新しい時代を切り開くとき、同業者からの批判は勲章になる。

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

MATCHAの編集メンバーである@takurokomaさんに勧められて、『ミニコミ2.0 ミニ・コミュニケーションとメディアの行方』という本を読みました。

2011年に出版された少し古め本なのですが、これがとっても面白い!メディアを運営する上で参考になるお話だらけです。

今日は、その中でも特に印象に残ったTechWave創業者・湯川鶴章さんへのインタビュー部分をご紹介してみようと思います。

批判してくる同業者は、今までの「優れた記事の書き方」という発想から脱皮できていない。

湯川さんがこの書籍のインタビューを受けた時は、TechWaveを立ち上げて1年経過したぐらいの時でした。

その時に湯川さんが考えていた編集方針に言及している部分。そこから少し引用してみます。

(湯川鶴章さんって誰?という方は、まずこちらの記事をどうぞ。→湯川鶴章著『未来予測 ―ITの次に見える未来、価値観の激変と直感への回帰』を読んで。 | 隠居系男子

─── 記事の内容やメディアとしての方針について、TechWaveは批判に晒される場合があります。編集方針などはどうされているんでしょう。

湯川 おもしろいのは、批判している人のほとんどが同業者なんです。僕は記事の中で「ここの部分はどうなっているのだろう」「ここがわからない」というように率直に書くようにしています。

でもそういうことを書くと同業者から「プロなんだから、分からないと言ってないで自分で調べろ!」という批判がくる。「取材しないで記事を書くな」という批判もあります。

でも読者の中には、僕以上に詳しい人がたくさんいて、「分からない」と書くと、あっという間に情報が集まってくる。記事を出してから30分以内に、いろんな人がいろんな情報を出してくれます。

恐らく僕が1週間かけて集めてこれる情報以上のものが30分で集まるんです。せっかくネットは双方向なんですから、この特性を活かしてコストパフォーマンス高いメディアを作らない手はないと思うわけです。

批判してくる同業者は、今までの「優れた記事の書き方」という発想から脱皮できないんだと思います。今までのマスメディアの記事は、「取材し尽くしたあとの最終的な成果物」だったわけです。記事が「終点」だったわけです。

でもこれからの時代の記事は「始点」であるべきだと思っています。その記事を核に情報が集まり、議論が高まる。いろんな主張をみることで、読者ひとりひとりが「自分なりに答え」を持つ。そこがこれからのメディアのあるべき姿なのだと思います。それをわかっていない同業者が批判してくるわけです。

でも他の業界をみても、新しい時代を切り開くフロンティアは必ず同業者から批判されています。ユーザーから圧倒的支持を得る一方で、同業者からは手厳しく批判される。この状況のときに、時代は新しいパラダイムへ入るのだと思います。だからわれわれは同業者からの批判を「勲章」と思うようにしています。

これからの時代の記事は「終点」ではなく、「始点」であるべき。

MATCHAも極稀に、観光ガイド系やライターの方々から批判されることがあります。いわゆる同業者の方々です。

そうゆう方達の批判は十中八九「これは“終点”の記事じゃない!」「このサイトに来ても訪日外国人は満足に行動することができない!」というものです。

そりゃあ、世の中には分厚い完全攻略本みたいな観光ガイドが溢れ返るはずです…。

MATCHAの記事は「終点」ではなく「始点」の記事であって欲しいと思っています。必要最低限の情報を提供して、もし説明が足りない部分があれば、それは読者のリテラシーに頼っても良いと。

参照:読者のリテラシーを信頼するということ。 | 隠居系男子

そもそもウェブというのは横断的な場所なのだから、一つのサイトを読んでわからないことは、Wikipediaにいってもいいし、Q&Aのサイトで質問してもいいし、SNSで友人に聞いみてもいい。もちろんウェブを離れて完全攻略本的なガイド本を読んでも良いと思います。

それでもわからなければ、現地に行って思う存分迷えばいい。困ればいい。誤解を恐れずに言えば、本気でそう思っています。

それよりも「行ってみたい!体験してみたい!」という好奇心を持つキッカケにして欲しい。旅の最中はどんな困難に出会ったとしても、好奇心の前ではそれが全て楽しみに変わります。

そしてその「行ってみよう!」と決心するキッカケ、背中を押す役割がMATCHAであって欲しいと切に願っています。

最後に

MATCHAが批判されると言っても本当に極稀です。幸いなことに多くの方が「面白いね!絶対成功するよ!」と言ってくれます。

でも、一方で「これはまずいなぁ。」とも最近よく思います。それはつまり「絶対に成功しない!」っていう裏返しでもあるわけですから…。

10人いたら8人が「そんなの成功するわけないがない!」と批判する、でも残りの2人は「最高に面白いじゃん、それ!」って言ってもらえるようなメディアにする。そうしなければ、メディアが“そのメディアらしさ”を保ちながら本当の意味で成功はできないと思っています。

これからインバウンド業界に可能性があるからこそ、その部分を常に意識していかなければなりません。

参照:なぜ大企業はインバウンド観光メディアを作らないのか?再現性の低いメディアを作り上げる重要性。 | 隠居系男子

なにはともあれ、今回ご紹介した湯川さんのインタビューが個人・団体問わず新興メディアを立ち上げている方々の参考になれば幸いです。

それでは今日はこのへんで。

ではではー!

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