湯川鶴章著『未来予測 ―ITの次に見える未来、価値観の激変と直感への回帰』を読んで。

未来予測 ―ITの次に見える未来、価値観の激変と直感への回帰

今年の夏の天候は毎日必ずと言っていいほど雨が降っていて、気候の変化を感じずにはいられませんよね、どうも鳥井(@hirofumi21)です。

さて今日は、最近読んで非常に参考になった電子書籍、湯川鶴章著『未来予測』について書いてみようと思います。

湯川さんは、ネットメディアとして有名な「TechWave」を開設し編集長をなさっていた方で、この書籍以外にも著書多数です。

最近では中国の微信(中国版LINE)をテーマに記事も書いていたりと、これからおもしろく発展していきそうな分野に早くから目をつけていて、僕がいつも参考にさせてもらっている方です。

この本は、キンドルセルフパブリッシングという機能を使っていて、出版社を通さずに作られているため、紙の本では存在しません。

題名だけではなく、そうゆう意味でも未来感を感じとれる書籍となっており、Kindleが使える環境下にある方しか読むことはできませんが、それでも非常に示唆に飛んだ書籍だったので紹介させて頂きます。

1.ネット産業にNext Big Thingはもはや存在しない。

Yahoo!、Google、Facebookというようなインターネット業界全体に壮大な影響力を持つ業界の覇者になるような企業は、これからはもう登場しないのではないか、と思う。代わりに今起こりつつあるのは、あらゆる業界における地殻変動だ。インターネットという地殻変動はまずインターネット業界という自らの業界を大きく揺さぶったあと、次に周りの業界を揺さぶり始めた。その揺れは、すべての業界にまで伝わっていくのだろう。


これは、インターネット業界に興味があって、その動向を追っている人達であれば、なんとなく実感していることではないでしょうか。

これだけインターネットがインフラとして発達してくると「ネット分野だけで発展する」という企業は完全に出尽くした感はあると思います。

もちろんこれからさらなる技術の進歩で、インターネット業界ができる範囲はどんどん広がってくると思いますが、その時に大切になるのは「インターネット+α」なんだと思います。

2.新しい生き方の誕生。

では、その+αとはなんなんだ?と考えるときに、本書でも度々紹介されているイケダハヤトさんの例が参考なるかと。

イケダハヤトさんは自己のブログや書籍を通して「自分らしく楽しく生きるという価値観」を主張し続けています。

それを伝える際の表現方法が、稀に過激過ぎることもあり、賛否両論ありますが、大きな方向性としては決して間違ってないと僕も思います。

湯川さんも本書の中では以下のように述べています。


イケダハヤトさんの考え方が主流になるとTwitter上でつぶやけば、あっという間に私のTwitterアカウントは炎上するだろう。でも「自分らしく楽しく生きるという価値観が主流になる」という主張に対しては反論はほとんどこないと思う。

これからは、個人が急速にブランド化されていくことは間違いありません。

そのなかで「自分が考える楽しい生き方」が共通という人同士が、強固につながっていく。つまりそれは評価経済社会になっていくということです。

個人個人のつながりが非常に大切になってきて、金銭よりもどのコミュニティにどのような評価を得ているのかということが重要になってくる。

でも、そんなことじゃ儲からないから生きていけないと思う方もいるかもしれません。

しかしこの生き方も、実はしっかりと「儲ける」ことができているんです。

3.「儲かる」という言葉の本来の意味は?

「儲かる」という言葉の定義を湯川さんはコミュニティーデザインで有名な山崎亮さんの言葉を使って説明しています。


山崎亮さんによると「儲かる」という言葉の本来の意味は金銭だけに限定されるものではないという。「友をもうける、子供をもうける、とか、江戸時代までは、もうけるという言葉は相当広い意味で使われていた。もう一度、儲けるの意味を元に戻したい」と山崎さんは言う。 地域活性化の仕事は儲からないと思われがちだが、「広い意味では、めちゃくちゃ儲かるんです」と山崎さんは指摘する。

イケダハヤトさんも厳しい批判に晒されながらも、彼なりに儲けている。それは金銭的な部分だけではなく、山崎亮さんがいうように広義の意味での「儲ける」というカタチで。

これからはこの広義の意味での「儲ける」という仕事をする人がドンドン増えてくるというのは間違いないでしょう。

4.広義でも狭義でも「儲かる」ビジネスとは?

