『600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス』その秘訣は「圧倒的なほどの謙虚さ」

600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス (角川SSC新書)

クックパッドの2013年4月の月間利用者数は3,000万人超え!!どうも鳥井です。

さて今日は、最近kindleで読んだ『600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス(2009年)』の読書メモを書いてみようと思います。

この本は『リブセンス<生きる意味> 25歳の最年少上場社長 村上太一の人を幸せにする仕事』の著者でもある上阪徹さんが、クックパッドについて取材し、まとめたものです。

経営者的な視点や、ユーザー側の視点など様々な角度から分析検討しており、大変興味深い1冊となっています。

そんな本書の中で、クックパッドの成功を決めたとされる1番の理由が「圧倒的なほどの謙虚さ」

特に、創業者である佐野陽光さんへのインタビューで、随所にそのポイントが表れていたので、今回はその謙虚さがにじみ出ている部分にフォーカスして書いてみたいと思います。

送り手側の傲慢。

なにか新しいウェブサービスが完成すると、製作者サイドは自分たちが気づかないうちに傲慢になっており、ユーザーが思わぬ不便を被らされるということはよくあります。

例えば、検索窓。

「サイト内の検索をしたい」と思っても、検索窓が見つからなくてイライラしたということは誰もが一度はあるのではないでしょうか。
佐野さんは「これだけでもうアウト、ユーザーの信頼を失う」と言っています。

サービスの送り手というのは、知らず知らずのうちに、お客様やユーザーにあまえてしまうんです。
送り手側がこれくらいはできて当たり前だよね。ということを言語されないレベルで思ってしまう。
お客様からすればそれはとんでもない傲慢に映っているんです。

ネットも道具。

インターネットは新しいインフラなので、何か新しい感動や驚きを与えなければいけないと思いがちですが、実はそれが大きな勘違いで、ネットもあくまでも「道具」であるべきだと。

ユーザーである多くの女性は日常的にクックパッドを使っている。家族の料理をつくるための道具なのだ。調理器具や家電用品と同じように、キッチン用品としてなんの違和感もなくクックパッドというウェブサイも使えなければならない。コレがクックパッドの前提だ。

優れたものは無言語。

優れたものは無言語なんです。説明が必要なサービスというのは、やはりレベルが低い。いくら美しくても、ここを掴んでくださいなんて書かれたコップを使わないでしょう。美しさを重視したから説明ありで我慢しろ、こっちが大変だから説明させろというのは極めて傲慢な考え方なんです。

ここ数日、「最近のセブンカフェの様子」というのがネット上で話題になっていますが、あれも無言語化に失敗した例だと思います。現実・ネット問わずに非言語で伝わるもの、それが大切なのではないでしょうか。

あたりまえのことをやっているだけ。

正直なところ、当たり前のことをやってきているだけだと思っています。特別なことは何もない。ユーザーのことを考えれば、ふつうのコトです。ただそれを徹底して実現できたか、問われると思っています。最初から完璧なものは作れません。場のデザインをどれだけ微調整していくことができるか。そこにどれだけこだわりきれるか、ということだと思います。
(中略)
必要なのは丁寧なコミュニケーションなんです。丁寧なカスタマーの分析、丁寧なマッチング、丁寧なマーケティング、丁寧なコミュニケーション。それができるひとつのツールがインターネットであり、テクノロジーなんです。まだまだやれること、やらなければいけないことはたくさんある、と思っています。

このような思想は既に言い古されたことで、見飽きた事かもしれません。しかし、クックパッドが今までやってきた過程を見ながらこの発言を聞くと、かなりの説得力があると思います。ユーザーのつくってみた!を集めた「つくれぽ」や「広告と連動したコンテスト」など、ユーザーに愛されているコンテンツはこの丁寧なことを当たり前のように続けてきた賜物なのではないでしょうか。

ロジックがなければいけない。

ここまで読んでくると、ものすごく謙虚そうで、物腰も柔らかそうな佐野さんですが、バッサリ切るところはバッサリ行きます。
例えば、社屋移転の際のデザインについて、以下のように述べています。

ロジックがあるのがデザイナー。なぜこのドアをこっちに開くべきなのか、軸はどっちにあるべきなのか。動線の取り方や視線の取り方。それをプロのデザイナーはよくわかっています。ロジックのないアーティストには僕は全く興味がありません。会社として貴重なお金を投資するのに、目標目的に合致したこと以外はできません。

ただ謙虚であればいいというわけではなく、徹底的に考えられたロジックの上に存在する謙虚さでなければいけない。

それは、甘いだけでもいけないし、塩辛いだけでもいけない料理と同じように、そのどちらもが両立して初めて創り出される最高の出来なのかもしれません。

以上、僕が「謙虚さ」に関連して印象に残った本書の抜粋でした。

この他にも、クックパッドという会社の今までの道のりや、現在では当たり前となった様々なコンテンツの成り立ちが描かれており、読みどころ満載の1冊です!

興味がある人は是非手にとって見てください。

Kindle版600万人の女性に支持される 「クックパッド」というビジネス (角川SSC新書)もあります!

それでは今日はこのへんで!

ではではー。

鳥井弘文

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