【第1回】蔵前に店を構える革小物ブランド「Alt81」は、なぜウェブコンテンツに力をいれているのか?

alt81外観

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

突然ですが、今日から全5回で、インタビュー形式の記事を公開していこうと思います。

お話を伺ったのは、株式会社IchitogoManufactureの高崎真行さん(以下、高崎)。僕が以前から気になっていた東京都蔵前にお店を構える革小物ブランド「Alt81」の代表です。

蔵前の路地裏にひっそりと佇む「Alt81」というお店は、「灯台もと暮らし」の「蔵前特集」を通じて色々なお店を取材してきた僕らでも、どこか入りにくい雰囲気を醸しだしていました。

もちろん、モノづくりの街・蔵前に店を構えるブランドらしく、その商品である財布や名刺入れなどの革小物は、どれもトコトンこだわり抜いて作られており、とてもカッコいいのですが、なぜかウェブサイトのコンテンツもびっくりするほどクオリティが高いのです…。

「お店はとても入りにくい雰囲気を醸し出していて、ウェブコンテンツのクオリティも異様に高い…。」どうしてもその理由が気になってしまって、僕自身がその真相を確かめるために取材に行ってきてしまいました。

当初は「灯台もと暮らし」の方で公開しようとも考えたのですが、あまりにも伺った内容がおもしろくて、到底1記事ではおさまらず、僕の好きな話ばかりを伺ってしまったので「隠居系男子」の方でインタビュー連載企画としてお届けしたいと思います。

ぜひ最後までお楽しみいただけると嬉しいです。それでは、どうぞ。

「ものすごく入りづらいお店だからこそ、納得した上で買って欲しい。」

alt81高崎

ーー 突然ですが、今日取材に来る前にも色々と調べさせてもらったのですが、ものすごく商品の説明に力をいれていますよね?

高崎 そうですね。でもできる限り言わないとダメな気がするんです。本来はどういうブランドかが見てすぐにわからなきゃいけないと思うんですけど、そうありたくなかったというか。伝えなきゃいけないことはしっかりと伝えたい。だから分かりにくい部分はたっぷりと書いて、同様に接客もしっかりと説明したいんです。

ーー うんうん。

高崎 こういう形でやっているのでお店も、すごく周りからは入りにくいと言われてまして。僕らのお店、この蔵前界隈で一番入りにくいって言われています。(笑)

ーー あははは(笑)

高崎 そう言って頂いて、僕はそれが褒め言葉だと思ってるんですけども。なので、結構入るのに勇気がいるんです。でも、そこで入ってきてくれた方たちと色んな話をして、それで納得していただいた上で買っていただくみたいな形が良いと思ってます。

効率っていう面では僕たちのブランドのコンセプトを含め何から何まで効率があまり良くないって言われるんですけども、ただ、実現したいことっていうのが結局、その瞬間だけで終わってしまうことではないので。

お店に来たお客さんの滞在時間は、30分 〜 60分程度。

alt81高崎2

ーー お客さん入ってきて、どれくらいの時間で購入に至るケースが多いんですか。

高崎 そうですね、大体30分〜1時間くらいは悩んでから購入する方が多いです。

ーー それは、だいぶ長いですね!

高崎 お客様から「これってどうなんですか、あれってなんですか、どこで作られてるの、どんな革なんですか」みたいに質問されることが結構多くて。というのも、うちのお店ってふらりと入って来られる方が本当に少なくて、全体の2割くらいしかいらっしゃらないんです。

ーー あぁ、なるほど。目的買いでくるという感じですか?

高崎 そうですね。あとは、お客様が、お店の前を通り過ぎた時に入りにくくて、後からブランド名をインターネットで検索して来てくださるという方が多いです。だから、サイトで色々ご覧になっていて「ここは、こうなんです」って説明をする前に「これってこうなんですよね?」みたい話をされることも多いんですよね。

ーー うんうん。それってどういった方が多いんですか。年齢であったり、職業であったりなど。

高崎 年齢層は本当にばらばらです。10代の方はあまりいらっしゃらないですけど、20代から30代、30代の方が特に多いですね。40代の方も多くて、50代から60代、たまに70代の方もいらっしゃいます。全体的にこだわりの強い方が多いような気がします。

革や作りの事をあまりご存知でないお客様もいらっしゃるのでそういう方には専門用語を使わずに、これは子牛の革なんですよっていう話をしたりするんですけれど、ふと目を向けると、時計や靴にもの凄くこだわっていたり。

ーー あーなるほど。

職業はあまり詳しく色々と聞くわけにもいかないんですが(笑)

ーー そうですよね。何やっている方なんですか?とかあまり聞けないですよね。(笑)。革小物って買うタイミングがなかなか難しいですよね。結構グッて入ってしばらくずっと調べ続けてしまう。いろいろな雑誌や本、記事なんかを読んだりして、どこにしようか、ここにしようか、みたいに悩み続けて。そういう意味では、事前にかなり調べてくるという方は多そうですよね。

