地方の財産は“人”であり、その繋がりを創り出すのもまた“人の生きがい”。

地域イノベーター養成アカデミー2013

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

ご縁あって、12月14日に「地域イノベーター養成アカデミー」の修了報告会に参加させてもらいました。

この「地域イノベーター養成アカデミー」とは、都内で働く20代から30代の若者を中心に、地方に実際に足を運び、そこでフィールドワークを行い、その地方の課題を解決するようなプランを創り出し提案するというアカデミー型の短期実践プログラムです。

まず結論を述べますと、非常に良いイベントでした!実際に現地に足を運び、4ヶ月間必死に議論してきたからこそ生み出される提案がそれを物語っていたと思います。

2010年からスタートし、今年で4回目となるそうですが、地方に興味関心がある若い世代には次回ぜひ参加してみて欲しいと思うイベントです。

このイベントを取材してみて、実際に自分が思ったことを中心に書いていこうと思います。

「地域イノベーター養成アカデミー」だからこそ見えてくる視点

今回の修了報告会は、各地域に配属されたグループが、4つの部屋に別れてそれぞれ30分ずつプレゼンを行っていくスタイルで、自分の興味のあるグループの話を各部屋に聞きに行くという形式でした。

各グループは3〜4人程度で構成されており、実際に僕が足を運んだグループは…

  • 宮城県・南三陸町
  • 三重県・尾鷲市
  • 鹿児島県・鹿児島市

以上の3グループ。どのグループの発表も大変素晴らしいもので、「地域イノベーター養成アカデミー」というプログラムだからこそ見えてくる視点が、詳細に語られていました。

以下で詳しく説明していきます。

地方は自然や食よりも、“人”が素晴らしいということ。

どのグループもしきりに主張していたことが、「自然や食よりも、その土地の“人”が素晴らしい」ということです。

プレゼン前半では、各地方の活かしきれていない資源、主に自然風景や特産物などに焦点を当て、それをどのような形で有効活用していきたいのかということを主張していくのですが、最終的にはどのグループも「その地域の人々を、もっと知ってもらいたい!」というところに行き着きます。

都心で仕事をしている若者が参加しているので、自然や食のほうが彼らにとっては非日常的で、そちらに惹かれても良さそうな気もするのですが、東北・関西・九州問わず、最後は“人の素晴らしさ”をアピールしていました。

現地の受け入れ先の人々とフィールドワークなどを通じて交流し、互いに繋がっていくことで、皆がこういった感情を抱くようになっていくようです。

特に、宮城県・南三陸町グループのプレゼンで「こんなド田舎に、こんなに面白い人がいるんだ!と驚いた。ぜひ都会に暮らす人々と繋げていきたい!」という言葉はとても印象的でした。

課題解決のミッションに、やりがいを感じる。

参加者の心境の変化で、もう一つ興味深い点がありました。

それが「課題解決のミッションにやりがいを感じる」というもの。

どのグループのプレゼンも、準備に相当な時間を費やしたであろうなと思わされる内容で、感心させられてしまうものばかり。

しかし、参加者の年齢層から考えても、日々の仕事に追われてそれをつくっている時間などないはずなのに、これだけ作りこまれたプランが提示されているので、「なぜこれほどまでにクオリティが高いのか」と誰もが疑問に思ってしまうわけです。

そんな中、鹿児島グループのプレゼンの際に、会場からこんな質問が挙がっていました。

「お金にもならないし、ご自身のお仕事でもないのに、なぜそこまで一生懸命やるんですか。そのモチベーションを教えて下さい」と。

この質問に答えた30代前後の女性会社員の方の答えは、以下の様な内容でした。

「人」との繋がりを感じたからだと思う。現地の人々だけではなく、一緒にミッションを取り組んだ仲間との繋がりも非常に充実したものだった。

今まで自分は、「仕事は自分一人で解決しなきゃいけない」と思っていた。しかし、この地域イノベーター養成アカデミーに参加して、「人に頼ってもいいんだ」ということに気付かされた。

いつも皆で笑いながらミーティングをして、それが凄く楽しくて、自分の普段の仕事場に戻った時もそれを実践できるようになった。仕事で辛い時は「笑えばいいんだ」っていうことも。

