セブ島に来て4週間が経ちました。
今回は留学記を少しお休みして、今日から始まる「今更シリーズ第1弾!」として、いまさら『おおかみこどもの雨と雪』について少し書いてみようかと思います。
と言っても、この映画を見てそこから派生し自分なりに考えた事を、つらつらとそこはかとなく書いていこうと思いますので、あまりご期待なさらずに。笑
まず『おおかみこどもの雨と雪』で僕が実際に見に行くきっかけになった考察は以下。
04 Blog Not Found:日常は無常 – 映画評 – おおかみこどもの雨と雪
やっぱり愛と呪いは紙一重なんだと思う (「おおかみこどもの雨と雪」を観た) – インターネットもぐもぐ
この映画、僕は大好きです。
たまたま新宿で友人からドタキャンを食らってしまい、時間もあるからという安易な理由で観に行ったのですが、ただひたすら純粋に感動しました。
そして初めて、映画館で映画のエンドロールが終わるまで誰ひとり席を立たなかったというのを体験した映画です。
きっと多くの方の心に残る何かがあったんでしょう。
上記のブログ記事以外にもラジオ(Podcastあり)ではこんな対談も。
鈴木敏夫のジブリ汗まみれ 2012/10/05 おおかみこどもの雨と雪、ポスト宮崎駿の誕生か?
そうなんです、実はこの映画が語られる上で、ついて回る話が「細田守監督はポスト宮崎駿になりうるのか?」というお話。
映画自体の批評は上記で挙げたようなブログがネット上にゴロゴロ転がっているので気になる方はそちらを見て頂いて、今回はポスト宮崎駿についてちょっと考えてみたいと思います。
細田守監督がポスト宮崎駿になれるのかどうか?を考える上で
そもそもポスト宮崎駿とはどんな存在なのか?
そこに求められる時代性やメッセージ性とは何なのか?
ということを少し考えてみたいと思います。
この点、宮崎駿本人は…
「バブルで皆が浮き足立っていた時は、世紀末的なもの・ファンタジー要素が強いものがウケた。けど今はそれを書いてもウケない。時代が変わったんだと思います。」
とコクリコ坂からの制作現場を追った『ふたり』というドキュメンタリーの中で語っており、今と昔で求められるモノが変化したと自身でも言及しています。
この世知辛い今の日本社会において、将来は明らかに右肩下がりしていくと皆が気づき始めてしまった時に、求められるテーマというのは何なんでしょう?
それはきっと、浮世離れしたファンタジーではなく、人々が共感できる身近なテーマと、ファンタジー要素をうまく掛けあわせたものなんだと思います。
その点から考えると『おおかみこどもの雨と雪』は「家族」や「子育て」、「親離れ」という身近なテーマの中に、少しだけ「狼の子供」というファンタジー要素を取り入れ、あくまで身近に有りそうな物語の一つとして語っており、非常に現代にマッチした作品と言えるでしょう。
なので、たとえば今仮に30〜40代の宮崎駿本人がいたら、ポスト宮崎駿となりえるのか?と考えれば、それは絶対に無理でしょう。
なぜなら、これからポスト宮崎駿となりうる人は、ナウシカやラピュタのようなファンタジーをあのクオリティで描けるような監督ではないからです。
それはきっと上記で挙げたような今の時代性にあったテーマが得意で、更に今まさにこのタイミングでそれを上手に表現できる人なんだと思います。
結局一表現者というのは、「時代の代弁者」ではあっても、「時代の創造者」ではないんだということでしょうね。
この点をもっとわかりやすく例え直すと、例えばポスト前田敦子を考えた時に、仮に今14歳の前田敦子がいたとしても、絶対にポスト前田敦子には成り得ないはずです。
当時アイドルに求められていた時代性と、今アイドルに求められている時代性が大きく異なるからです。
しかし、今日本でソレをみつけられる可能性が一番高い人は、良くも悪くも秋元康なのでしょう。
現に秋元康は、おニャン子クラブとAKB48を、時代と世代を超えて生み出してみせました。
しかし、彼自身は発見者 兼 創造者になれても、自分自身が表現者にはなれないというジレンマはあるとは思いますが…。
そう考えると、じゃあいったい誰がポスト宮崎駿を見つけ出すことができるのでしょうか?
多分、その点で一番可能性が高いのは、やはりスタジオジブリプロデューサー鈴木敏夫さんということになるのでしょうね。
現に宮崎吾朗監督をアニメ業界に引き込んだのも鈴木さんであり、アリエッティの監督に米林宏昌(通称:マロ)を起用したのも鈴木さんです。
そして、どの作品も興行収益的にはしっかりとそこそこの成功を収めています。
でも残念ながら鈴木さんもポスト宮崎駿を発掘するのは無理だと思われます。もちろん僕の尊敬する人物でもあるので、個人的にはものすごく応援はしたいですが…。
きっとジブリというスタジオが、大きな足かせになってしまうはずだからです。
今雇っているアニメーターをジブリという会社を継続させていきながら、食べさせていかないといけない。
そして、スタジオのトップにはクソ真面目な宮崎駿がまだまだ現役で君臨し続けている。
これらの理由が、鈴木さんが思うように動くことの出来ない原因となる気がします。
このへんは消費期限が早いアイドルとは一線を画するところでもありますね。
鈴木さんがフリーになったら、もしかしたら、面白い人を発掘する可能性もなくはないかもしれませんが、その可能性はかなり低いと思われます。
鈴木さんは義理人情に厚く、昔ながらの価値観も持ちあわせている方なので、きっとご本人も宮崎駿、高畑勲と心中する道を選ぶんでしょう。
ではじゃあ一体誰が?ということになりますが…
それはきっと、今スタジオジブリプロデューサー見習中のドワンゴ会長・川上量生さん辺りがサクっとやってのけてしまうのではないかってのが僕の予想です。
それも今までのアニメ業界とは全く違ったアプローチで…。
さて、ここまで本当によくわからないことをつらつらと書いてきてしまいこれ以上書くともっとまとまらなくなるので今回はこのへんで。
そし今日僕が言いたかったことはただひとつ!
この作品本当にいい作品なのでぜひ多くの人に見て欲しいです!
3.11後、色々な意味でお大きく転換期に入った日本ですが、その代表作、第一作目がまさにこの作品だと僕は思っています。
DVDはまもなく!
今月20日発売です!
ではではー。
鳥井弘文