どうも鳥井(@hirofumi21)です。
先日、WWDの「人気雑誌を勝手に表彰!雑誌アカデミー賞2014」特集を読みました。
各雑誌の編集長インタビューが掲載されており、どれも参考になって面白かったのですが特にWIRED編集長・若林恵さんの話が興味深かったです。
ウェブメディアを運営する上でも非常に参考になりそうな部分が多かったので、今回ご紹介してみようと思います。
WIREDのコンセプトは?
WIREDはみなさんもご存知の通り、デジタルカルチャーについて書かれている雑誌です。
6月10日に発売された最新号はコレ。
「なぜ今、シリコンバレーの投資家たちがコーヒーとチョコレートに投資しているのか、そしてどんなビジネスを実践しているのか」を紐解く特集となっています。非常に“WIREDらしい”企画ですよね。
では、その「WIREDらしさ」って何でしょう?
確かに「WIREDらしさ」というのは明確に存在するのですが、「じゃあそれって具体的にどんなこと?」と聞かれると、なかなか答えるのは難しいと思います。
この点、編集長の若林恵さんはWIREDのコンセプトについて以下のように語っています。
対外的にはデジタルカルチャーをコンセプトとして位置づけていますが、正直なところジャンルはないと考えています。
パソコンやネットが普及する以前は、サブカルチャーの範疇をでませんでした。しかし、現在はデジタル抜きでは何も語ることができない時代になりました。
デジタルカルチャーを一つの切り口することで、ファッションやスポーツ、政治など、縦横にカテゴライズされていたコンテンツを横軸に切ることができ、さまざまなコンテンツを扱うことができるので、このコンセプトは画期的なモノと捉えています。
WIREDのターゲットは?
更に、そのWIREDのターゲットについて聞かれると、以下のように続けています。
男性でも女性でもない。強いて言えば、アップルユーザーみたいなもの。
例えば「アップルユーザーのターゲットは誰ですか?」と尋ねられると、「それはアップルユーザーです」と答えることと同じ。学生や若手起業家から、決定権を持つマネージャークラスまで幅広く読まれているので、旧来のペルソナで判別することはできません。
「何か言っているようで、結局何も言ってないじゃん!」とか「なんだ、結局アップルかよ!」と思うかもしれないけれど、これって結構重要な発想だと思います。
「面白いか、面白くないか」の基準
本誌インタビュー内で、編集手法の特徴について聞かれている時も「そこに読みたくなるストーリーがあるかどうかだ」と語っており、「単純にトピックが面白いか、面白くないかだけが重要」と語っています。
「面白い」という価値基準ほど属人的な事柄ってないですよね。つまりWIREDの場合は「自分たちが面白いと思うもの・良いと思うもの」をWIRED編集部内で独自に判別し、それを誌面に載せているのでしょう。
結果的に、それが「WIREDらしさ」となっていき、面白さを共感してくれた人たちが、年齢・性別・身分にとらわれることなく読みに来てくれていると。
だからこそ、コンセプトが明確でもなければ、ターゲットも明確ではないのだと思います。
最後に
きっと、今の時代に受け入れられるメディアというは2種類しかありません。
ひとつは、自分たちが面白いと思うモノだけを厳選して、徹底的にそれを出し続け、ファンになってもらうタイプのメディア。
その場合、コンセプトやターゲットというのはほぼ完全に無視して、振り返った時に積み重なっている記事や、共通している内容が結果的にコンセプトであり、そこまでついてきてくれた方たちがターゲットとなるのでしょう。
まさに、以前書いた以下の記事に近い話です。
参照:高城剛の「情報ダイエット」の話は、なぜ読者に刺さるのか? | 隠居系男子
もう一つは、徹底的にペルソナを分析をして、ある一定層の人々だけにドンズバで刺さるものを出し続けるメディア。
朝から晩まで徹底的な研究調査を続け、作る側の面白い・面白くないは二の次にして、身を挺してターゲットに刺さるコンテンツを献上していくタイプです。
(…しかしこちらに関して言えば、もう少しビックデータ解析が実用化できるレベルになったら、それこそ人間よりもコンピューターが作ったCanCamの方が読まれるというような現象が起こってくる気もしないでもないですが…)
以上が、今回のインタビューを通して個人的に考えたことです。
その他にも「ロングジャーナリズム」についてのお話や、イベントを含めた「マルチプラットフォーム戦略」など、参考になるお話がたくさん掲載されていたので、気になる方はぜひ読んでみてください。
人気雑誌を勝手に表彰!雑誌アカデミー賞2014 | WWD JAPAN | WWD JAPAN.COM
それでは今日はこのへんで!
ではではー!