ニコニコ動画を運営するドワンゴ会長・川上量生著『ルールを変える思考法』が完全に星5つだった!

ルールを変える思考法 (角川EPUB選書)

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

今日ご紹介するのは、ニコニコ動画で有名なドワンゴ会長・川上量生さんの初めての書籍、『ルールを変える思考法』です。

さてこの本、Twitterでもつぶやきましたが、題名があまりにもビジネス書っぽいので、抵抗を示してしまう方もいるかもしれません。しかし内容の方は、川上節全開ですのでご安心を!

僕が川上量生という男に初めて興味を持ったのは、『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』というラジオ番組の「ドワンゴの会長 川上量生さんのおまけの人生」の回なんですが(注:音が出ます)、ここでお話していたことも、この本の中ではかなり語られています。

本当に面白く、ぜひ多くの方に読んで欲しいので、今日はこの本から自分が気になった部分をいくつかピックアップしてご紹介したいと思います。

ニコニコ動画は、うちがやめたら誰もやらない事業だからおもしろい

まずはやっぱりこの話から!ニコニコ動画といえば、いまでこそ、パクリサイトのようなものはいくつか存在しますが、注目され始めた当初はこんなサービス世界中どこを探しても存在しませんでした。

なぜ、ドワンゴはこんなサイトをずっと続けてこれたのでしょうか。

この疑問に対して川上さんは「ドワンゴがこれをやめてしまえば世の中から消えてしまうサービスであるために続けています」と答えています。

「逆に言うと、ドワンゴが手を引いたら、他の人は誰もやらないようなことだからこそ、競争無く楽しく仕事ができる」のだそう。

これは言われてみると確かにその通りで、「誰もやらない事業なんて、需要も無ければビジネスにもならないから、誰もやっていないんだろ!」って思われるかもしれませんが、実際はそうではありません。

「ビジネスとはこうゆうもんだ」という、今までの常識にとらわれすぎてしまっているから、誰もやっていないだけの場合がほとんどなんです。

実際には、これだけネットが普及して、ボーダーレス化が進めば、世界中のほんの一握りの人たちにウケるサービスでも、それを提供することができれば、十分ビジネスとして成立します。

逆に競合他社のやり方を日夜調査し続けて、結局最後は価格競争に巻き込まれる方が、そのストレスの負担に耐え切れなくなるはずです。

売れるコンテンツや真のヒットは「わからないもの・説明できないもの」

上記の話と繋がるところもありますが、川上さんは他社のサービスは研究しないそうです。

「みんながやっていること」に追随しても、「独自性」が失われてしまい、競争力がなくなってしまうからというのが、その理由だそう。

独自性とは何か

では、その“独自性”とは一体どんなことを指し、それを失わないためにはどうすればいいのでしょうか。

コレに対して川上さんは「理解できそうだけど、理解できないぎりぎりの境界線上に答えがある」とおっしゃっています。

独自性とは、「きちんと説明できないんだけど、正しいと自分が思うこと。」いわゆる「感性」とよばれるものが、川上さんの考える独自性にあたるそうです。

この感性の部分まで昇華することができれば、競争が起こる可能性がかなり減るというのは、みなさんも自分の人生の経験上、なにかしら体験したことがあると思いますので、結構納得できる話ではないでしょうか。

コンテンツとは何か

じゃあ具体的に、独自性のある「コンテンツ」って一体どんなものを指すのでしょう?

本文から少し引用してみましょう。

僕が見つけた答えがあります。それは「コンテンツとは、わかりそうで、わからないものである」という定義です。

中略

人はなぜ、わかりそうで、わからないものに惹かれるのか。生物の進化のプロセスから説明できるんじゃないかと僕は想像しているのです。

中略

例えば、いつもの草原を歩いている時、後ろの草むらから何か聞きなれない物音がした。見つけたキノコの色がいつも食べているものと微妙に違う気がする。それらが気になるか気にならないか、興味を持つか持たないか、そうしたことで人間の生存率は大きく違ったのではないでしょうか。

人間は「わかりそうでわからないことが気になって興味をもつ」という本能を進化の過程で獲得したんじゃないか、それがコンテンツに興味を持つ源泉じゃないかというのが僕の仮説なのです。

