その土地に残っている方言が、なぜ未だに残っているのかを考える。

「おがってる」

みなさんはこの方言を知っているでしょうか。

僕の地元、北海道の方言で「育っている、成長している」という意味です。

「育っている」や「成長している」では言い表せない感覚。

先日、「灯台もと暮らし」の取材で福島県昭和村を取材したときのこと。

参照:土からうまれた糸を継ぐ【福島県大沼郡昭和村】特集、はじめます。 | 灯台もと暮らし

「あの『からむし(麻の一種)』がおがっている様子を撮りましょう!」とついつい僕の口からでてしまいました。

そのときに、一緒にいたメンバーが全員「へっ?」って顔をしていて、その時にやっと自分が方言を話していることに気がつきました。

では、なぜ僕はこのときに「おがっている」という表現を使ったのか?

「育っている」や「生えている」じゃダメなんです。

それだと、なんというか“気高さ”が足りません。

今この場所に、からむしがからむしとして全身全霊で生えている様子。その在り方は「おがっている」という言葉でなければ、自分の中では言い表せられなかったんです。

たまたま自分の中からでてきた「おがる」という言葉に、そんな意味合いが込められているとは自分でも気づいていなかったので、ものすごくハッとさせられました。(※少なくとも自分にとっては、です。)

北海道の気候風土の影響を受けている言葉。

僕自身が北海道という大自然の中で育ってきて、両親が当たり前のように“おがっている”という表現を使っていたから、自分の中でも未だにその方言が残っていたんだと思います。

他にも、北海道弁であれば「しゃっこい」もそう。

冷たいという意味なのですが、標準語の「冷たい」という言葉では、やっぱり言い表せない感覚がそこにはあります。

北海道にある雪や氷など、その想像を遥かに超える冷たさに触れて条件反射的に「しゃっこい!」と言ってしまう感じ。

同様に「しばれる」もそう。「寒い」という標準語では言い表せない雪国の痛さが伴う寒さをあらわしている気がします。

最後に

未だに残っている方言には、他の土地には存在しない、その土地ならではの感覚や感情が詰まっているような気がします。

それはきっと気候風土や文化などの影響によるもの。

だからこそ、聞きなれない言葉が出てきたら、その意味を具体的に尋ねてみる。

そして標準語だと言い表せない感覚なのかを、さらに一歩踏み込んで聞いてみる。

そうすると大抵の場合は「無理かもしれないですね…。」という言葉が返ってくるので、「それはなぜですか?」と深ぼっていく。そうすると、案外おもしろい答えに辿り着けたりします。

ただそれだけの話なのですが、これが結構おもしろい。

みなさんも聞き慣れない方言を耳にしたら、ぜひその意味を深ぼってみてください。

何気ない方言から、その方々が暮らす土地の魅力を垣間見ることができるかもしれません。

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