このブログ初の下ネタ地味たタイトルです、どうも鳥井(@hirofumi21)です。
さて、ジブリ作品の中でカルト的な人気を誇る作品といえば、間違いなく『耳をすませば』でしょう。
特に女子に人気が高く、真面目な女子ほど、この作品が好きな傾向にあります。実はこの秘密、主人公の少女・月島雫に隠されているんです…。
ということで今回は、この『耳をすませば』に隠されている意外な事実について書いてみようと思います。
『耳をすませば』はどんな作品か?
まずは、『耳をすませば』をちゃんと見たことがない人のために、どんな作品なのかカンタンに説明しておきましょう!
というのも、この作品、ハマる人にはものすごくハマるのですが、ジブリ作品として期待して見始めると、途中で飽きてしまう人も多いという作品なんです。「テレビで放映されているのをチラッと見たことがあるけれど、どんな内容か忘れた!」っていう人のために…笑
舞台は1990年頃のとある団地。読書好きな中3の女の子・月島雫が、夏休みに図書館で借りた本を読み漁っていると、自分が借りた本の貸し出しカード全てに「天沢聖司」という名前が書かれていることに気がつく。そして、ひょんなことから2人の交際が始まっていくという、なんてことはない、至って普通の淡い恋愛物語です。
ただ、この作品が他の作品と違うのは、「監督が近藤喜文、絵コンテ(プロデュース)が宮崎駿」だということでしょう。
監督を担当された近藤喜文さんは若くしてお亡くなりになっているのですが、「日本が生んだ世界的なアニメーター」と言われるほど才能に溢れた方で、いつも高畑勲、宮崎駿の両者で奪い合いをするようなスタジオジブリのアニメーターだったそうです。
近藤喜文と宮崎駿が描く少女の違い
以前このブログで書評も書いたスタジオジブリプロデューサー鈴木敏夫さんの本『風に吹かれて』の中で、この作品に関する以下の様な話が出てきます。
技量に関してはお互い(近藤喜文と宮崎駿)信頼感があったけれど、性格が違うでしょう。
宮さんが雫っていう女の子を描いた絵コンテがある。それに近ちゃんが芝居をつける。そうすると明らかに芝居が違うんですよ。
例えば一つの例を出すなら、宮さんのキャラクターって常に走りながら考えるんですよ。でも近ちゃんがやると考えてから動く娘になる。これはものすごく大きな違いになる。
結果、何が起きたか。雫というのは品のいい子になった。でも、それは宮さんは嫌だったんですよ。
ここで鈴木敏夫さんが話されているように、この作品の中では、2人のアニメーターの「性格」が対立しているんです。
そして、それが明確に表現されているシーンが実はあります。
雫のパンチラをめぐって
もう一度、先ほどの本から引用します。
あるシーンが僕は印象に残っているんです。雫が今の地球屋を訪ねるんだけれど、人がいない。そこで壁にもたれかかってへたり込むシーンがあるんですよ。
ここに近ちゃんらしさが出ているんです。どういうことかといったら、短いスカートを穿いているでしょう。へたり込んだら普通パンツ見えちゃうんで、見えないように座るんですよ。つまり人の目を意識している。そのことによって何が起きたかといったら、つまり、自意識過剰な子なんですよ。誰もいないのに、人の目を意識したんですよ。近ちゃんはそんなことは全く思っていなかっただろうけれどエッチに見えるんですよ。
これは面白いですね。宮さんだったら、さっと座ってへたり込んでね、パンツ見えちゃうんですよ。宮さんのほうがカラッとしている、この2人の違いですよね。
僕はこの逸話が大好きなんですよね。
それはなぜかと言ったら、この話によって「ジブリ作品とは何か、宮崎駿作品とは何なのか」ということがより鮮明に浮かび上がると思うからです。
走りながら考える少女と、考えてから動く少女
先に断っておきますが、どちらの行動パターンも決して間違っていないと思います。
ただ、宮崎駿さんが描く「走りながら考える少女」のほうが僕は好きです。そして、それこそがジブリ作品、宮崎駿作品の醍醐味だと思っています。
考えてみれば、『魔女の宅急便』のキキも、『となりのトトロ』のメイとサツキも、『もののけ姫』のサンも、『千と千尋の神隠し』の千尋も、みーんな走りながら考えていますよね!
そして、この前書いた反日デモに関する記事の中で、僕は蒼井そらさんをナウシカのようだったと例えましたが、あの状況下であのような行動にでた蒼井そらさんは、まさに「走りながら考える少女」そのものだったと思います。
参照:反日デモ最大級のあの日、僕は北京日本大使館の前にいた。 | 隠居系男子
一方で、一度立ち止まって考える少女に魅力を感じて共感する人も多いわけです。もちろん自分にもそういった面が少なからず存在するので、その気持もすごくわかります。
冒頭で、「真面目系女子にカルト的な人気を誇る」という話を書きましたが、まさにそういった女子たちに好まれるキャラクター像が月島雫なんではないでしょうか。
最後に
二人のアニメーターが描く少女の違いは、こうやって具体的に言及されない限り、気が付きにくい所ではあると思います。
しかし、観ている側は一つ一つの行動から、無意識のうちにそのキャラの違いをちゃんと読み取り、そこに魅力を感じたり、共感を覚えたりするもんなんだなーと、この逸話を読んで改めて感心されられました。
以前書いた記事に、猪子寿之さんが同じような話をしていたことについて引用したことがありましたが、本当に人間の直感というのは大変優れているものなんだと、こういったアニメの一場面からも気が付かされます。
参照:『日本的想像力と「新しい人間性」のゆくえ』が新しくて面白い! | 隠居系男子
先日放送されたラジオ番組『ジブリ汗まみれ』の中でも、今回紹介した場面以外の『耳をすませば』の制作秘話が語られているので、ぜひこちらも一緒に聴いてみてください!
2013/10/08 「ゲド戦記」「コクリコ坂」に声優として出演した女優の風吹ジュンさんがれんが屋に訪ねてきました。 鈴木敏夫のジブリ汗まみれ – TOKYO FM 80.0 – 鈴木敏夫
ポッドキャストでも聞くことができるので、興味がある人はきっと楽しんでもらえると思います!大人目線の面白いジブリの話がたくさん聴けますよ!
それでは今日はこのへんで!
ではではー!
鳥井弘文
その他この投稿に関連した記事はこちら!
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