少し抽象的ではありますが、この部分を読んで僕はものすごく腑に落ちました。

確かに自分にとって面白いと思えるコンテンツは、どれをとっても「わかりそうで、わからないもの」であるし、わかった瞬間に飽きがきて興味が薄れていきます。

まだまだ自分の中でもうまく咀嚼しきれていませんが、なんとなく向かうべき方向性のようなものは、このお話から得られたような気がしています。

また、こちらの記事とも関連性があると思うので、ぜひ合わせて読んでみてください。
参照:大前研一×堀江貴文『日本のテクノロジー』対談は文系にもみて欲しい! | 隠居系男子

ジブリが続編を作らない理由

さて、少し抽象的で小難しい話が続いたので、ここで気になるジブリの話題へ!

川上さんは『ジブリ汗まみれ』に出演した以降、スタジオジブリプロデューサー見習いとして、鈴木敏夫さんの下で働いています。

そんな川上さんからみた「ジブリとはなにか」というお話も、この本の中には頻繁に登場してきて、ぜひジブリファンにも読んで欲しい1冊となっています。

そのなかに、「ジブリが続編を作らない理由」という章があったので、ここでご紹介しておきます。

まず、僕の個人的な意見を述べると、コレに関しては色々な理由があると思っています。僕も様々なジブリ関連の本を読んできて、この理由が書かれている部分もたくさん読んできましたが、その答えは本当に様々です。

というより、ジブリ自体もこの問いに対する明確な答えがないという感じで、皆それっぽい意見を述べているに留まっている印象です。「結局気がついたら、一回も続編を制作することなく、ここまできてしまった。」というのが正しいところではないかなと思います。

そんな中、川上さんなりの答えは以下の様なものです。

ヒット作の続編をつくれば、リスクは少ないし、大きな予算を動かしやすいのに、(ジブリは)それをしません。なぜかといえば、「自分たちの作りたいものを作り続ける」ということを第一に考えているからです。そして、そうしたなかにあってもジブリの人たちは『風立ちぬ』のような、今の時代に合わせて新しい試みを行った作品を、しっかりと生み出しています。

それは時代に迎合しているということではなく、時代性を嗅ぎ取る感性があるからこそできることなのです。

以前、鈴木さんに「時代に合わせて作品を作っているんですか?」と聞いてみたことがあります。そうすると、「どんな作品であっても時代は反映する。何をつくったとしても、それはその次代の雰囲気を反映せざるを得ない」という答えが返ってきました。「作品はなんだっていい。どんな作品でも、その作品なりに時代を反映させるやり方がある」とも話していました。

要するに、ジブリの人たちは、「そのときにつくりたい作品を、その時代に合わせてつくっている」ということだと思います。

最後に

今回紹介したお話以外にも、面白いお話はたくさんありました。ここで紹介したものは、そのほんの一部です。

他にも・・・

  • 「日本の隠れた資産」をこれからさらに増えていくであろう高学歴で暇な人達を使って輸出するのが、ニコニコ動画である。
  • ひろゆきとはどんな人物なのか、ひろゆきがニコニコ動画にしてきたアドバイスの数々、そしてひろゆきのような人間が増えた未来とは?
  • youtubeという「楽園」を追い出された時、ニコニコ動画の神話が生まれた。

などなど、本当にここでは紹介しきれないほど興味深い話がいっぱいでした。

あ!あと、僕が川上さんの持論の中で、一番好きな話に「Googleに一泡吹かせてやりたいんだ」というがあるのですが、それも「巨大な意思に一泡吹かせたい」という項に載っていました。

冒頭でも紹介した『ジブリ汗まみれ』なかでも、この話については語っているので、興味がある人は聴くなり読むなりしてみてください!

今回のこの『ルールを変える思考法』は本当に良書でした。川上さんの次回作を楽しみにすると共に、11月20日発売予定の『SWITCH Vol.31 スタジオジブリ、その究極のモノづくり 責任編集:川上量生』をまずは期待したいと思います!

参照:「SWITCH Vol.31」12月号でジブリ特集【スタジオジブリ、その究極のモノづくり】 « スタジオジブリ非公式情報サイト【ジブリのせかい】

それでは今日はこのへんで!

ではではー!

鳥井弘文

その他この投稿に関連した記事はこちら!

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