仕事への向き合い方に大きな変化があって、このイベントに非常に感謝している。

これは彼女個人の意見ですが、僕が会場で3つのプレゼンを見せてもらった限り、きっと他の参加者の方たちも皆同じような姿勢で臨んでいたんだと思います。

自分の仕事に満足いかない人が、本気で取り組める事を見つけられる。

このように、多くの参加者が「自分が訪れた地域の為になるようなことを創り出し、ここで出会ったメンバーと一緒に地域の課題を解決したい!」という姿勢で取り組んでいました。

このイベントに参加しているような人々だから当然のように思えるかもしれませんが、実はこれ、とてつもなくスゴいことです。

アドバイザーの方いわく「このイベントに参加するような人というのは、普段の仕事に満足できていない人。現状の仕事に満足していれば、ここには来ていない」と。

高校生や大学生が集まるような同様のイベントであれば、意識の高い子たちが普段の学業とは別の活動として集まってくるはずなので、こういった心境の変化は当たり前なのかもしれません。しかし、この場に集まっている人々は既に社会人であり、自分の仕事を別に持ち合わせている人々なんです。

そう考えると、上記の30代前後の女性のような心境の変化というのが、如何にスゴいことであるのか理解してもらえると思います。

OB・OGとアドバイザーからの言葉

今回の修了報告会では、各グループのプレゼンがひと通り終了した後、OB・OGとアドバイザーが助言をする「ネクストステップセッション」という時間が設けられていました。

既に1年以上地方と向き合ってきた方たちのお話は、受講生とはまた違った重みがあったので、一緒にご紹介しておきます。

最初は「この町絶対にイケる!」という自惚れた錯覚から始まる。

一番印象的だったのが、アドバイザーの方からのこのお言葉。

「地域イノベーター養成アカデミー」に参加するということは、日本の地方に興味があるということであり、期待度も高く、最初はかなりテンションが高い状態である。

受け入れ先の人々も、東京から若い人がやってくるというので、気合を入れて美しい風景や、とびっきり美味しいもの、面白い人達にも会わせてくれたはず。

だから「この町は絶対にイケる!多くの人が訪れるような地になる!」という自惚れた錯覚を起こしやすい。

しかし、過疎の町にはやはり過疎になるだけの原因があって、その原因をしっかりと突き止めないと何も始まらない。

受講生たちのキラキラした目で真剣に語られるプレゼンを聞いていると、「どうしてこんなに素敵な町が、過疎の町となってしまっているのだろう?」と不思議に思ってしまうのですが、アドバイザーの方が言うように、そこには必ず長年蓄積されてきた解決し難い問題があって、その解決というのは一筋縄ではいかないものなのだろうなと。

良い意味で現実に引き戻されるような助言だったと思います。

地方との継続的な関わりを持つことが、何よりも重要である。

これはあるOBの方の発言だったのですが、「どれだけ素晴らしい提案をしても、変化を好まない人が多い地方では、すぐには何も変わらない」ということ。

やるやると言いながら、自分たちが東京に戻ってきてしまうと、すぐに忘れてしまい結局やらなくなるのが地方の方たちの特徴であると。

継続的に足を運ぶことによって、「またあいつらがくるはずだから、前回約束したことをやっておかないとヤバいな!」と思ってもらうことで、徐々に町が変化していくのだそうです。

この助言も、しっかりと地方と向き合ってきた経験者ならではの視点であり、非常に有益なアドバイスだと感じました。

おわりに

アドバイザーの船木成記さんが、最後にこのイベントに関してとても素敵な事をおっしゃっていました。

このイベントは、養成アカデミーとあるように、大学のようなものである。

各グループは大学のゼミのであり、互いに切磋琢磨して、横のつながりも大切にして時に助け合い、時に刺激し合いながら日本の地域に貢献していって欲しい。

この「地域イノベーター養成アカデミー」は今年で4年目を迎え、毎年40人前後の生徒を輩出してきているらしいので、既に160名あまりの受講生がこのプログラムを修了していることになります。

これからさらに受講生が増えていけば、ここで生まれた新たなつながりが日本の地方を変えていくということも十分に起こり得ることでしょう。

「今の仕事になんとなく満足できていない自分がいる、でも仕事を辞める勇気はない。」そんな方はまずこのプログラムに一度参加してみることをオススメします!

今まで気が付かなかった、“生きがい”のようなものがここで見つけることができるかもしれません。

それでは今日はこのへんで!

ではではー!

鳥井弘文

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