BRUTUS特別編集『おいしいコーヒーの進化論。』コーヒーで大切なのは豆と人。

BRUTUS特別編集 もっとおいしいコーヒーの進化論。 (マガジンハウスムック)

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

ちょっと、熱が入った記事が続いたので、ここで文字通りちょっとコーヒーブレイク。

BRUTUS特別編集 もっとおいしいコーヒーの進化論。が気になるところが多かったので、今回はこの特集を隠居系男子っぽくご紹介!

僕がこれを読んでいて、キーワードかなと思ったのは「豆と人」でした。

日本のコーヒー文化の歴史

まず最初に、日本のコーヒー文化の歴史について振り返っておきましょう。

皆さんご存知の通り、昭和を代表するのは町の喫茶店。『あまちゃん』の喫茶「アイドル」がまさにそうであったように、マスターのいる古き良き喫茶店が当時の姿だったのでしょう。

そして、1990年台から2000年代にカフェブームが到来します。「カフェはオシャレな若者が集まる空間」とみなされ、スターバックスが日本にやってきたのもこの時期。WIRED cafeとかもこの頃だと思います。

ゼロ年代後半に入ると、スペシャリティコーヒーの普及で、豆も”農園”で選ぶ時代へ突入。コーヒーを淹れる人間も、カフェ店員から”バリスタ”というスペシャリストへ変わって来ました。

本誌が特集しているのは、この後から現在に至るコーヒー文化についてです。

少し引用してみましょう。

今急増中の業態、それはコーヒースタンドです。10年ほど前のカフェブーム当時、カフェは空間を売るものであり、凝ったインテリアやおしゃれな音楽をベースに、各種フードやアルコールも提供し、客単価を上げて売上を出していました。しかしいまは、狭い物件を路面で確保し、コンパクトに商売する例が増えています。

こうしたスタンド型の店内では小さなカウンターでさっと立ち飲み、もしくはテイクアウト、が基本スタイル。フードはあってもすこしで、ドリンクメニューもスタンダード中心に絞りこまれています。

ただし、スペシャリティへの理解と普及をベースに、ハコやスタッフ数に資金をかけない分もコーヒーの質に注力するため、一杯の味は総じて向上。

こうした“空間”ではなく“一杯”を得る傾向は、NYやロンドンなど土地の限られた欧米大都市でも多く見られ、今後の東京でもしばらく続きそうです。

なるほど、確かに最近は都内を歩いていても、こういったお店をよく目にするようになりましたよね。ネットでもこのようなコーヒースタンドのまとめ記事を見かることが多いです。

つまりスペシャリティコーヒーから更に進んで、「豆の品質」も「淹れる人間」も更に細分化され進化しているということなのでしょう。

コーヒーにおける豆の存在

さて、まずはこの雑誌で語られている豆のコダワリから。なんでも、今は“浅煎り”が主流になってきているそうです。

様々な風味特性で競い合うスペシャリティコーヒーは、色々な比喩でその味や香りが表現されるそう。そうなると、コーヒーを口に含んだ時に一番最初に感じるフレーバーである”酸味”が非常に重要になってくるらしく、良い酸味を備えているかどうかで、それが優れたコーヒーかどうかの分かれ道になると。

浅煎りにすることで、味がクリアとなって酸味が増すそうです。だから今は焙煎度を低くした”浅煎り”が注目されていると。

なんと今では、コーヒーの酸味をその強弱だけではなく、3つのフルーツに例えて表現するそうで、シトラス(柑橘系)、アップル、そしてグレープと比喩するところまで来ているようです。

更にこの中でも詳しい場合分けがあって、「オレンジのような」とか「青りんごのような」とか、「レッドワインのような」まであるとか…。

@koji_rohさんのこの記事「コンビニ・コーヒーと最近の珈琲生活」に書かれているように、僕も個人的にはコーヒーの酸味はあまり得意じゃないのですが、スペシャリティコーヒーだとそれが美味しく感じるのかもしれません。

ぜひ浅煎りは試してみたいところです。

コーヒーにおける人の存在

さて次は人の重要性。

コーヒー文化のところでも書きましたが、今は店内が極端に狭いコーヒースタンドが増えてきて、スタッフの数を増やさず、店主の方が一杯ずつ丁寧にいれてくれるのが主流。

そうなってくると、やはり”人の存在ありき”になってきますよね。

可愛くて愛想がいいだけのシアトル系コーヒーのカフェ店員とは違い、その店主自身がモロにお店に表れるという。

このBRUTUSの特集の中でも、豆と同じか、それ以上に人にフォーカスを当てていました。特に、後半部分に掲載されている「TOKYO COFFEE SHOPS」という章の中ではそれが顕著にあらわれています。

70年台から80年代生まれの店主にフォーカスして、「なぜ、そこまで熱い。なぜ、そこまで深い。」ということをテーマに、彼らがどのようにコーヒーの道に入ったのか、何故コーヒーにこだわるのか、そういったことを一店ずつまとめており、そこにストーリーが作り上げられているので、同世代の僕らには非常に読み応えあります。

そして、多くの店主の方に共通しているのが、「自分のやりたいこと、自分にしか出来ないこと」をやろうとしていること。そのキッカケとなっているのが、3.11の震災だったりするということも見逃せません。

一言に「おいしいコーヒー」と言っても、やはりそこには淹れる人間が存在しているので、人を抜きに語ることは出来ません。

このコーヒー文化の加熱というのは、こういった時代の変化や、新しいムーブメントを暗に象徴するモノであるからこそ、ここまで注目されているし、多くの人を惹きつけるのではないでしょうか。

このブログでも、この特集を取り上げようと思ったのは、こういったムーブメントがあることを紹介したかったから。

ちなみにこの特集で掲載されているカフェは・・・

  • 猿田彦珈琲(大塚朝之さん)
  • NOZY COFFEE(能城政隆さん)
  • THE COFFEE SHOP(村澤智之さん)
  • OMOTESANDO KOFFEE(國友栄一さん)
  • Obscura Laboratory(柴佳範さん)
  • cafetenango(栢沼良行さん)
  • AMAMERIA ESPRESSO(石井利明さん)
  • ONIBUS(坂尾篤史さん)

あとはこの特集ではないのですが、SWITCH COFFEE TOKYOという目黒のお店も良さそうです。店主の大西正紘さんがメルボルンで修行したあと開店したお店らしく、目指すは「新世代の、自分らしい東京のコーヒーショップ」とのこと。

以前、@_ripshitさんのこの記事「世界で一番カフェの多い街」を読んで、メルボルンのコーヒーにも興味を持ったので、ぜひここも行ってみたいお店のひとつです。

最後に

今勢いがあり、それがこれまでの流れに逆行しているモノというのは、やはりその裏に「人々の意識の変化」が存在すると思うので、コーヒーにもそんな雰囲気が漂ってきているんだと思います。

コーヒー自体も好きで、こういった流れを追っていくのも大好きな人には、絶対にオススメの一冊ですよ!ぜひ手にとってみてください。

BRUTUS特別編集 もっとおいしいコーヒーの進化論。 (マガジンハウスムック)

それでは今日はこのへんで!

ではではー!

鳥井弘文

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