先日、下記の記事を読みまして。
「北欧、暮らしの道具店」を作った本:通信販売編『インターネット的/糸井重里』など3冊 – クラシコムジャーナル
この記事がとてもおもしろかったので、ここで紹介されていたピーチ・ジョン創業者である野口美佳さんの「男前経営論―ピーチ・ジョンの成功哲学」という書籍も読んでみました。
やっぱりこの本もすごくおもしろくて、非常に共感する部分が多かったので、このブログでも少しご紹介しておきたいなと思います。
「かっこよさ」より「わかりやすさ」
今回ご紹介したい部分は、上記の記事内にも少し引用されている「通販カタログのカッコよさ」についてです。
以下引用です。
「かっこよさ」より「わかりやすさ」
たまに『PJ』を見たという広告代理店や編集プロダクションなどのいわゆるクリエイティブな仕事をしている人から、『PJ』の制作をやりたいというアプローチがあります。そんな彼らが口にするウリ文句はほぼ同じです。
「自分なら『PJ』をもっとカッコよく作れます」
そのようなセリフを聞く度に、私は「わかってないなあ」と思います。
何度も言うように私は雑誌オタクですから、自分の会社が発行しているカタログが、決して流行の最先端を行っているとは思っていません。
私自身、クリエイターを目指した時期もあるので、正直に言うと『PJ』をもっと高級ブランド風にカッコつけたものにしたいと思ったことはあります。
でも今はそのようなことはまったく考えなくなりました。逆に『PJ』がカッコつけはじめたら、私はすぐに元に戻すように指示を出すことでしょう。
(中略)
クリエイティブな人たちの考える「カッコよさ」は、トレンドの最先端にいるいわゆる業界人やアパレル産業の人たちのためのもので、「手が届きにくい」。
実はこの「手が届きにくい」ことが「自分たちだけが知っている」となり、そのことが「カッコよさ」の正体でもあったりします。だから「カッコいい」クリエイティブは大衆に受け入れられないのです。
この本は2005年に発売された本です。
発売されてからもう12以上年経っていますが、これと同じお話、いやそれ以上のことが、今まさに若い世代を中心にネット上で起きていますよね。
排他的なプレミアム感は、今の20代〜30代には意味不明。
僕がダラダラと説明するよりも、専門家の意見をご紹介しておきましょう。
メルセデス・ベンツの広告起用がジャニーズ。時代は変わったなぁ。 https://t.co/SVTwdY3oEy
— 山口義宏@インサイトフォース (@blogucci) 2017年4月6日
こういう起用をすると「プレミアムブランドとしてどうなの?」という話が出てくるのですが、いまの20代~30代前半には、上の世代と比べると、そもそも「プレミアム」という概念そのものが希薄で欲求が薄かったり。上の世代が気にするほど、プレミアムブランドたる振る舞い云々は気にされない。
— 山口義宏@インサイトフォース (@blogucci) 2017年4月6日
いわゆる上の世代が考える、少し気取ったツンとした、すました感じのプレミアム感って、伝わらないどころか「なにそれ?」的な意味不明に見えることも。このジェネレーションギャップはなかなか恐ろしいですよ。
— 山口義宏@インサイトフォース (@blogucci) 2017年4月6日
まさに上記のツイート内で語られているような変化です。
今の40代よりも上の層の人たちを狙うのであれば、「少し気取ったツンとした、すました感じのプレミアム感」もまだまだ可能性はあると思います。
しかし、それ以下の世代へ届けようとしている中で、そんなプレミアム感を追求しても、もう彼らに届くことはありません。
それよりも、「わかりやすさ」と「親近感」の方が圧倒的に大事な要素となってきている。
昭和と平成、どちらの世代の気持ちも理解できるからこそ。
僕自身も、昭和最後の世代なので、カッコつけたくなる気持ちもよく理解できます。
実際、カッコつけたくなることは多いですし、カッコつけなくて損しているなあと思うところもいっぱいあります。
でも一方で、カッコつけてないからこそ、得られていることも同じぐらいいっぱいある。
昭和と平成、どちらの感覚も理解できるからこそ、新しい価値観の方を大切にしていきたいと強く思います。
「灯台もと暮らし」でも、カッコつけることなく、等身大で、自分事として捉えてもらえるようなリアリティのあるコンテンツを引き続き作っていきたいです。
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