ジブリがディズニーのようなテーマパークを作らなかった理由。

仕事道楽 新版――スタジオジブリの現場 (岩波新書)

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

さて、今日も昨日の記事に引き続き、鈴木敏夫著『仕事道楽 新版――スタジオジブリの現場』のご紹介です。

参照:『かぐや姫の物語』が若者に評価されないことに対する危機感。 | 隠居系男子

なぜジブリはテーマパークを作らなかったのか?その理由について鈴木敏夫さんが言及していた部分が非常に良かったので、その部分を今日は書き残しておこうと思います。

「商売に乗っかると、作品を作るもへったくれも無くなってしまう。」

今回の内容は、本書にも書かれているのですが、本書を作るために行われたインタビューの方がより詳しく言及されていたので、そちらから少し書き起こしてみます。

話題は「鈴木さんが会社経営をしてきて今思うこと」です。

自分で会社をやってみて思うけれど、人を増やして関連事業を増やしていろんなことをやっていくというのは、実はそんな難しいことではないんです。やろうと思ったら、いくらでも出来るということは学びましたよね。

でもそちらにいったら作品を作ることは疎かになるから、やっぱりそちらのほうに行かないようにセーブする、それはすごい努力しましたね。

「マーチャンダイジングでグッズを作る。」という仕事があるじゃないですか。

そこで僕は、ずっと100億円という売上を目安にして、「それ以上は増やすな!」ってことを言い続けたんですよね。

やろうと思ったら、そうゆう協力会社が山ほどある。その中には「うちだけで1000億円いくんですけれど、やらせてくれないですか?」というところもあり、そんな話が僕のところに山のようにきていた。

でも僕としてはそれに乗るのが嫌だった。なぜかって言ったら、それって本当の商売でしょう?それに乗っかっていると、作品を作るもへったくれも無くなってしまうんですよ。

だから、マーチャンダイジングを100億円で必ず抑える。これが増えそうになると、担当者を皆の前で怒りましたから。「増やすな!」って。

── 儲けたら怒られるって辛いですよね。(笑)

映画の興業がある、それをビデオにして売る、それからテレビの放映権、マーチャンダイジング、出版物その他、どっかでテーマパーク的なこともできる、本当に色々な拡大路線はあった。

作品を作ることが中心の会社。そのためには、売上の上限を具体的に決めなきゃいけなかった。

引用元:2014/06/27 「仕事道楽 新版 スタジオジブリの現場」を記念してお送りします。 鈴木敏夫のジブリ汗まみれ – TOKYO FM 80.0

ビジネスと仕事の違い。

最近ブイブイいわせている某若手経営者の方に昨年お会いした際、「どんな企業が好き?」という質問をされて、僕は「スタジオジブリが好きです、特に鈴木敏夫さんが。」と答えました。

その時、その方に言われたのは「ジブリは結局ディズニーを越えられなかった。ディズニーランドみたいなもの作れなかったじゃん?」というお言葉。

その時はものすごくイラッとしました。あなたは何もわかっちゃいないと。ジブリは敢えてそれをやっていないんだ、ジブリはビジネスをしているわけじゃない、作品を作り出すという仕事をしているんだ。と。

もちろん、この部分は各個人ごとに各々の思想哲学があるとは思うので、何が正しくて何が間違っているという事ではないと思っています。

しかし、僕はこのジブリのやり方が大好きで、今回の書籍及びインタビューの中で鈴木さんがハッキリと明言してくれていたので、今回このブログで取り上げておきました。

最後に

宮﨑駿さんが長編映画監督を引退されたので、良くも悪くもこの方針は今後変わっていくのだと思います。それは、本インタビューの中でも鈴木さんが断言していたところです。

今後ジブリがどういった方向に舵をきっていくのか、期待しつつ見守っていきたいところです。

なにはともあれ、「なぜジブリがテーマパーク的なモノをを作らなかったのか」その理由がこの記事を通して少しでも多くの皆さんに理解してもらえたら幸いです。

それでは今日はこのへんで。

ではではー!

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