承 井上雄彦 pepita2を読んで。日本人が受け取って、受け継いでいくもの。

承 井上雄彦 pepita2

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

今日は井上雄彦さんの新刊『承 pepita 2』をご紹介したいと思います。

これからを生きる日本人として、“受け取って、受け継いでいく”その中で、進むべき大きな方向性を感じ取ることが出来るのが、本書だと思いました。

はじめに

この前作にあたる『pepita 井上雄彦 meets ガウディ』は、丁度2年ぐらい前に中国でたまたまみつけて、喜び勇んで一気に読んだのですが、その時は正直そこまでしっくり来ませんでした。

…がしかし、今回の本は「はじめに」を読んだ瞬間からとてつもない衝撃…。

はじめに

「pepita」でサグラダファミリアをはじめとするガウディ作品に触れる機会を得て、彼の作品と足跡をたどる旅をしました。旅は実り多く示唆に富んでいました。その恵みを噛み締めながら、一方でこんな思いも浮かびました。

「ここ(バルセロナ)に来なければ見つからないようなものは答えではないんじゃないか。」何かを創るときの源は、まだ見ぬどこか遠くへ探しに行かなくても、そこかしこにあるはずだと。

今度は自分の生まれ育った国で、想像の種を見つけよう。見慣れた場所で。毎日通る道で。緑を感じた時には、旅にも出かけよう。
外側にあるものの発見というより、内側のものを再発見するようなプロセスで、それを見つけ続けたい。

忙しすぎるときなど、見つけにく時もあります。
そんな人間の心を鎮め、自分の内側へと向かわせる空気に満ちている場所のひとつに、例えば伊勢神宮があります。

内側にいろんなものがくっついて蓋をされたような感じがする時、伊勢に旅したくなります。

井上雄彦

たったこれだけの短い文章なんですが、今まさに自分が感じていることを全て表現してくれているような、そんな気がしました。

僕らはどうしても外に答えを求めてしまいがちです。違う人、違う場所、違う音…今までには味わったことのない刺激を求めて、闇雲に答えを探して歩き続けてしまう。

しかし、その答えは本当はもっと身近にあるのかもしれません。さらに言えば、その答えは既に自分の中で眠っていて、それを思い出すちょっとしたきっかけを与えるだけで、本当は十分なのかもしれません。

自分も宿しているもの

もう一つ、とても印象に残っているのが、『根』という短い文章の一節です。

伊勢神宮の玉砂利を踏みしめて歩くとき、
太古から日本人が共有してきたものを
自分も宿していると知る。

言葉でなく
心のありようでそうと知る。

未知のことを知るようにではなく、
ずっとあったけど
忘れていたことを思い出すように。

そのささやかに湧き上がる感じによって
静かな安心感に包まれる。

すぐあと、わくわくするような
笑いたくなるような気持ちが
奥からこみ上げて
ありがたさに自然と手を合わせたくなる。

日本のことを知らなすぎた自分であっても、
希望の光が灯るのです。

僕はまだ、伊勢神宮には行ったことがありませんが、最近自分の地元に帰るたびにこれに近い感覚になることがあります。

きっと地元から離れて、違う場所で活動している人であれば、皆これに近い感覚を受けたことがあるのではないでしょうか。

この伊勢神宮という場所は、日本人が皆そういったことを強く感じられる場所なのかもしれません。

最後に

この本は、今回取り上げたような内なる声をもとにして、井上雄彦さんが専門家と対談し、その本質を探っていくというような構成になっています。

実は、今回紹介した部分は、本当に冒頭の冒頭で、このあとに目次が続きます。

具体的な内容まで踏み込みたかったんですが、かなり長くなってしまいますし、きっと様々な解説や逸話などは、人によって受け止め方が大きく異なってくるでしょう。

その話に何を思い、どう響くのかも人それぞれだと思うので、今回はあえて省いて導入部分だけを取り上げることにしました。

本当は…

  • 「たまげる」の語源は「魂が消える」
  • 昼のコスモスと夜のカオスの世界
  • 日本人の灰色的な優柔不断が素晴らしい、灰色キャンペーン
  • 水田は人の手が少しだけ入っているから美しい

などなど、書きたいことを挙げ始めるとキリがありません…。

引用部分を読んでみて、手に取ってみたいと思った人。しかもそれが学問的な欲求ではなく、もっと直感的なものに近い欲求であれば、この本は絶対に満足できる1冊だと思います。

この本には更に、井上雄彦さんのイラストや、実際に訪れた場所の写真が掲載されていており、対談の一部を収録したDVDも付録でついてきます。

テキストで読むだけではなく、写真や動画などで右脳も刺激しながら読み進めていくことができるので、いつもとは違った読書体験が出来るはずです。

本当に心からオススメできる一冊でした。
多くの方に読んで欲しいと思いますので、ぜひ一度手に取ってみてください!

承 井上雄彦 pepita2

それでは今日はこのへんで。

ではではー!

鳥井弘文

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