どうも鳥井です。
先日、オトバンクの佐伯さんより「道をひらく」(オーディオブック版)をいただきました。
このブログを読んでくれている方には説明不要だと思いますが、松下電器の創業者・松下幸之助さんの書籍です。
この本が発売されたのは、1968年だそうです。僕がこの本を初めて読んだのは、たしか学生の頃だったと思います。
今回あらためてオーディオブックで聴き返してみると、ビックリしました。
いまの時代でも、グサグサと刺さる言葉がたくさん書かれているんです。
その中でも今日は「辛抱する心」を紹介してみたいと思います。
とても短い文章なので、そのまま引用しておきます。
「辛抱する心」
どんな人がいい人で、どんな人がわるい人か、それは一概にはいえないけれども、国の法を犯す人はもちろんのこと、おたがいによくない人だと思う人びとは、浜の真砂のつきざる如く、昔も今もいっこうになくなりはしない。
万物すべてかくの如し。
真善美を求めるのは、人みなの思いだが、どんなに求めても、美ならざるもの、正ならざるものは、やはりなくなりはしない。
それはいつの世にも美なるものと相まじわって存在し、美醜とりまぜて、それでこの自然が成り立っているのである。この世の中が動いているのである。
だからこそ、おたがいに辛抱ということが大事なのである。
寛容の精神が大事なのである。
いい人もいるけれども、よくないと思う人もなかなかなくならない。
それが世の中というものであるならば、辛抱と寛容の心がなかったら、いたずらに心が暗くなるばかりで、この世の住みにくさを嘆くだけであろう。
人と人とが相寄って、毎日の暮らしを営み、毎日の働きをすすめているのである。
いい人ばかりではない。
いろんな人がいる。
だからおたがいに、いますこし辛抱と寛容の心を養いたいものである。
いかがでしょうか。
つい最近書かれた文章なのではないかと疑ってしまうほど、今の世の中を言い表している気がしますよね。
特に僕の心に刺さったのは、「それが世の中というものであるならば、辛抱と寛容の心がなかったら、いたずらに心が暗くなるばかりで、この世の住みにくさを嘆くだけであろう。」の部分です。
辛抱や寛容という言葉は、相手のためとか社会のためとか、キレイごとで語られることが多いですが、そんなことはどうだっていい。
なによりも自分のために、辛抱と寛容の心がいま大事だと思うのです。
最近書いた、下記の内容にも近い話かもしれません。
旗から城へ。さもなければ、ずっと野宿が続くだけ。
他人の旗を倒すことばかりに躍起になるのではなく、まずは自分たちの旗を立てること。
そして、その旗を少しずつ大きくしていって、いつか大きな城にしていけるように。
他人の旗や城を崩すことばかりに気を取られてしまっていると、いつまでも自分たちは野宿が続いて、この世の中が住みづらいままなのは当然です。
自分にとって住みやすい世の中にするためにこそ、辛抱と寛容の心が重要になってくるんだと思います。
最後に
久しぶりに「道をひらく」を読んでみて改めて思ったことは、実践の経験があってこそ、この本は身に沁みてくるものなんだなと。
今回、社会人経験を経てから聴いてみて、その捉え方が大きく変わりました。
きっとまた、何年後かに読み返したら、捉え方が変わるのだと思います。
人生の節目ごとに繰り返し聴いていきたい作品だと感じました。
もう読んだことがあるという方も多いとは思いますが、ぜひオーディオブック版でも試してみてください。
朗読は、『攻殻機動隊』のバトー役などでもおなじみの大塚明夫さん。個人的には、この点もかなりおすすめポイントです!
それでは今日はこのへんで。
ではではー!