田端信太郎著『MEDIA MAKERS』を読んで考えてみた。有料メルマガの次なる一手。

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

Kindle版発売前に購入してしまい、紙の方でしたがこの本を最近読了しました。

田端信太郎ってどんな人?

田端さんのブログや記事は、以前から興味深く読ませてもらっており、twitterでも僕がいつも追いかけている方のひとりです。

じゃあ何やってる方なんだっていうと・・・

R25の立ち上げに関わっていたり、TechWaveやGQ、WIREDなど、僕が普段から欠かさず読んでいるサイトを次から次へと生み出しているというすごいお方。そして今はあのLINEのNHN Japanにいるみたいです。

以前何度か自分のTwitterのつぶやきがバズった事があったのですが、それはすべて田端さんが転送してくれたつぶやきでした。

この時、田端さんの面白いモノを見つけ出す能力と、何が自身のフォロワーにウケるのかを判断する能力には本当に驚かされました。

なので今回この本が出版された時には、必ず読もうと決めており、中国から帰ってきてソッコー購入した本です。

自分の予想では、もっと最近の流行だったりSNSなどのメディア周りの話をぶった切る系の本なのかなと思っていたのですが、メディアと読者の関係の本質的な部分、根幹的な部分について書いている本で、良い意味で非常に裏切られました!

第9章の「拡大する、個人型メディアの影響力とこれから」が面白い!

僕がこの本の中で一番興味深く読ませていただいたのは、第9章の「拡大する、個人型メディアの影響力とこれから」という章です。

カンタンに説明すると、ホリエモンや佐々木俊尚さん、高城剛さんなど今、著名人が続々と始めている「有料メルマガ」について、その可能性と、内に潜む危険性を有限責任と無限責任の側面から的確に語っている章になります。

僕もメルマガの可能性には期待している側の一人なので、中国に行く前(1年半ぐらい前)からいくつかの有料メルマガを購読しており、その内容の充実ぶりと、どこからでもカンタンに閲覧できるそのお手軽ぶりには、多大なる恩恵を受けています。

ただ、この有料メルマガというサービス、いくつかの課題もあったりします。

田端さんにはその辺りにも言及して頂き、そして解決策も提示して欲しかったのですが、その部分については書かれていなかったので、ここからは自分なりに思うところを少し書いてみようかなと思います。

「有料メルマガ」の大きな課題

僕が考える「有料メルマガ」の大きな課題は2つ。

  • 読者の立場:内容が充実し過ぎて、読む時間を取りづらいこと。
  • 書き手の立場:プロの物書きしか参入することしかできないこと。

ということです。以下で詳しく説明していきます。

内容が充実し過ぎて、読む時間を取りづらい

「有料メルマガ」というのはほとんどが「第三者の編集」という手が入らず作られているので、どーしても内容が濃く・長くなりがちです。

毎週定期的に届くこのメルマガをしっかり読み込み処理していこうとすると、かなりの至難の業です。複数人同時に購読している場合は特に…。

この点、津田大介さんのメルマガは(読んでいませんが)その内容の多さに読者からもクレームが来るようで、津田さんはもはやそれに対して開き直っているようです・・・笑

これの解決策として、僕はテキストと朗読(Podcast形式)の同時配信を行うべきだと思います。

以前、佐々木俊尚さんのメルマガはオーディオブックのfebeで有料Podcastとして配信されていたのですが、これが実にすこぶる調子良かった!!

確かに、リンク先の記事を読めなかったり、そもそもテキスト形式に比べて値段が少し高かったりとデメリットも多かったのですが、それまで読まずに溜めてしまっていたメルマガがまったく溜まらなくなりました!

移動時間やルーティンワークの時などに「ながら聴き」して、どんどん消化していくことができるので、気合を入れて「よし、読むぞ!」ということをせずに済みます。

更に、テキストであれば何度も読み返そうとはしませんが、音声であれば気に入った回だけを別に保存しておくことができ、その都度気軽に聞き返すことも可能です。

これにより、「自分が感銘を受けたモノを繰り返す」という作業が非常にカンタンに行うことができるようになります。

佐々木俊尚さんのメルマガは、今はもう有料Podcastでの配信がなくなってしまいましたが、ぜひまた復活させて欲しいです!

