どうも鳥井(@hirofumi21)です。
最近、池波正太郎さんの「男の作法」という本を読んでいて、もう2ヶ月ぐらいずっとダラダラと読み続けています。
説教されたいとき、オヤジの小言を聞きたいときについつい読みたくなる本です。でもそこに深い人生哲学が入っているから心地よい。以前ご紹介したことのある松浦弥太郎さんの本もまさにそんな感じです。
参照:「あたらしいあたりまえ。」を伝えるということ。 | 隠居系男子
松浦弥太郎著「いつもの毎日。衣食住と仕事」を読んで。20代で“定番”があるってホント? | 隠居系男子
仕事終わりに、ふらっと立ち寄るぐらいの感覚で読み始めるのが丁度いい。
さて、そんな中、今日は「瓶ビールの飲み方」に関して本書の中でとても納得してしまったお話があったので、この内容をご紹介してみようと思います。
ビールを注ぎ足すのは、愚の骨頂。
少し長いですが、まずは本文を引用してみます。
ビールというのはね、料理屋でもそうだけど、本当の料理屋でない限り、まだ残っているうちに注ぎ足してしまう。これは愚の骨頂で、一番ビールをまずくする飲みかたなんだよ。
ビールというのは成分がある程度飛んじゃうわけですよ、時間がたつと。そこへ新しい成分を入れるでしょう。せっかくの新しいあれがまずくなっちゃうんだよ。それに、ちょっと飲んだのを置いておくと、冷えてたのがある程度温かくなってきちゃうわけだ。そこへ冷えたのを入れても、本当に冷えた感じにはならないでしょう。中和されちゃうから。
だから、ビールの本当の飲みかたというのは、まずお酌で一杯飲むのはしようがないね。それでグーッと飲んだらビールをまず自分のところへ置いとくんですよ。そして自分の手でやらなきゃビールというのはうまくないんだ。コップになみなみ注がないで、三分の一くらい注いで、それを飲みほしては入れ、飲みほしては入れして飲むのがビールの本当のうまい飲みかたなんですよ。
(中略)
それなのに、ちょっと飲むとすぐ店の人や何かが注ぐでしょう。接待のときもそれをやるからいけないんです。悪循環で全部飲めないからコップに半分残るでしょう。そうするとそのまま放っておくと何か気がつかないみたいでね、怠慢のように思われやしないかということになる。
自分も、目上の人と一緒に飲みにいくと空いているグラスにすぐ継ぎ足してしまうから、全然偉そうなこと言えないのですが、ビールを継ぎ足しながら飲むのは本当に美味しくないんですよね。
やっぱり、仕事帰りとかに適当な中華料理屋さん入って、瓶ビールを1本頼み、ここに書かれているような飲み方で1人で飲んでいる時の方が、圧倒的にうまい飲み方なんです。
だから、飲みの席でもグラスの4分の1ぐらいのところまではなるべく目に入っても放置しているんですが、半分ぐらいでガンガン継ぎ足してくる人もいますよね。そして、そういう人の方が気を使っているマナーある人だっていうことになっている。
そんな昭和的な接待のルールは、そろそろやめにしませんか。
そろそろこのルール自体が変わっていった方がいいと思います。
だって、これは本当に美味しいビールを飲むためのマナーではなくて、あくまで接待の為に生まれたルールであり、昭和的なルールなのですから。
最近は、飲みながら「瓶ビールは手酌派ですか?」って聞いてしまうことが多いです。本当にお酒が好きだっていう人はみんな手酌派だって答えるので、その後はとても楽しく一緒にビールを飲むことができます。
サラリーマンとか接待している人たちのことは知りませんが、それこそ「ヒップな生活革命」的な側にいる人達だったり、本当に心から食事を楽しみたい人たちの中では、そのほうがイケてるというか粋であるっていう風潮になっていけば、それが当たり前になってくるのではないのかなと。
大量消費文化、終身雇用制度、東京一極集中などなど、そういった価値観に疑問を抱いているような人たちにとって、瓶ビールの飲み方一つとってもそろそろ変わってきていいのではないでしょうか。なにも昭和の接待文化を踏襲することはないはずです。
「灯台もと暮らし」でも、これからの暮らしを考える人たちのためのビールの飲み方などを、ビール会社の人に本気で取材してみようかなと企んでしまいます。
最後に
すごく良い本なのに、よりによってビールの飲み方を引用して書いてしまいました。
ただ、今回のビールの話に限らず、寿司、天ぷら、うなぎの食べ方にしても同じような価値観で本書の中で語られています。
過剰なものを取り除こう。本当に必要なものだけでいい。一番美味しい質素な感覚を取り戻そう。という池波正太郎さんの価値観は、今みたいな時代だからこそ復活していく兆しはあると思います。
そんな時、この本はとても参考になるのではないのかなぁと思う今日このごろです。
Kindle版も出ているので、文庫本を常に持ち歩く必要もなく、ダラダラ読むにはうってつけの本ですよ。気になる方はぜひ。
それでは今日はこのへんで。
ではではー!