけです。

その理由は様々で、「デニムは自分のワードローブには合わない」とか「普段はスカートしか履かない」という女性など。

それでも、彼らの活動自体には共感してくれて、支援してくれるわけです。

きっと、これからの時代の購買活動の中で得られる消費者の満足感というのはこういうことなんじゃないのかなと。

実際に購入し所有することで満たされる心だけが、購買活動じゃないと思うんです。

ものづくり精神に触れたくて、お金を払う。

商品自体は購入しなくても、そのものづくり精神に触れたくてお金を払う。

これはつまり、人々の購買行動が消費・浪費から、投資に変わってきているということなのかなと。

だからこそ、伝統工芸品のような衰退産業ほど、高額な商品を購入するだけの「買い支える」以外の方法をもっともっと柔軟に増やしていくべきだと思います。

具体的には、上述したようなクラウドファンディングだったり、毎月定額で500〜1,000円を支払ってくれるようなマイクロパトロン制度の導入だったり。

その見返りとして、日々更新される職人さん自らの情報発信や、定期的に行われる講演会、職人さんのものづくりの現場に実際に訪れる機会などを増やし、そのものづくり精神に触れられる機会を増やしてくれると嬉しいなと。

最後に

商品以外の優待のバリエーションが増えること。それが今のものづくりに求められていることなんだと思います。

いつもこのブログを読んでくださっている方々の何かしらの参考になれば幸いです。

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