居場所づくりは「馴染むこと」が肝心。

先週末、函館蔦屋書店さんでトークイベントを開催させていただきました。

参照:鳥井弘文×函館 蔦屋書店 「函館のこれからについて考える」 | 函館 蔦屋書店

今回、久しぶりに函館蔦屋書店さんを訪れてみて、僕が一番最初に驚いたことは、お客さんがものすごく馴染んでいるなあという印象を受けたこと。

5年前のオープン当初に僕が訪れたときは、まだまだお客さんたちがぎこちなかった。

参照:函館蔦屋書店がスゴい!代官山を超え、これを目当てに函館に移住しても良いレベル! | 隠居系男子

でも、今回久しぶりに訪れてみたら、お客さん(つまり函館の住民の方々)の空間の使い方がものすごくこなれていました。

例えば棚に並んでいる本を手にとって暖炉の前に座って読む様子や、子供と一緒に訪れてキッズスペースでくつろぎながら親御さん同士が談笑している様子など、どれをとってもなんだか馴染んでいるなあと感じたんです。

まさに函館蔦屋書店さんが5年前に思い描いていた理想が、しっかりと現実になっている姿を目の当たりにして、これこそ本当の意味で“居場所づくり”の成功事例だなあと思いました。

成功の要因は何だったのか?

では、その成功要因とは一体何だったのか?

もちろん、空間設計が優れていることも挙げられると思います。

実際、函館蔦屋書店さんは旭山動物園の成功事例を参考にしながら、お客さんの導線設計を非常に細かく意識して作ったと聞きます。

でも、本当に素晴らしいのはソフト面だなと僕は思いました。

この空間を使って、函館の方々にどのように心地よく過ごしてもらうのか?

見物客ではなく、自分たちの居場所として捉えてもらうためにはどうすればいいのか?

それを、自分たちのひとりよがりな理想を押し付けるだけじゃなく、函館の住民の方々と一緒に相談しながら、ともに作り上げていこうという姿勢がヒシヒシと伝わってきました。

具体的には、今回のイベントも企画してくれたスタッフの濱野さんを筆頭に、毎月100以上の大小様々なイベントやワークショップを仕掛けつつ、丁寧に住民の方々とコミュニケーションを取りながら、その声を聞いているんです。

僕がここで事例を紹介し始めるとキリがないので、詳しくはぜひこの書籍を読んでみてください。

蔦屋書店さんがこの5年の間にどのようなチャレンジをしてきて、今の成功に結びついているのか、とてもよく理解できるかと思います。

本当の意味で人々の居場所になれば、人が人を呼ぶ好循環が生まれてくる。

地方によくありがちな「コミュニティスペースを作りたいから」という理由だけで、立派な箱物だけをつくり、そのあとは放ったらかし。

放ったらかしだけならまだしも、「あんなに素晴らしい空間を建てたのに、なぜ住民は使わないんだ…!」というようなネガティブな声さえ聞こえてくるようなことがあります。

でも本当に大切なことは、その箱物をつくったときに思い描いた理想を、住民の方々と一緒に試行錯誤を繰り返しながら、ともに馴染んでいくことなんだろうなあと。

そうすることで初めて、人々の居場所になる。

そして、これはどれだけ頑張っても3年〜5年ぐらいはかかるのだと思います。

でも、そうやって本当の居場所になって、コミュニティが確立されると、あとは人が人を呼ぶという好循環が勝手に生まれてくる。

実際に地元の知人たちからそんな声を何度も見聞きしました。

最後に

居場所づくりや、コミュニティ形成において、全国の中でも大変優れた成功事例だと思います。

自分の地元であるという贔屓目をなしにしてみても、ぜひ一度訪れて“お客さんの流れ”を観て体感して欲しい場所です。

来月には、「IN&OUT-ハコダテとヒト-」編集長の阿部さんと「ジモコロ」の徳谷柿次郎さんのトークイベントも予定されています。気になる方々はぜひ足を運んでみてください!

『ジモコロ編集部』トークイベント | 函館 蔦屋書店

最後に、改めまして今回のイベントにお越しいただいたみなさん、本当にどうもありがとうございました。

みなさんが足を運んでくださったおかげで、僕も多くのことを学ばせていただきました。

また函館のみなさんとお会いできる日を楽しみにしています。

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