どうも鳥井(@hirofumi21)です。
言わずと知れた、日本で最も影響力のあるブロガーの一人、ちきりんさん。その彼女が『「Chikirinの日記」の育て方』という電子書籍をセルフパブリッシングの形で出版しました。
この本は、ブログ運営のノウハウ本のように見えますが、完全に似て非なるもの。
ご本人もおっしゃっていますが「9年間ブログを運営してきたその実態と舞台裏」であり、ちきりんさんの行動指針が、過去の出来事と一緒に理路整然と語られている内容となっています。
この本に関して、すでに多くの方が書評を書かれているので、今更僕がこの中からブログ運営に使えそうなノウハウをピックアップしたところで、きっと他の人が既に書いているものと被るはず。
なので今回は、この電子書籍をもとに「なぜ彼女のブログが、これほどまで大きくなり得たのか」その成功要因を、自分なりに探りながら書いてみようかなと思います。
ポイントは「まだ本気出してないけど…?」です。
ドラゴンボールでいうところのフリーザ的存在。
ちきりんさんのブログを何度か読んだことがあり、彼女のキャラをある程度理解している方であれば既にご存知だと思いますが、ちきりんさんは基本的に“やる気”がありません。
やる気がないというか、全く力が入っていない状態。
例えば・・・
- ソファに寝転んで何時間でも韓国ドラマやゲームをしていたい。
- 旅行や美術館鑑賞ですら、出かける前はめんどくさくて中止したくなる。
- 予定は週に3つで十分(1日に3つではない)
というような感じで、「アポが多い、忙しすぎる」というのがとにかく大嫌いなお方。
にもかかわらず、ブログは月間200万PVを達成。更にブログをきっかけに既に4冊も本を出版しているという…。
この状態、誤解を恐れずに言えば、まさにネット界のフリーザ的存在といえるのではないでしょうか。
「面倒くさいことは大嫌い。好きなことだけやっていたい。片手間にやっているように見えて、めちゃくちゃ強い。」
そして、自分が欲しいと思う分野はなんとしても取りに行くところ。どこをとってもフリーザです。笑
このスタンスがウェブとの相性バツグンだった。
僕はこのちきりんさんの「力が入っていない状態」と「フリーザ的存在」というのが、めちゃくちゃウェブと相性が良かったんだなと思っています。
ウェブ記事と言うのは、気合を入れて読むものじゃない。
以前、僕がオーディオブックサイトFeBeを運営をしているのオトバンクのオフィスを訪れた際、ちきりんさんの話題になって凄く印象に残っていることがあります。
それが、社員の方がおっしゃっていた「ちきりんさんのブログって気合入れて読むもんじゃないよね!息抜きみたいにして読めるところがいい!」というお言葉。
これは、確かになーと思いました。
個人的には、自分もブログを運営している立場なので、ちきりんさんのブログは内容だけに留まらず、文章の言い回しや間合いの取り方など、細かいところまで注意しながら読んでしまうのですが、大部分の方はそうではないと。
また、BRUTUS編集長のインタビューの中で、ウェブの特徴を捉えた以下の様な記事がありました。
――紙とウェブの読み物には、どのような違いがあると考えていますか。
西田氏:そもそもの成り立ちが違います。ウェブは断片的に自分の好きなものを選んだり、偶然出会ったものをランダムに読んでいくものですから、トータルで考えると1つのことを習熟するためには時間がかかるわけですよね。その分、うっすら全体で何が起こっているかを確認するにはいいし、いつもガヤガヤするような場所に座って聞き耳を立てているようなものだと思います。
ちきりんさんのブログは、息抜きのように読むことができ、「あー確かにそうかも!」とうっすらと全体像を理解することができる。まさにウェブにピッタリの記事となっているんです。
ウェブ上に多く存在するベジータ的存在に標的とされた。
さて、「フリーザ的存在」の良かった点は、良くも悪くもウェブ上に多く生息するベジータのような人たちに標的とされたことでしょう。
ウェブ上には御存知の通り、ベジータのような人たちが多く生息しています。
めちゃくちゃ才能に溢れていて、頭も良い。その分プライドも高く、負けることを人一倍嫌う、本気でかかってこないヤツが許せない・・・
などなど、あまり深く言及しなくても伝わると思うので省略しますが、要はそういった人たちの標的となってしまったために、数多くの挑戦状を叩きつけられたと。
そして、その度に「俺はサイヤ人の王子!!ベジータ様だ!!!」っていうデカイ声と共に、「対戦相手だれだれ??」というカタチで多くの方に知られるようになっていったのだと思います。
スタンス的にはこれが正しい。
この本の中でちきりんさんが、再三主張しているのが“自身のメディアを持つことの重要性”です。
「なにかおもしろいことができる、自分の場所をもつこと」。そのための「Chikirinの日記」という場であると。
そういった自身のメディアを作り上げ、長く保ち続ける為には、このスタンスが正しいのは間違いないでしょう。
それは、タモリさんの『いいとも!』や、黒柳徹子さんの『徹子の部屋』がそうであるのと同じように、長く続けていくためには、気合が入りすぎていないことが何よりも大切。
切羽詰まった状態ではなく、ある程度余裕を持たせた方が、良いパフォーマンスを発揮できるのは、人間も機械も同じこと。
確かに時として負けられない戦いがあり、120%のパフォーマンスを求められるときもあるけれど、それはあくまでも例外。それ以上に肩の力を抜いて常に同じペースで、相手を自分のフィールドに誘い込んだほうが絶対に良い。
そうすることで、精神的・肉体的な消費も少なく、長く続けていくことができるわけです。
最後に
ちきりんさんがこのスタンスを続けていられるのも、「以前はバリバリの外資系キャリアウーマンだった」ということも要因の1つでしょう。
「本気出していないけど、でも、出したらわかるよね…?」という牽制になっている感じ。
だれも彼女が書いた文章が、100%の能力で書かれたものだなんて思っていない。わかっていながら敢えて”おちょくってる”んだなって思っています。
まさに、“刀を抜かないために、刀を極めた”というような意味合いがそこにはあるはず。
ご本人も本書で書かれていますが、ぜひ今後もこのペースで続けていって、「Chikirinの日記」をネット上の『徹子の部屋』や『テレフォンショッキング』のような場所に育て上げていって欲しいです。
今後もちきりんさんの動向に注目ですね!
それでは今日はこのへんで。
ではではー!
鳥井弘文
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