三鷹の森ジブリ美術館 そこはカメラの使えない世界

Ghibli Museum

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

先日、やっと「三鷹の森ジブリ美術館」に行って来ました。これだけジブリのことをブログで書いてきましたが、実はジブリ美術館へ行くのは今回が初めてです。

宮崎駿さんが引退を発表し、「今後、ジブリ美術館の展示物や短編映画にも取り組んでいく!」ということを宣言していたので、「これからの変化を楽しむためにも、今行っておかなければっ!」ということで、このタイミングで行くことを決意!

本当に色々なことに感動しっぱなしだったのですが、今回実際に訪れてみて、なによりも一番興味深かったことは、「カメラが使えない」ということでした。

カメラを使用禁止にした宮崎駿の想い

ジブリ美術館の入り口には、立て看板でこのように書かれています。

お知らせとお願い

美術館内での写真撮影・ビデオ撮影はご遠慮ください。
物語の主人公になるには、カメラを向けるのではなく、この空間を自分の目で見て、体で感じてください。そして、思い出は心の中に大切にしまって持ち帰ってく欲しい、これが私達の願いです。

皆様のご理解とご協力をお願いします。

館主:宮崎駿

館内ではなく、屋外であればカメラの使用は自由です。ジブリ美術館のシンボルであるラピュタのロボット兵(この記事の最初の画像)は、屋上に展示されているため、だれでも撮影することが可能です。

僕はあまり写真を撮るタイプではないのですが、それでも無意識に何度かスマホを取り出して撮影してしまいそうになり、どれだけ自分の生活の中でカメラが「当たり前」となっているのか思い知らされました。

ネコバスの展示場でみた光景

この撮影禁止というルールの中で、一番面白い光景をみることができたのは、ネコバスの展示場所です。

無邪気に遊ぶ子どもたち

ご存じの方も多いと思いますが、ジブリ美術館には、子どもたちが中に入って遊ぶことが出来る『となりのトトロ』に出てくるネコバスが置かれています。

この中で遊べるのは、小学校6年生以下の子どもたちだけで、大人は中に入ることができません。

僕が訪れた日は平日だったので、多くの子供達がまだ未就学の子供たちでした。

ソワソワする親たち

子供の数だけ親がいて、柵の外から周りをぐるっと囲み、立ちながら中の子どもたちの様子を眺めているんですが、その親達の落ち着きのなさといったら、凄まじいです。笑

普段このような状況下であれば、きっとひたすらスマホやデジカメで撮影しているのでしょう。しかし、この日に限っては撮影を禁止されているので、ただ観ているしかありません。

しかし、もう明らかに撮りたくてウズウズしているのが伝わってくるんです…!

その中のひとりのお母さんは、スタッフの人達に見えないように後ろに手を組みながら、デジカメの電源をオンの状態で構えていて、いつでもすかさず撮れるようにスタンバイしていました…。

この場の空気感は、アル中の人達が酒が欲しくてたまらない時とか、ニコチン中毒のソレと同様のものがあったと思います。まさに、「まて!」をされている犬のような感じ。

まるで大人と子供が入れ替わったような感じで、どっちが子供なのかわかりません…。

思いや思想で「普段使えるもの」を禁止にする空間を創り出す

ジブリ美術館の「撮影禁止」という決まり事は、ただ「作品保持のため」や、「秩序維持のため」に決められたルールではありません。

もちろん、それも重要な要素のひとつではあると思いますが、ソレ以上に冒頭で紹介したような、宮崎駿さん、そしてスタジオジブリの思想が込められています。

このネコバスの光景は、間違いなく現代を象徴している一コマであり、あまりにも当たり前すぎて、普段の日常では決して気が付かないようなことを気が付かせてくれています。

カメラの普及によって、親たちが普段、どれだけ子どもたちをレンズを通してでしかみていないのか、それをハッキリと浮き彫りにしたといえるでしょう。

「自分と子供の間にカメラがなければ、落ち着いて観ていることさえもできない」という状態なのですから。

本当の意味で「子どもと向き合う」「気にかける」ということがなんなのか、考えさせられる場だと思います。

最後に

以前このブログでこんな記事を書いたことがあります。

参照:中国以外にも国家がネットを規制する国はいつか必ず現れる。それも平和的に。 | 隠居系男子

今回ジブリ美術館を訪れ、このカメラ禁止の館内で、僕はこの片鱗をみたような気がします。

入場者は本当に様々な人達がいて、海外の方も沢山いました。

特に日本人からは、マナーが悪いとレッテルを貼られやすい中国人の方も多かったです。しかし、海外の方も誰一人としてこのルールを破ろうとする人はいませんでした。

「スタジオジブリが好き、興味がある!」という共通項を持った人達が訪れ、ジブリ側からの提案を全員が受け入れそのルールを守る。そして、多くの人達がその思想に共感し、あの場が創りあげられているわけです。

「当たり前のように使われているテクノロジーや、技術の進歩を疑問視して、人間の根源的なところへ戻ることの大切さ」を再び考える必要に迫られている今の時代、もしかしたら、このジブリ美術館のようなカタチから、そういった共同体や場所がつくられていくのかもしれません。

宮崎駿さんは大のIT嫌いでも有名ですし、ぜひご存命のうちにそのような空間を作り上げて欲しいなと期待してしまいます…。笑

それでは今日はこのへんで!

ではではー!

鳥井弘文

その他この投稿に関連した記事はこちら!

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