どうも鳥井(@hirofumi21)です。
昨日、ご縁あって六本木の東京ミッドタウンで行われた「第5回オーディオブックアワード」に行ってきました。
とても華やかで素敵なイベントだったと思います。
ただ、実際に参加してみて幾つか気になったところがありました。招待されておきながら非常におこがましいとは思いますが、今日はそのことについて少し書いてみようと思います。
オーディオブックアワードとは?
まずは「オーディオブックアワード」を知らない人のために、運営元であるFeBeの「新刊JP」のサイトからカンタンに引用してみましょう。
日本国内では最大規模となるオーディオブック配信サービス「FeBe(フィービー)」を運営する株式会社オトバンクが主催する、オーディオブックの祭典だ。
前年に最も輝いたオーディオブックを表彰するもの「オーディオブック・オブ・ザ・イヤー」のほか、作品を音声で巧みに表現し、オーディオブックとして優れているとの評価が高い作品に贈る「優秀作品賞」、審査員からの評価が特に高いオーディオブックに贈る「審査員特別賞」、ユーザーからの投票数が最も多かったビジネス書のオーディオブックに贈る「ビジネス書部門大賞」、ユーザーからの投票数が最も多かった文芸書のオーディオブックに贈る「文芸書部門大賞」の全5賞が用意されている。
ユーザーが見えてこない
このイベントに参加して、まず一番気になったのが「オーディオブックを使っているユーザーが全く見えてこない」ということです。
賞の発表に先立って、代表取締役社長の久保さんのお話の中で、「FeBeのこれまでの歩み」や「オーディオブックのこれから」について語られていました。
しかし、どれぐらいダウンロード数が増えているとか、オーディオブックの広がり方や、ユーザーの使用場面など、本来その中で語って欲しかった内容や、見せて欲しかった数字がまったく見えてこないかったのです。
その代わり、どこどこの書店さんとコラボしたとか、これからはもっと多くの人にオーディオブックを体験してほしいので、文芸を増やしてエンタメ系に力を入れていくなど、企業間での話がメインでした。
でも僕らが実際に知りたいのは、誰がどうやって使っているのか、どんな場面でどんな聞き方しているのか。そしてFeBeは、人々のライフスタイルの中でどのように聴いて欲しいと考えているのか。ということです。
スライドの中で、ネット上に散見される著作権フリーの男女の写真みせられても、それでは全く伝わってきません。
例えば、AppleのWWDで最初の20分程行われるあの自慢話。一部の人から「はやく新製品の話に移れ!」と揶揄されることもありますが、でもアレってものすごく重要なパートだと思っています。
上記で述べたようなことをKeynoteを使って明確に示し、更にプロモーション動画まで用意して、具体的なイメージとしても植え付けてくれる。
あれがあるからこそ、Appleが世界中で生み出している“にぎわい”を僕らは知ることができ、その後に発表される新製品に期待できるのだと思います。
オーディオブックの特性
そもそも、オーディオブックというのはブラックボックス的要素が非常に強いコンテンツです。
「皆が使っている、皆が注目している」ということが非常に見えにくいモノ。
たとえ多くの人が公共空間でオーディオブックを聴いていたとしても、他人からみれば音楽を聴いているように見えるだけです。そこに“にぎわい”は存在しません。
紙の書籍であれば本屋さんの売り場面積やポップ、街中で読んでいる人の表紙などからもその盛り上がりがみえやすい。
オーディオブックと同じようにダウンロードするコンテンツである電子書籍に関しても、電車に乗っていればKindleを使っている人をよくみかけますし、スマホやタブレットで電子書籍を読んでいる人もその画面を見れば一目瞭然です。
しかし、オーディオブックにはそれがありません。
ラジオやPodcast番組も音声コンテンツではありますが、彼らはリスナーメールなハガキ職人などと上手に連携して、“うちわの盛り上がり”をみせることによって、その“にぎわい”をつくりだすことは可能です。
しかし、オーディオブックの場合はどうしても一方通行になってしまうので、ユーザーは完全に置いてけぼり状態。
だからこそ、周りの人間より一歩抜きん出てやろうと思い、1人で篭って勉強できるビジネス書や語学学習などの学習系のコンテンツの方がよく売れていくのでしょう。
オーディオブックが作り出せる“にぎわい”
しかし、今後より多くの人に使って欲しいと考え、エンタメ要素も強化していくのであれば、このブラックボックス的な要素をどうするのか考えないといけないんだろうなと。
Appleは、再生ボタンを押した瞬間ポケットの中にしまわれてしまうiPodに、白いイヤホンをセットにすることで、それを打破しました。
街中で、白いイヤホンがチラつくたびに「あ、あの人iPod使っているんだ!」とわかるようにしたわけです。たとえ白いコードで汚れが目立つとしても、当時はそれがクールの象徴だった。
なので、例えばfebeとノイズキャンセリング機能搭載のイヤホンをつくっているメーカーが一緒にコラボして「あ、あの人オーディオブックを聞いてるんだ!」ってすぐにわかるようにしてしまうとか。
それを「Kindle Paperwhite」と同じような形で、ほとんど利益の出ないカタチでもいいから配ってしまうというのも、面白いのかなーと。
人は人が使っているのを観て、自分も使いたくなるのだと思います。“にぎわい”のある場所に引き寄せられ集まってくるというのは、もはや人間の性。
オンライン・オフライン問わず、いかにオーディオブックらしい“にぎわい”を創り出し見せていくことが出来るのか、それが今後の課題なんだろうなと素人ながらに感じました。
最後に
オーディオブックというコンテンツには本当に期待しています。そしてオトバンクという企業にはもっと期待しています!
だからこそ更に良くなって欲しいと願うので、今回は敢えて批判的なカタチで書いてみました。
今後もFeBeの動向に注目していきたいと思います!
それでは今日はこのへんで。
ではではー!