どうも鳥井(@hirofumi21)です。
昨日こんなニュースが流れていました。
参照:中国製の日本語入力ソフト 入力情報を無断送信 NHKニュース
中国のGoogleと呼ばれる「百度」がこんなことはしてはいけなかったし、絶対に起きてはいけない事件ではあったのですが、これでまた中国のインターネット事情から日本人が離れていくのかなと思うと、なんだかなぁと。
この事件を、中国全体に蔓延する悪だと過大評価して欲しくはないんです。
日本人がちゃんとウォッチしていく必要がある中国のウェブサービスってたくさんあると思うのですが、日本はこれまでもそれらをしっかりと注視してきませんでした。
今回の件でまた更に中国のウェブサービスを毛嫌いしてしまう人が増えてしまうと、今まで以上に無視されていく可能性があるので、自分の思うところを少し書いておこうと思います。
百度の日本語入力ソフト 入力情報を無断送信
まず今回のニュースを簡単にまとめると、中国検索サイト最大手「百度(バイドゥ)」が日本語入力ソフトを無料で提供していたのですが、そのソフトを使って打ち込まれた内容を無断で外部に送信していたということらしいです。
特に、その日本語入力ソフトの一つである「Simeji」というAndroid用のソフトは、変換機能が優れていたため日本でも多くの人が使っていました。
まだ、実際に何かしらの被害を被ったという方がいるわけではないですが、やはり本当に安全かどうか確かめられるまでは、コレを使うのは避けたほうが良さそうです。
アンインストールする場合はこちらの記事がわかりやすので、参照してください。
参照:入力した文字列をすべて無断でサーバに送信していた「Baidu IME」削除方法 – GIGAZINE
日本人がもっと注視するべき日本のサービス
今回、百度がこんな不祥事をやらかしてしまいましたが、中国には独自の発達を遂げたウェブ関連のサービスや製品がたくさんあります。
日本ではほとんど話題になっていませんが、特に注目しておくべきは以下の4つかと。
微信(wechat)
WeChat – The new way to connect
中国版のLINEと呼ばれる微信。
現在、月間アクティブユーザー数が2億7千万人いて、日本のLINEが先月やっと登録者数3億人に達したということなので、そのすごさがわかると思います。
微信は最近決済システムに注力していて、中国国内で今一番勢いのあるアプリと言えるでしょう。ただし、以下の様なLINEに関するインタビューなどを読んでも、微信の名前が上がるようなことはほとんどありません。
参照:
WeChat β版で明らかになった新機能:まるみの日記:So-netブログ
「LINEはこれからもゲリラ戦をやっていく」舛田淳氏が語る、ユーザー3億を支えるチーム運営の不文律 – エンジニアtype
小米
「中国のスティーブ・ジョブズ」と呼ばれている雷軍が率いる中国国内でスマホを販売する企業。
特筆すべきポイントは、とにかくハイスペックで低価格だということ。一般的な同機能のスマホに比べて2分の1から3分の1の価格で買えてしまいます。
AndroidOSを中国国内で使いやすいようにカスタマイズしていたり、中国版Twitter「微博」を使ったマーケティングの上手さなどは、今までの中国企業ではあり得なかった新進気鋭の企業と言えるでしょう。
最近では香港や台湾でもネット販売され、わずか1分足らずで完売してしまい、その注目の高さが伺えると思います。
淘宝(タオバオ)
日本でも比較的有名な中国版楽天の淘宝(タオバオ)。
毎年11月11日に行われる1日限定のセールで、今年はなんと売上が5600億円に達しました。
参照:一日で5,600億円(350億元)の売り上げを叩き出したタオバオ|続・ウェイボーとタオバオの正体北京ログラス微博と淘宝 最新情報
商品に対する質問はすぐにチャットで返事が来ますし、それに伴う配送システムなども優れていて、既に日本のソレとは比べ物にならないほど発達していると言えると思います。
微博
中国版Twitterの「微博」。正確にはTwitterとFacebookを足して2で割ったような独自のデザインで、中国国内で広く使われています。
企業のマーケティングツールとしての使われ方も発達していますが、それ以上に個人の持つ力を引き出しているのが、微博の特徴です。それは以下の記事でも書いた通り。
参照:反日デモ最大級のあの日、僕は北京日本大使館の前にいた。 | 隠居系男子
最後に
こういった注目すべきサービスや製品が、中国国内から続々と生まれてきているにもかかわらず、今回のニュースでまたこれらが無視されてしまうのはやはり違うのかなと。
確かに日本はグローバルの基準なんてものは無視して、超ドメスティックなアイディアを持つモノをガンガン作っていくべきだと思いますし、それは今までもこのブログで何度も書いてきた通りです。
しかし、それと同時にグローバル・スタンダードになっていくような“機能”は、ドンドン得意なところからマネして取り入れていったほうがいいと思います。
参照:腰抜け愛国談義から考える「これからの日本は脇役を目指すべきだ」というお話。 | 隠居系男子
それを、中国全体に蔓延る悪だからと断絶してしまって全く注目しないというのは、やはりこれからの日本のウェブサービスが発展していく上でも非常に勿体ないことだと思います。
今回の一件で、そうならないことを祈るばかりです。
それでは今日はこのへんで!
ではではー!
鳥井弘文