しかし、狭義の意味でも儲かる必要がある!と主張する人に、どちらの意味でも儲かるビジネスとして湯川さんは「コミュニティの中で奉仕し、そのコミュニティの周辺に発生するビジネスチャンスを掴むということ」というのがひとつの方法だと言います。

地縁コミュニティ、匿名オンラインコミュニティ、実名オンラインコミュニティ、同じ生活圏内での同じ趣味や嗜好を持った人たちのコミュニティなど、いろいろなコミュニティが今後も次々と生まれ、ほとんどの人は幾つものコミュニティに属することになると。

そして、そのコミュニティの周辺で大小様々なビジネスチャンスが発生するようになるのではないかということです。

ではここで言うコミュニティの具体的な定義はなんなのでしょうか?

ここで言うコミュニティの定義としては…

  • メンバーが自分の意志で参加していること(強制参加ではない)
  • プロジェクトを自分事として捉えているということ
  • 参加動機が「やりがいがあるから」、「やっていてたのしいから」であるということ。
  • メンバー同士に仲間意識があること。

僕がこれを読んだ時に、すぐにピンときたのがアイドル業界。

今、アイドル業界はものすごく勢いがありますが、アイドルオタクの人たちにはこの定義がキレイに当てはまる存在だと思います。

また他にも、サブカルチャーを媒介としてつながっている人々や、地方に新しく形成されつつある望んで集まっている人々のコミュニティなんかも、この傾向が強いと思います。

5.アジアで日本のコンテンツを正規ルートで売るためには?

話は少し横道にずれますが、本書の中で湯川さんは日本のコンテンツが海賊版や、違法ダウンロードによりなかなか思うようにビジネスにつながらないというところの解決方法のひとつとして、コンテンツにコミュニティ要素を加味したネットサービスを作り出し、そこで一緒に広げていけば良いと述べています。

これは僕も賛成です。

確かに、どこの国にも既にそのモノが好きな人間同士がネット上に集まって情報交換をしている場(2ちゃんねるのようなもの)がありますが、それを公式が提供しているとなれば話は別です。

公式の商品情報や特典映像をベースに議論が行われ、コミュニティ参加型のイベントなどが行われれば、自然と人は集まるはずです。

6.途上国は法整備が進んでいないからこそ、リバース・イノベーションの可能性あり!

上記のような場を新しく作り出すときに、弊害になるのはやはり、既にある法律や既得権益だったりします。

湯川さんは、これに対して法整備の整っていない途上国だからこそ、法の規制を受けずにテクノロジーを最大限生かしたコトを行うことができ、それがリバース・イノベーションにつながると、述べています。

昨今日本で、音楽コンテンツや電子書籍をめぐり、色々な団体が揉めていることをみればその弊害は明らかでしょう。

しかし、途上国であれば、そのような新しい試みが実現する可能性は非常に高い。

僕らが東南アジアの途上国にこだわる理由もここにあります。東南アジアの途上国から、新しい価値観のもとで生まれた新しいタイプのコミュニティに奉仕できるようなサービスを成功させ、リバース・イノベーションを起こしながら、それを日本に、そして世界に広げていくことができる。

今はその実験として、新しいコミュニティの人々の行動原理というか行動心理が知りたく、更に色々なご縁も重なって、日本のアイドルのコミュニティに奉仕できるようなサービスをいくつか制作しているところです。

日本を好きな人々に真剣に向き合い、国内外問わず、日本という国が生み出した素晴らしいコンテンツを媒介にしてつながっている人々、そのような方々に奉仕できるようなモノを上手く作っていくということが今僕らが目指しているカタチです。

今回この本を読んでみて、自分が漠然と予測していた未来を上手く言語化してしてくれていたので、腑に落ちた部分が多かったのです。
そんな意味でもこの本はホントにおすすめ!!

今回のブログでは全く触れませんでしたが、スピリチュアルな話もド真剣に語られていて、この部分も非常に面白い考察がなされています。

なにか新しい流れは感じるんだけど、そこを掴みきれずモヤモヤするというような人にはぜひ読んで欲しい一冊です!

既に1000部販売し、好評みたいですし!

「ITの次に見える未来」が電子書籍だけで1000部売れました【湯川】 | TheWave

[KDP事例] 湯川鶴章「未来予測」:1,250円の電子書籍を1,000部販売! – ihayato.書店 | ihayato.書店

それでは今日はこのへんで!

ではではー。

鳥井弘文

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