いま日本の地域に必要なのは、手札の提示じゃなくて、“手札の切り方”の提示です。

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

「うちの町には、美味しいごはん、美しい自然、暮らす人々の魅力、◯◯年続く伝統(祭り)があります!」って地域の皆さんは、ドヤ顔で言うんですよ。

別にどこの地域が、というわけではありません。地域起こしに力を入れよう考えている地域の皆さんは、どこも例外なくそうです。

それを聞いて、最初は「すごい!!」って思うんですよ。全部東京にないものですからね。

でも、それを全然違う地域で3回ぐらい連続で聞いてしまうと、正直飽き始めるんです。

「あれ…?差異はあるけれども、どこも同じじゃない…?」って。

最近だと「夏にはホタルが…」って聞こえてきた時点で「あー、またか。」って思ってしまう自分がいます。

もちろん、その“素材”は素晴らしいんですよ。それは間違いありません。

でも、もう一つなにかオンリーワンなものが欲しいと思ってしまうのです。今日はそんなお話です。

手札の切り方に共感をしてくれた人たちが、町に愛着を持ってくれる。

地域に暮らす人々が、美味しいごはんや美しい自然を主張したくなる気持ちも、とてもよく理解できます。

東京から訪れ人たちがみんな眼の色を変えて、そこばかりを褒めてくれますからね。

でも、褒めてもらえている部分というのは、あくまでその町が持っている手札でしかないと思うのです。

もちろんその手札が強ければ、みんな「すごーい!」って褒めてくれるでしょう。

でも本当に大切なのは、その手札をどのように切ろうとしているのか、どんな勝負を仕掛けようとしているのか、ということだと思います。

そこにその町らしさがあらわれてくる。

そして、その手札の切り方に心底共感してくれた人たちが、リピーターの観光客となってくれたり、移住者になってくれたりするわけです。

参照:全くジャンルの違う大人同士で仲が良いのは、隣の芝生が青く見えているわけではなく、その戦術やセンスに共感するから。 | 隠居系男子

その町に愛着を持つというのは、きっとそういうことだと思います。

嫌われることを恐れずに、町のコンセプトを掲げるべき。

人によっては、せっかく掲げた手札の切り方を毛嫌いする人もいるでしょう。

「せっかくの町の良さが台無しだ!」とか「もっと良い活用方法がある!」とか。

でもそれでいいんだと思います。それがなければ、「この町じゃなきゃダメ!」と選んでももらえない。

信念みたいなようなものだと思います。これだけは譲れない、というような。この町が、自分たちの意志でどんな町にしていこうと考えているのか、そのコンセプトのようなものが絶対に必要です。

それは、「人を遠ざける編集」にも近い話かもしれません。

参照:人を集めるだけが編集じゃなくて、人を遠ざけることも編集。 | 隠居系男子

今もう一度「始める人」になることの重要性。

地方になればなるほど、この手札の切り方の言語化をサボりがちなんですよね。

なぜなら、あくまでも自分たちは「引き継いだ人」だから。

会社で言えば、二代目、三代目社長と同じポジションであるということなのでしょう。

自分たちの強みである手札ばかりを強調して、肝心なその手札の切り方は提示しない。

先代が遠く昔につくりあげた理念を、今も変わらず大事そうに使い続けている。

でも、今あらためて自分たちが「始める人」にならなければ、人口がドンドン減少していく中で、町の衰退は避けられません。

これまで、「灯台もと暮らし」の地域特集で取り上げてきた地域は、今あらためて自分たちが「始める人」になろうと決意し、強い意志で動いている人たちが暮らす町です。

具体的にどんなコンセプトを掲げているのか気になる方は、島根県海士町徳島県神山町高知県土佐町岩手県遠野市など「灯台もと暮らし」の地域特集を読んでみてください。

最後に

「年収1000万、東大卒、高身長のイケメンです!」と言われると、そんな人種と会ったことがない人たちからしてみれば「すごーい!」となるでしょう。

でも、そんな人に3人ぐらい立て続けで会ってしまうと、「で…?」って思い始めるはずです。

大切なのは、その恵まれた才能と容姿、資金を使って人生を賭けて何に挑戦しようとしているのかっていうことですよね。

そこに、その人らしさがあらわれてくるはずです。

結局、町も人も同じ。大切なのは、手札じゃなくて手札の切り方なんだろうなあと思います。

そんなことを考える今日このごろです。

それでは今日はこの辺で。

ではではー!

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