映画『人生フルーツ』は、パンクな映画。

先週末、映画『人生フルーツ』を観てきました。


小さな現実を淡々とつくり出すこと。

詳しいあらすじは、公式サイトをぜひ読んでみて欲しいのですが、本サイトから少しだけこのブログで紹介しておきたい部分を引用しておきます。

かつて日本住宅公団のエースだった建築家の津端修一さんは、阿佐ヶ谷住宅や多摩平団地などの都市計画に携わってきました。

1960年代、風の通り道となる雑木林を残し、自然との共生を目指したニュータウンを計画。けれど、経済優先の時代はそれを許さず、完成したのは理想とはほど遠い無機質な大規模団地。

修一さんは、それまでの仕事から距離を置き、自ら手がけたニュータウンに土地を買い、家を建て、雑木林を育てはじめましたーー。あれから50年、ふたりはコツコツ、ゆっくりと時をためてきました。

引用元:作品解説 | 人生フルーツ 公式サイト

で、これのどこがパンクなのかと言いますと、仕事で自分が納得いかない出来事があった場合、普通なら自分が今いる組織の中で奔走し、時には反旗を翻しながら、なんとかその計画を阻止しようとするはずです。

しかし、津端さんは、決して組織に抗うことはしませんでした。

その代わり、高蔵寺ニュータウンの一隅に300坪の土地を自分たちで購入し、そこに淡々と草木を植え始めたのです。

更地になってしまった土地に、また里山を取り戻すことができるかどうか、自分たち夫婦の手で実験するために。

このブログでいつも書いてきた「小さな現実を淡々とつくり出すこと」、それを津端さんご夫妻は50年以上続けてきた。

そんな姿が、とってもパンクだなと思うのです。

参照:一世を風靡した地方のセレクトショップが軒並みダサくなって、小さな現実を作り出そうとしている個人のお店がカッコいい。 | 隠居系男子

生涯現役を貫き通し、虎視眈々と狙う姿に心打たれる。

そして、ある日、県外の精神病院から設計の依頼が津端さんに舞い込んできます。

そこで津端さんは、すぐにスケッチブックとペンを持ち出して、設計図を書き始めました。

その道具が、まったく古びていないのです。

決して引退したわけではなく、いつでも仕事の準備が整っている状態で、津端さんの中では生涯現役を貫き通しているわけです。

自分が理想とするものをつくり出そうと、90歳になっても虎視眈々と狙っている。そんな姿に僕は強く心打たれてしまいました。

最後に

どうしても僕らは、既存の大勢に反旗を翻すことばかりに躍起になってしまって、権力闘争に明け暮れてしまいます。

でも、いま一番大切なことは、自分たちの手で自分たちが信じる小さな現実をつくり出すこと。

誰でも発信することができるようになった現代において、それが遠回りのようで一番の近道なんだと思います。

改めてそんなことを思い知らされる映画でした。

「老夫婦の心温まるスローライフ物語」ではなく「長年連れ添って、一緒に夢を叶えたパートナーの物語」として観て欲しいです。

気になる方はぜひ劇場に足を運んでみてください。

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