どうも鳥井(@hirofumi21)です。
今日は久しぶりにビジネス書の書評です。
『ITビジネスの原理』を手にとった経緯は、このブログでも何度も取り上げている「荻上チキ Session-22」に著者の尾原さんがご出演なさっていたから。
参照:2014年05月07日(水)尾原和啓1「NEC WISDOM Square」 – 荻上チキ・Session-22
これからITを使ったビジネスを立ち上げようと考えている若い世代や、「MATCHA – 訪日外国人観光客向けWebマガジン」の若いメンバーにぜひ読んで欲しいので、今回この本をご紹介してみようと思います。
ITビジネスの“原理原則”をイチから学べる本。
本書には決して目新しいことが書かれているわけではありません。
しかし、内容がとてもキレイにまとまっていて、文章も平易で読みやすいです。まさにITビジネスの“原理原則”を学ぶ上で最適な書籍。
たまたま目に入ったアマゾンレビューに「ITビジネス界の池上彰」と書いてあったんですが、まさにそんな感じ。
既にITビジネスである程度稼いだ経験がある方であれば、多少物足りないような気もするはずです。しかし平成のデジタルネイティブ世代にとっては、自分たちが物心つく前のインターネットの黎明期から、現在に至るまでの変遷が詳細に書かれているので最適だと思います。
「ITが生まれたことによって世の中の何が変わったのか?」という話にはじまり、現代のソシャゲの課金システムの構造まで、こんなにわかりやすくITビジネスの歴史を振り返る事ができる書籍は他にないでしょう。
第5章「ITの目指すもの、向かう場所」だけでも読んで欲しい!
更にこの本のすごいところは、ITビジネスの歴史をひと通り語ったうえで、今後予想されるITビジネスの行く先も最後の章で提示してくれているところです。
以下で少し本文を引用してみましょう。
100円ショップ「ダイソー」の矢野博丈社長が面白いことを言っていました。いまダイソーの平均客単価は500円くらいで、平均滞在時間は30分くらいなんだそうです。矢野さんは、ダイソーという会社は100円の商品を売っているのではなくて、このお客さんが店に滞在している30分という時間を売っているのだ、と言うのです。
(中略)
つまり、ダイソーでは品物そのものだけでなく、店の空間全体、個々の品物が背景に持つ物語、それを買った自分の物語、それらを全部ひっくるめて売っているということです。
これはとてもハイコンテクストな考え方であり、ビジネスのやり方です。 ショッピングが楽しいのはそういうプロセスで、自分に対して少し枠を広げてあげる、余白の時間を提供するというのは、とても素晴らしいことだと思うのです。そしてそれがインターネットにおいて単純な価格勝負の競争に陥ってしまうことから救ってくれるのではないかと思うのです。
以前、「人が人のファンになる瞬間。日常を大切にするということ。」という記事の中でも書きましたが、インターネットは「コストカット・効率化・承認欲求」の次のフェーズに入っています。
第5章ではこのように、その次のフェーズについて書かれており非常に読み応えがあります。今後のITビジネスのヒントになるようなことが沢山書かれているので、この章だけでも”部分読み”して欲しいぐらいです。
最後に
本書の最後に、尾原さんは以下のように書いています。
私は、日本という国に、次の10年をリードするインターネットの原理とポテンシャルが眠っていると考えています。みなさんは日本という国が持っている力を、自分たち自身で過小評価してしまっていないでしょうか。
日本は、コミュニケーション消費やハイコンテクストによる余白・余剰生産の先進国です。それらは楽天やニコニコ動画といったネット上のサービスだけではなく、茶道、ダイソーといった生活の中にたくさん眠っています。
こうしたものが、多言語・非言語の時代に世界に羽ばたいていくこと。仕掛ける側のみなさんが次の世代をリードしていかれるよう期待しています。
まさに僕らのような若い世代へ向けて書かれた本だと思います。気になる方はぜひ読んでみてください!
きっと後悔しないはずです。
それでは今日はこのへんで!
ではではー。