今日は神戸の異人館スタバに来ています、どうも鳥井(@hirofumi21)です。
このスタバもそうですが、古い建物っていうのは、趣があるだけではなく、ちゃんと考えて作られており、合理的で本当に素晴らしいですよね。
昨日行った奈良の「志賀直哉旧居」も、その意味で大変興味深かったです。
今日は、その志賀直哉旧居を紹介しつつ、『鈴木敏夫ジブリ汗まみれ』で配信された鈴木さんとタマホーム大竹俊夫会長の対談が非常にこれにリンクする話だったので、両者の話を絡めつつ、これからの日本が進むべき未来について書いてみようと思います。
志賀直哉旧居とは
志賀直哉旧居は奈良市内にあり、春日大社から少し行った所、新薬師寺の近くにあります。
旧志賀直哉邸は、昭和初期に志賀直哉自身で設計したものです。
数寄屋風の造りですが、洋風の様式も取り入れた当時としては非常に進歩的で合理的、美的な工夫を随所に凝しているのが特徴です。本学園では、「旧志賀直哉邸」を昭和53年に厚生省(現厚生労働省)より譲り受けました。
平成12年に国の登録有形文化財(第29-34~36号)として認定されたこの邸宅は、広く一般の方々に公開されています。
この公式HPにも書かれているように、非常に合理的に作られていながら、日本の古き良き伝統も取り入れられている、大変珍しい建物です。
何枚か写真でご紹介します。
2階の客間は純和風の素敵な作り。
こちらも2階の客間で、格子窓がとても趣があります。
一変して、1階のサンルームはこんな感じで石畳となっていたり…
ダイニングルームなどは、洋式を取り入れていてモダンな印象です。
奈良特有の自然美と静寂
これは実際に訪れて良かったなーと思うところなんですが、とてもいい場所に建てられているんですよね、このお家。
近鉄奈良駅から徒歩で約30分ぐらい。歩いていると喧騒から離れ、ドンドン静寂の中に入り込んでいく感じがします。
周りの自然も、音も、見える山の景色も、なんというか落ち着きがあるんです。
公式HPにもこのような記述がありました。
昭和4年に移り住んだこの上高畑の邸宅は奈良公園に隣接し、御蓋山、春日山、若草山、高円山などを借景とし、自然の風景に恵まれ、静寂でしかも明美です。直哉は、奈良特有の自然美と静寂に心をひかれ、執筆活動を行い、昭和12年には長編小説「暗夜行路」を完成しています。
この地はまた、歴史的な古寺社を訪れるにも近くて便利であり、古美術の研究をするためにも理想的な土地でありました。
昨日は、日曜日だったのですが、お客さんは、僕ともう一人の女性のみ。
そのため家の中は、本当に驚くほどの静寂でした。そして木のぬくもりなのか、設計の仕方なのか、はたまた風水的な何かかはわかりませんが、不思議と心が落ち着いていくんです。
これは大変貴重な経験でした。
鈴木敏夫さんとアイフルホーム大竹俊夫会長の対談
昨日の夕方、奈良から神戸に移動したのですが、その移動中に聴いたPodcast番組がこちら。
2013/10/31 高畑勳最新作「かぐや姫の物語」とのコラボCMを製作した「アイフルホーム」の大竹俊夫会長と鈴木さん、藤巻直哉さんとのモノ作り、家作りについてのお話です。【前編】
2013/11/06 高畑勳最新作「かぐや姫の物語」とのコラボCMを製作した「アイフルホーム」の大竹俊夫会長と鈴木さん、藤巻直哉さんとのモノ作り、家作りについてのお話です。【後編】
この中で語られていたお話が、今回自分が志賀直哉旧居で感じたことと共通点が多くて驚かされました。ここで一緒にご紹介しておきます。
特に印象に残ったのは、以下の二つ。
家庭というのは、家と庭があって初めて成立する。
これはアイフルホームの大竹会長が仰っていたことなのですが、「家庭というのは家だけではダメなんだ、庭があって初めて成立する。だから”家庭”という字は家と庭から成り立っているんだ」と。
これは、志賀直哉旧居を訪れた時に、ものすごく実感したことだったんです。
志賀直哉旧居も、緻密に計算されて庭が作られているんですよね。だから、どの部屋の窓から見ても、庭がとても綺麗に見える。
2階の客間から見える庭の景色。
そして、志賀直哉が書斎として使っていた部屋から見える庭の景色がこちら。
依水園も日本庭園ということで、「庭」ですが、やはり庭には不思議な魅力があるんだなと今回の旅で改めて思い知らされました。
参照:奈良の依水園は、奈良に観光に行くなら絶対に外せない最高の日本庭園。 | 隠居系男子
子供の住みやすい家
今、アイフルホームでは子供の住みやすい家に力を入れているようです。これまでは、バリアフリーなど老人にやさしい家作りに力を入れていたそうですが、今は子供が中心。
それはなぜか?
