「巨匠みたいな作り方をしてもつまらない。」日本的な一筆書きの作り方。

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

今日は、久しぶりに「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」のご紹介です。

川村元気さんと鈴木敏夫さんの対談で、これはもう聴く前からテンション高くなる回でした。そしてやっぱり期待通りの内容。

参照:「日本のアニメ・映画の未来について」鈴木敏夫のジブリ汗まみれ – TOKYO FM 80.0 – 鈴木敏夫

今日は、その中から「日本的な一筆書きの作り方」について、お二人が言及していた部分をご紹介しつつ、自分の思うところを少し書いてみようかなと思います。

川村元気さんって誰?という方は以下の記事をお読みください。

参照:「仕事とは何か」を考えるアラサー世代にオススメしたい!川村元気著「仕事。」 | 隠居系男子

「始める前からゴールを明確にして作り始めるのは、巨匠のやり方。」

川村:スタジオジブリの作り方って特殊じゃないですか。Pixarってシステマティックに、ストーリーボードをでスタッフが打ち合わせをしながら進めていく。

かたや、宮崎監督って一筆書きのように頭からズンズンとラストへ向けて書いていくという。鈴木さんのよく言う「連載」方式で。だからこそ、すごくオリジナリティのあるものができてきていると思うんですけれど。

鈴木:それって日本の伝統というか、漫画がそうだったじゃない?

川村:そうですね。

鈴木:その作り方が、実写においてはなくなったんでしょ?

川村:うん、もうないですね。

鈴木:みんなシナリオをきちっと作ってから入るんでしょ?

川村:入ります。

鈴木:これってどっちかっていうと西洋的だよね。もとに戻してよ!(笑)

川村:僕も結構それは思い始めていて、ストラクチャーが頭からケツまで全部決まっているというのは、安心材料ではあるけれど、なんかそれ以上は突き抜けないなというか…。

鈴木:つまんないよ。

川村:だから、どこか日本的な作り方で、いわゆるギリシャ神話からくるストーリーテリングと戦ってみるのも面白いだろうなぁって。

鈴木:だって、昔はそっちのほうが大勢を占めていて、ケツまで決まっていたのは、いわゆる巨匠の仕事だったわけでしょ?でも、いまや、若い人まで含めてみんな巨匠のやり方じゃない?だから、俺はちょっと変なんじゃないかなってどこかで思っているよ。

再現性は低い。

このお二人の話は、以下の記事でも似たようなことを書いたことがあります。

参照:『日本的想像力と「新しい人間性」のゆくえ』が新しくて面白い! | 隠居系男子

いわゆる日本的なプロセス重視の作り方。日本人が作る作品(コンテンツ)はゴールを決めないで、ボトムアップ的に作っていく方が絶対におもしろい。それは間違いないと思います。

鈴木さんは、宮﨑駿さんのスタンスを例に出して「ゴールが決まっていないスリルとサスペンスが、作品に良い影響を与えるのだ」と言っていました。

「だから絶対に完成させない。自分自身が登場人物になって、作りながら自分自身もハラハラドキドキすることが良いのだ」と。

ただ一方で、このやり方によってスタジオジブリが成功してしまったせいで、宮崎監督に憧れて路頭に迷う人たちもいるのは事実だと、川村さんは言います。

再現性が低いやり方であって、それを技術として継承することは難しい。ビジネスになったときに全体が見えていないとお金はだしづらいのが現状だと…

今の日本では、どの分野でも安定した成果の方が求められる。

この現象というか流れって、何もアニメ業界だけの話ではなく、今の日本においては広く世間一般的に、このやり方が用いられているような気がしています。

もちろん、Webコンテンツの制作の現場でも同じことが起きている。最初に結論ありきで、どこにゴールを置くのかが一番最初に求めらてしまいます。

この答えのない時代、右肩下がりの時代ですから、安定したものが求められるのは当然です。

「ホームランなんて狙わなくていいから、安定してセンター前ヒットを打ってくれ!」と。それはとてつもなく正論なんです。そう、正論。

参照:社内にエンジニア的な視点を入れたくないというお話。 | 隠居系男子

ただ、そもそも最終的なゴールを体験もしたことない人間にそれが想像できるわけがなくて。それこそ、巨匠が連覇を狙うために実行するための手法で、一般人がずっとこれを続けていっても、行き着く先は知れているし、絶対につまらない。

自分が「おもしろい!ワクワクする!」って思うものを自分と読者の丁度中間ぐらいに立って、試行錯誤しながら藻掻くしかない。そう、文字通り本当にジタバタと藻掻くしかないと思います。

その先に、自分知っている範疇を超えた驚く成果が待っているはずで、本当の成長もその先に待っているのでしょう。

最後に

そのためには、やっぱり“非効率である”ということが一つのヒントになるような気がします。

参照:「上手い素人」と「ヘタなプロ」の違い。 | 隠居系男子

あとは、再現性や継承という話も重要になってくるのでしょうね。

参照:スタジオジブリが企業として継承できなかったことの何がいけないのだろう? | 隠居系男子

以前も上記の記事で書きましたが、この部分について、もう少し自分としても深く考えてみたいなぁと思います。

それにしても、この対談が無料で聞けるっていうのが本当に素晴らしいなと。

必聴です。気になる方はぜひ聴いてみてください。

「日本のアニメ・映画の未来について」
鈴木敏夫のジブリ汗まみれ – TOKYO FM 80.0 – 鈴木敏夫

それでは今日はこのへんで。

ではではー!

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