メディアを運営しているからといって、そのジャンルのプレイヤーになりたいとは限らない。

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

昨日「灯台もと暮らし」で「離島経済新聞」さんのインタビュー記事が公開されました。

以下の話、同じくメディアを運営する者として、とってもよく理解できるんです。そして、メディア側の人がまわりから勘違いされやすいところでもある。

── 最後にお伺いしたいんですが、ずばりみなさんは島に住みたいと思いますか?

鯨本 もちろん島は大好きですけど、べつに私たち、島に住みたいからリトケイをやっているわけではないですよ(笑)。

引用元:日本の離島は宝島。島の暮らしを見つめ続ける「離島経済新聞」編集部 | 灯台もと暮らし

「プレイヤーになりたい!」って言うことと「それを伝えたい!」っていうのは、似ているようで全く違うベクトルなんです。今日はそんな話を少し書いてみようかなと思います。

いわゆる「紺屋の白袴」という話ではない。

この話をすると、「紺屋の白袴」みたいな話でしょ?と言われるのですが、いわゆる「紺屋の白袴」とも違うんですよ。

他人の袴を染めることに忙しくて、自分自身の袴を染めることまで手が回らない、わけじゃない。

はなっから自分の袴を染める気はないんです。自分はむしろ白い袴の方が好きで…。ただ、他人のキレイに染まった袴姿は好きだし、そのお手伝いをするのも好き。つまりは、そういうことです。

コレをメディアに置き換えてみると、自分が内側に入って全身全霊で体験・体感していくよりも、それを外側から観察しながら、そのことについて客観的に書きたいし、その場にいない人々にそのことを伝えたいということです。

ゲストハウスの話

「ゲストハウスを作りたい・泊まりたい!」と、「ゲストハウスという空間を伝えたい!」っていうのも、非常にわかりやすい違いなのかなと。

先日、ゲストハウスのような場所をよく紹介しているメディアの人たちで集まって飲んでいた時に、そこにいた全員が「自分がゲストハウスに泊まりたいとは全然思わない!」って意見が一致して、笑い話になりました。

僕もまさしくそうで、地方を旅するときもゲストハウスではなく、普通にビジネスホテルとかに泊まりたい派です。宿泊者同士で交流できる場があることなどは、全然求めていない。だったら一人で落ち着ける空間のほうが断然嬉しい。

もちろん、体験してみないことにはわからないと思うので、ゲストハウスに一度泊まってみたりはするわけですが、積極的に利用したいとは思わない。

でも、ゲストハウスを作る人々や、そこに訪れる人々が何を考えているのかはとっても興味があるし、その気運やムーブメントみたいなところにもものすごく興味がある。だからこそ、メディアでも積極的に取り上げていきたいと思うわけです。

ジブリの話。

この話、以前にもどこかで書いた気がしますが、ジブリのアニメよりも”夢と狂気の王国”の方に興味があるという話にもよく似ている気がします。

ジブリもアニメより、そのアニメの制作現場がどうなっているのか、もっと言ってしまえば「宮﨑駿、高畑勲、鈴木敏夫」の関係性の方に興味があって、アニメ作品はそれをより深く理解するため素材として観ている感じ。

そこにはリサーチ的な意味しかなくて、好きすぎるから何度も繰り返して観るということはありません。あくまでも、アニメは”夢と狂気の王国”をより深く知るための事前資料でしかないわけです。

音楽メディアの話。

音楽メディアに例えると、更にわかりやすくなるかもしれません。

音楽は好きだけど、自分がアーティストになることには全く興味がない。あくまでもメディアをつくりたいだけ。

そのメディアがきっかけで、将来を担う若きアーティストが増えてもいいし、取り上げたアーティストのファンが増えてもいいし、はたまた他の音楽メディアが誕生して、さらにこの業界全体が盛り上がっていけばいい。そんな考え方に非常に近いかなと。

でも、音楽メディアに例えることによって、これが一筋縄ではいかない感情で構成されているということも、同時に理解してもらえるのではないでしょうか。

最後に

この話は非常に厄介で「本当にプレイヤーになることを望まないのか」と言われると、99.9%まではイエスだと言えたとしても、100%イエスだとは言えないはず。色々な複雑な事情や感情がからみ合って、そこにたどり着いているわけですからね。

これを適材適所というのか、住み分けというのか、その辺ははっきりとはわかりませんが、今日書きたかったことは、そのジャンルのメディアに携わっているからといって、そのジャンルのプレイヤーになりたいかどうかというのは全く別の話なんだよ、ということです。

その他にも、離島経済新聞さんのインタビューは非常に興味深い話がてんこ盛りなので、ぜひ読んでみてください。

日本の離島は宝島。島の暮らしを見つめ続ける「離島経済新聞」編集部 | 灯台もと暮らし

それでは今日はこのへんで。

ではではー!

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