「子供は行動力があるけれど、知恵がない。しかし、老人は行動力はなくとも、知恵がある」と。
だから、行動力のある子どもの方に合わせれば、結局皆にやさしい家になる。
これは本当にその通りですよね。
志賀直哉旧居も、ものすごく子供のことを考えた作りになっていました。志賀直哉自身がかなり子育てに思い入れがあったようで、家の中にも子どもと一緒に写った写真が何枚も飾られていて、それを象徴しています。
この家の子供部屋は、居間の隣に作られており、ダイニングルームや、サンルームの近くに設計されています。そして、子供部屋には部屋同士を繋ぐ格子窓があり、そこに居る者同士が顔を合わせる事ができるようになっているんです。
現代のように、子供部屋が二階の奥にあるというわけではなく、家の中心に子供部屋置かれているわけですね。
日本が目指すべきところ
今回、奈良の後に神戸に来て思いますが、やはり豪華絢爛賑やかさで勝負しても、それよりも華やかなものが他に出来てしまえば、それには絶対に敵いません。
神戸のベイエリアを見ればやはり横浜より劣りますし、横浜も世界で見れば香港などに負けてしまいます。
日本らしい思想哲学で勝負するべき。
だから日本はもっと、日本らしい”思想哲学”で勝負するべきなんではないでしょうか。
志賀直哉旧居に行くと、以下のような思想のもとに作られていたことが、とても素直に伝わってきます。
志賀直哉が壮年期の13年間(大正14年4月から昭和13年4月)を過ごした奈良での暮らしは、多くの文化人たちと芸術を論じ、時には遊びに興じて、友人・知人たちとの心の交流を大切にした時間であり、家族の平和と健康を望み、子供たちの家庭教育を行い、家族の絆を育んだ生活でした。
あたかも、志賀直哉家族がいまもそこに住んでいて、皆笑顔で生活しているかのような、そんな雰囲気が自然と伝わってくるんです。
『逝きし世の面影』に日本の未来が描かれている?
『ジブリ汗まみれ』の後半部分で鈴木さんが大変面白そうな本を紹介していたので、その部分を引用しておきたいと思います。
あのね、最近読んでいる本でね、『逝きし世の面影』ってのがあるんですよ。江戸の末期から明治の初め、西洋からいろいろな人が来たじゃない?そのタイミングでその人達が国へ送ったレポート、手紙、日記、それを紹介しているんですよ。
そうすると当時の日本がね、そして日本人が、どうゆう国だったのか。
それでね、世界の人が日本に来てみんなびっくりしているんですよ。この国は何なんだ?行き交う人の笑顔が耐えない、そしてみんなおしゃべりをしている。みんなゆったり、信じられないほど遅い。でも、それが羨ましいくらい。
それで、みんな比較するんですよ、西洋人と。西洋人はみんなストレスで打ちひしがれている、当時の日本人、みんなみているとわかるんだけれど、働いている時間が4時間。
そして、ついでにいうね、世界でこれだけ子供を大事にしている国があるのだろうかと。そんなことが全部レポートされているわけ。これ素晴らしい本なのよ。
そうすると、現日本の風景があるんですよ。それが全部壊れるのが、富国強兵策なんですよ。
ようするに富国強兵策の以前、江戸っていう幕府がいったいどうゆう日本っていう国を作っていたのか。
それはね、もちろん飛躍するけれど、建物まで及ぶのよ。だから世界で一番美しい国だってみんなレポートしてるのよ。
最後に
今回の奈良の旅を経て、改めて「もう現代的な“豪華絢爛賑やかさ”には未来がないな」と実感しました。赤や金色が大好きな中国人に、この分野で勝負しても勝てるわけがありません。戦うだけ無駄です。そもそも日本の歴史を紐解けば分かるように、日本人にその素質はありません。
しかし日本には日本らしい思想哲学がある。これは世界で他の何処を探しても、決して見つからないものです。
それが具体的にどんなものなのか、今の自分にはまだわかりません。今回の旅では、自分の日本に対する理解が如何に浅はかなものだったのかも実感しました。まさに無知の知です。
鈴木さんが仰っていましたが、「グローバル基準のものより、ドメスティック過ぎるモノの方が世界ではウケる」と。これは自分が海外で生活した時にも、本当にそう思いました。
これからは、更に日本の事を深く勉強していこうと思います。この旅でそれを決心したので、まずはこの本から読み始めてみたいと思います。
それでは今日はこのへんで!
ではではー!
鳥井弘文
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