社内にエンジニア的な視点を入れたくないというお話。

「なんで穴の空いたジーパン履いてるんですか?」

「汚いし、寒いし、動きづらいから、こっちのナイロンパンツ履きましょうよ!」

「このナイロンパンツ、ゴアテックスっていう高機能素材使っているから、雨にも強いし、風も通さないし、最高ですよ!」

「え、あっ…うん…」

さて、これは極端な話ですが、いま社内にエンジニア的な視点を入れたら、これと同じ現象が起きると思っています。

そして、こんな話を切り出されたら僕らは絶対に否定できない。どう考えても彼らの言っている事のほうが合理的だし、効率もよい。100%正しいことを言っていますからね。

でも間違いなく、この「穴の空いたジーパン」にも価値はある。その価値観を見出したくてやっているから、僕らは穴の空いたジーパンをこれからもしばらくは履き続けていきたいと思っているというのが今日の主題です。

一度失ってしまった価値観は、取り戻すことが不可能。

エンジニア的な視点が入れば、僕らが丸一日かけてやっていることが、1時間で終わる、みたいな話が山のようにあることは知っています。

エンジニア的な視点から見たら、僕たちがやっていることなんて絶対にあり得ないでしょうね。もう愚の骨頂だと思います。

でも、“効率”を社内に持ち込んだ時点で、失われてしまう価値観も絶対にあるはずです。もしそういった価値観が一度失われてしまえば、同様の価値観を社内で復活させることは非常に困難。それどころか、一生不可能かもしれません。

だって、その正当性を論理立てて説明することは不可能ですから。

上記のジーパンの話で言えば、皆がナイロンのパンツにナイロンジャケットを羽織って、「上下ナイロン最高だよ!だってそれが一番合理的だし快適で、絶対に間違いないからね!」って話で言いくるめられて終わってしまいます。

もし万が一、社内でもう一度穴の空いたジーパンなんて履いて出社しようものなら、全員に白い目で見らてしまうかもしれません…。

「穴の空いたジーパン」の価値感をわかってくれる人たちがいない場所で、あえて挑戦したい。

一方で、「穴の空いたジーパン」の価値観を理解してくれる人たちが世の中に存在しないかといえば、そうではありません。

リトルプレスや紙の雑誌界隈、日本の地方には同様の価値観を持った方々がたくさんいます。だからこそ、彼らはこの時代に“紙””地方”を敢えて選択しているのだと思います。

なので、そっち側に行ってしまえば、とても共感してもらえることもわかっています。

でも僕らはウェブで挑戦してみたい。これをまずウェブで始めることに価値を見出して、その違和感というか「なんでそこ!?」っていうところに挑戦してみたい。

ウェブ界隈には、頭がよくて、アイディアもあって、それを実現させる実行力も伴っている人が沢山いますが、「そんなことは絶対にやろうと思えない!」っていう人達が圧倒的に多いです。

だからこそ、僕らはここにめちゃくちゃ大きなチャンスが眠っているよなぁと思うわけです。

最後に

最近、徐々に徐々にですが「灯台もと暮らし[もとくら]」の“非効率性”に賛同してくれる人たちが増えてきました。

「あー、そうゆうことやりたいんだね!」「それは今までにはなかったから、おもしろいと思うよ!」と言ってもらえることも少しずつ増えてきました。

支えてくださる読者の方がいて、それをおもしろがって取材に協力してくれる方もいる。

自分たちが立ち上げたメディアではありますが、そうやって期待してくださる方々も増えてきたので、その期待にしっかりと応えるためも、引き続き“非効率性”を大切にしながら頑張ってみようかなと思います。

参考:“非効率”から生まれる発想が、真のクリエイティブだというお話。 | 隠居系男子

それでは今日はこのへんで。

ではではー!

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