今、これだけスマートフォンが普及してきて、再生端末も広く行き渡ってきたので、このPodcastの素晴らしさはもっと広がっていくべきだと思いますし、一つのメディアのジャンルとしても、ぜひ確立して欲しいなと思います。

プロの物書きしか参入することしかできない

次に、有料メルマガはプロの物書きしか参入することしかできないという課題です。

この点に関して、僕が有料メルマガと同時に行うべきだと考えるサービスが「サブスクリプションサービス」です。

毎月一定額を払えば、あるテーマに沿った商品がランダムで届くってやつですね。

古くは、ニッセンやFELISSIMO、最近ではmixiが始めた「Petite jeté(プティジュテ)」などが思い出に新しいでしょうか。

アメリカでも今流行っているというアレです。

僕はこれを「個人」が「メルマガ」のように(もしくはメルマガと同時に)提供していけば、面白いのではないかと思うのです。

メルマガはやはり「プロの物書き」でなければ、なかなか務まらない作業です。文章の構成や、内容の充実面、毎週定期的に配信しなければならないなど、素人ではかなり厳しいハードルがいくつもあります。

しかし、サブスクリプションサービスだったらどうでしょう?物書きではなくとも、別の才能で文章と同じように「何か」を受け手に提供することができます。

例えば、きゃりーぱみゅぱみゅが選んだ「古着」とか、倉石一樹が選んだ「ファッション小物・日用雑貨」とか、有名店のパティシエ出身の人が選んだ「スイーツ」とか、その可能性はまさに無限大。

文章能力がなくたって「商品そのもの」と、多少のコメント・画像などがあればかなり面白いコンテンツになると思います。

こうすることにより、物書きに限らず、誰もが提供者になれるはずです。

なぜ「メルマガ」+「サブスクリプションサービス」なのか?

…いや、でも待てと。

だったら「個人のブログ」+「個人のECサイト」でいいじゃないかと。なぜわざわざ「メルマガ」+「サブスクリプションサービス」なんだと。思う方もいるかもしれません。

がしかし、そこには大きな差があります。

それは「定期的に収入があるかどうか」ということです。

ECサイトのように、毎月いくらの収入があるの定まらない状態であれば、副業の域を抜けだすことはできません。

でも、サブスクリプションであれば、登録してくれた方々から、月額◯◯円で定期的な収入が入ります。それは完全出来高制のECサイトとはまったく別の話です。

「読者の顔」が見えていて、SNSも使いながら「双方向的」に運営することができれば、それはもう立派なビジネスになるはずです。

個人がサブスクリプションサービスを行うことによって、ただの「売り手」と「買い手」の関係から、その分野の「プロフェッショナル」と「ファン」という関係になるはずです。

そしてこれが実現すれば、今までの有名人達のように何千・何万というファンを抱えなくても良くなります。

逆に言えば、繋がりの薄い多くのファンより、密な繋がりの一握りのファンの方がよくなります。数百人単位で十分でしょう。仮に1人から月1000円払ってもらえれば、300人で30万円です。1年で360万円。十分に暮らしていけるでしょう。

これを早くは小学生・中学生ぐらいから、このようなサービスを始めることが出来れば、将来はかなり有望なその分野のプロとなれるはずです。

あのアメリカの投資家で世界第2位の大富豪であるウォーレン・バフェットも、小学生の頃にコーラを自分で仕入れ、売り歩いてその差額を儲けていたといいますし、名だたるプログラマー達も結局はそれぐらい幼い時期から実際に書いていた人たちばかりです。

このようなシステムが普遍化してけば、子どもたちが幼い頃から「経済・お金・専門分野の追求」ということに興味をもっていけるとおもいますし、大学時代の就活で不毛な争いをせずに済むはずです。

…まぁそうなってくると、また田端さんが本書で紹介していた「無限責任」の話に舞い戻ってきてしまうんですが・・・それはまた機会があれば書いてみたいと思います。

最後に

とりあえず、僕が今回この本を読んで思ったことはこんな感じです。

このブログもいつかはそんな「有料メルマガ」を発行できるぐらいの規模になっていけばいいなーと願いつつ、これからも精進していきます。

あ!ご本人も「あとがき」で書かれていますが、最近生まれた娘さんが大人になった時にもこの本が決して古くなることなく、普遍的であって欲しいと。

僕も間違いなくそうなる1冊だと思っています。それぐらい読んでいて根本的な部分から本質を考えさせられる本でした!

Kindle版はこちら!

ではではー。

鳥井弘文

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