どうも鳥井(@hirofumi21)です。
先日発売された井上雄彦さんの新刊『リアル』13巻で、悪役(ヒール)について描かれていました。
この衝撃があまりにも大きくて、読み終えてからずーっと「悪役とは何なのか、どういった存在が“正しい”悪役なのか」自分の中で考えていたんです。
そして、自分の中で考えがまとまったらブログにしようと。
…ただ、全くもってまとまらない。まとまらないどころかドンドン深みにはまってく…。しかし、たまにはまとまらないってことを書いてみるってのもアリかなと思うので、今日は「悪役(ヒール)とは何なのか」について少し考えてみたいと思います。
リアル『13巻』で描かれた悪役プロレスラー
井上雄彦さんが、今回13巻まるまる1巻使って、車椅子バスケの話から一転、プロレスを描きました。悪役プロレスラーである白鳥を主役に、その人生と試合が描かれています。
詳しくは、僕が書くよりも、既にこちらの記事にキレイにまとまっているので、こちらを参照してください。
参照:プロレス初心者・井上雄彦が、とんでもなく本質的な「プロレス漫画」を描いてしまった(「リアル」13巻、KAMINOGE24号)。 – 見えない道場本舗
自分はプロレスに関する知識が全くありません。なので、ここではプロレスの独特な文化から“悪役”を語ることは出来ないので、そこは完全に放棄します。
井上雄彦さんが『リアル』に込めた現代へのメッセージ
ただ、前回のバガボンド36巻もそうでしたが、最近の井上雄彦さんの作品の中には、現代へのメッセージが色濃く描かれている気がします。これまでの描き方とは明らかに異なるものです。
参照:井上雄彦『バガボンド』36巻「耕す」ということ。 | 隠居系男子
きっと今回悪役を描いたことも、現代へのメッセージが多分に込められているはずでしょう。『リアル』を描き始めた頃にはプロレスシーンに、まさか一巻まるまる使おうとは考えていなかったはずです。
だからこそ、気になるんです、なぜ今「悪役(ヒール)」を描いたのか。
どんな時代の気運を感じ取って、この表現に至ったのか。
「この混沌とした世の中、息苦しい人々がいる。その人達の捌け口になるような・・・」とか、そんな単純な理由じゃないはずです。
まだ読んでいない方もいると思うので、ネタバレないように書きますが、今回の巻では、悪役が「最も憎まれ、そして最も愛される存在」として描かれていました。
上記で紹介した記事にも書かれていますが、プロレス素人の井上さんが、悪役(ヒール)で、本当にひとつの偉業を成し遂げてしまったと思います。
ネットにおける悪役(ヒール)の存在
さて、少し話は変わりますが、ブログを書いていると悪役的な人を多く見かけます。しかしそれがどこまで”正しい”悪役で、どこからが、ただの批判好きな人間なのかはわかりません。
参照:「批判する人」って、まじダサい。/「批判される人」になろう | Rootport
こちらの記事で書かれているように、確かに「建設的な批判をしている人」が一見その答えのようにも思えます。
ただ、「建設的な批判をしているなー」と思ったら、突然ど下衆い言葉で罵り始める人もいます。相手が気心変わりやすい人間である以上、それは仕方のないことなのかもしれませんが…。
ネットにヒールは必要不可欠
ただ、ひとつ確実に言えることはネットにヒールは不可欠です。
何か意見が発信されれば、それを批判する人が現れる。そして、その批判する人をまた批判する人が現れる。更にまた、その人を批判する人が現れる…。
こういった連綿と続く批判の連鎖から生まれてくる真理もあります。牧歌的な世界では、決してそういったモノは生まれてこないでしょう。
不平・不満が主張されて初めて、そこに新たな需要が生まれ、新しい価値観に合わせたモノが生み出されていく。そういったものが“進化”と呼ばれるものだと個人的には思ってます。
あなたにとって”正しい”悪役っていうのは、どんな人?
「悪役の毒舌がたまらなく好きなこともある。時に、それに励まされている自分がいる。ただし、それが麻薬だってこともわかってる。」
誰しも、本当に「消えてくれ」という人間が今までの人生の中にいたはずです。しかし、月日が経つにつれて彼・彼女に感謝している自分もいる。
結局は、受け取り側の評価次第ということなのでしょうか。
あなたにとって、悪役とはなんでしょう。これがそんなことを考えるキッカケとなってくれれば幸いです。
それでは今日はこのへんで!
ではではー!
鳥井弘文
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