高崎 男性は特にその傾向が強いですね。

ユニセックス用の商品と、男性用の商品の違い。

高崎 実はAlt81を立ち上げる前に革のカバンとかお財布扱ってる会社で働いていたんです。

ユニセックスな色合いが強いブランドだったんですがそこで色々と勉強させていただいた経験をもとにやっても、全く反応がなかったという苦い経験がありまして…。

ーー あー、なるほど。

高崎 ユニセックスでは雰囲気や世界観っていうのがすごく好きな方が多いんですけれど、より男性目線になると、ものができるまでのストーリーなど、そのものを作る上でどれだけこだわったかや、どれだけ思いが詰まってるかみたいな話が共感を得るんです。

そこの部分を一生懸命説明するうちに、商品説明のテキスト量がスゴいことになってしまって。商品ひとつの紹介するにしても、1ページに2000〜3000文字入っちゃうぐらいまで商品説明が増えてしまいました。

バーチャルの接客のようなイメージで、ウェブコンテンツを作っている。

alt81イメージ

ーー いや、だから後半ぜひ聞かせていただきたいなと思ったんですけど、もう先に聞かせていただくと、来る前にも結構サイトを読ませていただいたんですよ。

高崎 ありがとうございます。

ーー そこで一番強く思ったのが、サイト内のコンテンツの数が、尋常じゃないなと。あと作りこみ方も、独自のイラストとかを入れてるじゃないですか。そこにビックリしてしまって。なぜあそこまでウェブコンテンツに対して力を入れているんですか?

高崎 そうですね、一番はやっぱりお客様に対して、それが自分たちのやるべきことなのかなっていう想いがあります。

お客様が住んでいる場所の近くに僕達が商品を卸せないことを、本当に申し訳ないなと思っています。店頭のような接客はインターネットだとできない。だから、その分店頭に来ていただいたお客様と同等、もしくはそれ以上の理解をしてもらいたいなと思い、コンテンツをつくっていたらあれくらいの量になってしまったんです。

ーー ということはもう、バーチャルの接客みたいなイメージで作られているんですね。

高崎 そう思っています。インターネットで買うお客様も店頭で買うお客様も同じお客様。でもやはり店頭は顔も見れるし、声のやり取りもできるから思い入れが強くなってしまう傾向はあります。だから僕らは購入する場所で垣根を作らずに、どこまで店頭の接客に近づけられるかに挑戦しなきゃいけないと思っています。

例えばインターネットで物を実際に手にとって触ることはできないけど、見ることはできる。だからできるだけ写真は大きな写真を使おうとか、結構詳しい所まで見れるような写真を使おうとか。

遠方の方のために、サンプルを送って確認してもらうサービスを始めた。

alt81商品

高崎 あとは、遠方のお客様には実際の革の質感や大きさ、重さがわからないということがあるので、実商品をお客様のもとへ送って確認してもらうというサービスを行っています。

どうしても革製品はちょっとしたことでも傷とか汚れがついてしまったりするので、貸出サンプル用に商品を全部別に用意して、ご依頼頂いた方にはそのサンプルをお送りしています。

ーー あれは、すごく良いサービスですよね。

高崎 そう言っていただけると嬉しいです。お客様からもあれだけしてくれるのは、すごい嬉しいと言っていただけるので、やってよかったなと思います。でも、それも店頭だったら本当は手にとって触ってもらえるはずのことなので、やっぱりそこまではしたいなと想うんです。

ーー それは、ブランドをスタートした当初から行っていたんですか?

高崎 いや、途中からですね。遠方のお客様からどうしてもお店に行けないんだけど、なんとか見ることできないのって言われた時に思いついたんです。物を実際に触ってみることは、革製品においてはすごく大切で、匂いだったり、手触り感や見た目、重さも触ってみなきゃわからないことってあるんです。

ーー 今のところ全商品でやられているんですか?

高崎 はい。

ーー どれくらい成約率というか、サンプルを送った人たちの中からどれ位の割合の人たちが購入に至るんですか?もちろん言える範囲で構いません(笑)。

高崎 成約率は、実はそんなに高くはないです。

ーー あっ、そうなんですね!

高崎 店頭だと本来はちゃんと説明できる所でも実際にお客様とお話をしながら商品を見ていただけるわけではないので、そこは難しいところかなと。ただ、やっぱり、実物の商品を見ていただけるっていうのは何よりもいいことだと思うのでこのサービスは今後も続けていきます。

★★★

明日に続きます。

【第2回】革小物ブランド「Alt81」がウェブコンテンツに力を入れるようになったきっかけとは? | 隠居系男子

それでは今日はこの辺で!

ではではー!

公式サイト:Alt81 -日本の考え方を形にする-「Alt81 Web Shop」

(写真撮影:タクロコマ 一部画像提供:Alt81)

スポンサードリンク