自分に大切なことを知り、必要なモノを持てることが豊かさだ。

BORO―つぎ、はぎ、いかす。青森のぼろ布文化

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

先日、浅草にある「Amuse Museum」に行ってきたという話は、前回の記事で書いた通り。

参照:僕が「東京右半分」を面白くて、つまらないと思う理由。 | 隠居系男子

このAmuse Museum内で行われていた展示のひとつが「BORO」です。

青森県出身の民俗学研究家・田中忠三郎さんが青森県の農村や山村の人々から集めた普段着を、「ボロ布文化」として展示しているスペースです。

なんと、世界のファッションデザイナーや、テキスタイル研究家の人たちがこれを目当てに来日するぐらい、評判の高い展示だそう。

その一角で見つけた言葉が、題名にもある、「自分に大切なことを知り、必要なモノを持てることが豊かさだ。」という言葉。

非常に心打たれるものがあったので、今日はこの「BORO」についてご紹介したいと思います。

貧しくても、満ち足りていた。

以下の文章は、展示品と共に掲載されていた小出由紀子著「BORO―つぎ、はぎ、いかす。青森のぼろ布文化」の一文です。

青森の農村や山村の人々は、着物を何枚もっていただろう。仕事着一式と家で着る着物を持っていれば、多い方だったかもしれない。文字通り、着た切り雀の人もいただろう。

けれどこれらの“ぼろ”には、こんなものを着ていた人は、貧しくても、満ち足りていたに違いない、と思わせる存在感がある。

青森のぼろほどみごとなぼろはない。寒冷地の青森では綿花が育たず、特に木綿の入手が困難だった農山村部では昭和初期まで麻布の生活が続いた歴史的背景があり、過酷な気候風土や生活の困窮に反比例して、女性たちの家族への思い、布へのいつくしみが深く、ぼろに蓄積された手仕事と感情の度合いが圧倒的だからだ。

世界に類のない衣文化が生まれた背景には、人生を受け入れ、人と物をいつくしみながら、命を全うする生き方があった。

日本人の日本人らしさ、特に東北人の東北人らしさ、というのがまさにこの一文に表れているような気がします。

3.11の時もよく言われていましたが「あの震災は、東北人だから耐えられたのだ」というお話。我慢強くて、現実を受け入れながらも、ただそれを嘆くだけではなく、その中に楽しさや幸せを見出していく。

青森の“ボロ布文化”や、“張り子”などはまさにそういった精神の賜物なんだろうなと。

数をたくさん持つことや、高価なものを持つことが豊かさではない。

上記の文章には以下のような続きがあります。

この本を作りながら、20世紀の偉大なファッションデザイナー、ココ・シャネルのことを思い出した。

1971年にシャネルが亡くなったとき、ホテル・リッツの部屋のクローゼットに残されていたのは、スーツが2着だけだったという。仕事一筋のシャネルにとって、何より大事なのは仕事着だけだったのだろう。イブニングドレスなどなくても、これさえあれば生きてゆける、2着のスーツを手直しして愛用していたのだ。

数をたくさん持つことや、高価な物を持つことが豊かさではない。自分に大切なことを知り、必要なものを持てることが豊かさだ。

そんなことを青森のボロから教わった。

ココ・シャネルが幼少時、孤児院にいたというのは有名な話です。

当時彼女は、そこで裁縫を覚えて、孤児院の制服のスカートを少しだけ短くしていたようです。

しかし、誰も彼女のそれを注意できなかったそうです。なぜなら、それがあまりにもさり気なく、そしてあまりにも絶妙なバランスだったから。

この「BORO」の展示を観ながら、そんなことも思い出しました。

ファッションの本質、いや、人間にとっての衣文化とはなんなのか、衣食住の本当の意味での豊かさ、その答えの片鱗のようなものをこの展示を通して何となくですが掴めたような気がします。

最後に

この展示は常設展のようで、特に期限は設けられていないようです。服に興味があるという人は、ぜひ一度観に行ってみてください。

日本の有名デザイナーに限らず、世界のデザイナーがこの要素を参考にしているということが、手に取るようにわかると思います。

それこそ、こんなにも超ドメスティックなのに、しっかりと世界と繋がっているんだなと実感できるはずです。

まさに以下の記事に書いたようなモノが、ここでもまたヒトツみつかりました。

参照:真のグローバル化とは、徹底的に日本の原風景を理解すること。 | 隠居系男子

それでは今日はこのへんで!

ではではー!

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