【読者寄稿】これからのジーンズに、何が求められているのか。

どうも山脇(@you_hei_hey_yoh)です。

大学生です。ジーンズが好きすぎるあまり、ジーンズのwebメディア「EVERY DENIM」を立ち上げて運営しています。ジーンズの聖地、瀬戸内の現場から情報発信をしています。

EVERY DENIM – 瀬戸内から発信するデニムのメディア

今回はジーンズ工場への取材をするなかで感じた、ジーンズの現状と今後についてお話したいと思います。

ジーンズは本当に多くの人が履いています。生産本数は世界で年間23億本といわれ、人種・年齢・性別に関わらずみんなが履く「地球着」となっています。
日本人にとっても、ほとんどの人が一本は持っているアイテムではないでしょうか。

現在ではリーバイスからユニクロまで異なる背景をもつさまざまなブランドがジーンズを販売していますので、それだけ私たちが履くジーンズも幅広くなっています。
値段も2千円を切るものから5万円を超えるものまで幅広く、自分の価値観に合わせたジーンズを選べるようになった時代といえるでしょう。

ジーンズに何を求めるのか

それだけ多くの種類が販売されている中、人々は何を基準にジーンズを選ぶのでしょうか。
価格やデザイン、履き心地など、決め手は色々あると思います。

1965~1980年代に街中を歩く人々が履くジーンズの裾幅は、その時代のファッションやライフスタイルのトレンドを象徴していました。

一方で今となっては「ベーシック」「スタンダード」「コスパ」の名の下、デザイン性という意味では無難なジーンズが主流を占めているように思います。

菅付雅信さんの『中身化する社会』でも「もはや見た目の第一印象は重要ではない」と指摘されているように、ファッションが自己主張である時代は終わりつつあるのかもしれません。

かつて「このジーンズを履くことこそが自分なんだ」と強く自己主張していた人々は、”ジーンズが持つメッセージ性”に強く期待していたのではないでしょうか。

だとしたら、ファッションが自己主張でなくなり、ジーンズにも無難さが求められることによりジーンズに対する”期待値”が下がっているのは寂しく感じます。

では期待値を上げるにはどうすればいいのでしょう。

僕は「物語性の更新」が鍵になると考えています。

物語性の更新

「物語性」とは、ファッションであれば衣類自体ではなく、その衣類の生産背景(どんな人がどんな素材を使ってどのように作ったか)です。近年ではファッションに限らず食などの分野においても、この「物語性も含めて消費する」ことが注目されています。「モノが溢れて物質的に豊かになった日本では、単純な消費のあり方を見つめ直し、物語性を持ったモノを消費することが重要だ」という言い回しはよく聞くようになりました。

しかし、果たして本当に物語性を持ったモノを消費することが大切なのでしょうか。それはあくまで消費者側の視点での話ではないでしょうか。

僕が「物語性の更新」が大切だと考えるのは、物語性の消費自体は新たな物語を生んではくれないと考えるからです。

とくにジーンズ業界において、物語性は目新しいものではなく、ヴィンテージブームの時代に、ある種”謳い文句”のように使われてしまうことがありました。

物語性があること自体は素晴らしいことですが、それを掘り起こすことのみが重視され、商売道具になってしまうのはどこか違うのではないでしょうか。

”更新”と表現したのは、物語の受け手からの反応を送り手が感じとり、送り手がその反応をもとに新たな物語を”更新する”必要があると考えるからです。

具体的には、「ジーンズのつくり手が実際に履く人の生の声を聴き取り、新しいジーンズをつくること」と言えるでしょう。

期待値を上げる

インターネットの発達によって、いろんな人が立場をこえて直接コミュニケーションを取ることができるようになりました。ですがジーンズのみならずファッション業界全体において、ブランド(物語の送り手)と消費者(物語の受け手)のインターネットを通じたコミュニケーションはまだまだ活発ではありません。送り手が新しい物語を更新し、受け手にワクワクを感じさせることが期待値を上げるために必要なことであると考えます。

「こういうジーンズが欲しい」という受け手の願いを送り手が実現すれば、できた商品は受け手とって「自分の願いが叶えられた」という新しい物語を含んだものとなるでしょう。これこそが物語の更新です。

また物語の送り手にとっては、新たな物語を更新することで今までにないものづくりにチャレンジする楽しさを感じられると思います。

最後に

新しい物語を生み出したりそれを含んだものを買う人が増えることで、ものづくり=物語づくりのような流れができれば、送り手にとっても受け手にとってもハッピーなんじゃないかと僕は思っています。

そんなことをあまりにも考えていると「物語づくりに携わることはできないか。なんとか自分の力で新しいジーンズの未来をつくっていけないか」と、いてもたってもいられなくなり、”送り手の想いを受け手に届ける場”として、ブランドを立ち上げることを決意しました。今はクラウドファンディングを通じて、ジーンズの生産費用を募っているところです。

ジーンズ業界に革命を!瀬戸内の工場が生んだ世界初の「黒ベンガラ染めジーンズ」 | クラウドファンディング - Makuake(マクアケ)

僕の考えが多くの人に届き、ジーンズに興味を持ってくださる方が少しでも増えることを心から望んでいます。

それでは今日はこのへんで。

ではではー。

スポンサードリンク