ウェアラブルデバイスのようなテクノロジーとファッションの融合はApple1社では完結しない。

AERA×Apple  Love?Apple アップルはお好きですか (アエラムック)

このAERAの表紙好きでした、どうも鳥井(@hirofumi21)です。

さて、今日はウェアラブルデバイスとファッションの関係性について少し書いてみようかなと思います。

きっかけは、昨日読んだこんな記事。

バーバリーだけじゃない、ファッションブランドから次々人材を引き抜くアップルの狙い | 瀧口範子 |ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

今日はこの記事を読んで思ったこと、ウェアラブルデバイスのようなテクノロジーとファッションの融合はApple1社では完結しないということについて考察してみます。

テクノロジーとファッションの違い

この記事でも書かれているように、今Appleはスマートフォンに引き続き、ウェアラブルデバイスの分野に乗り出そうとしています。

それは前々から噂されてきたようなiWatchと呼ばれる腕時計型の製品はほぼ確実で、更にそれ以上のモノも開発されているでしょう。

そのためにAppleは、ファッション業界の重鎮たちを引き抜いて、テクノロジーとファッションの融合に躍起になっているということです。

では、これは本当にうまくいくのでしょうか。

確かに、Appleのことだから何かしら上手い見せ方をしてきて、新しく直感的なデバイスを作ると思いますし、信者と呼べるファンも大勢いるのできっと市場にも受け入れられると思います。

しかし、それが本当にファッションとテクノロジーの融合になるかといえば、そうではないはずです。

本記事でもこのように書かれています。

ファッション界の人間を招き入れるとは、たとえデザイン・コンシャスで知られるアップルであっても大きな転換点となるようなできごとである。テクノロジー製品は、いわば技術のロジックと生産の効率性で構成されていて、インダストリアル・デザインを極めていくところまでは理解できる。

 だが、ファッションとなるとかなりの飛躍だ。アップル製品の使い勝手のよさや、切り詰められたシンプルさ以上に、移り気で直観的で感情的といった要素が加わるのだ。

引用元:バーバリーだけじゃない、ファッションブランドから次々人材を引き抜くアップルの狙い | 瀧口範子 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

また、以前「『600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス』その秘訣は「圧倒的なほどの謙虚さ」」の記事でも書いたように、デザイナーとアーティストの違いにも近いものがあるのかもしれません。

ロジックがあるのがデザイナーで、ロジックがないのがアーティスト。

Appleが今まで創ってきた商品はまさに、ロジックありきのデバイスだったと思います。しかし、ファッションとなれば、ロジックだけでは人々は突き動かされません。アーティスティックな部分が絶対に必要になってきます。

ファッションは人それぞれ趣味趣向が異なる。

例えばそれは、インターネットを見ていても明らかです。

ファッションの分野において、ネット上でバズるということはまず有り得ません。iPhoneやAndroid端末など、新しいガジェットが発売されれば、当たり前のようにネット上でバズりますが、ファッションではそういった現象がなく、強いて言えば「ヒートテックが何万枚売った」とかそういう話でしょう。

先日、アレだけ注目されていたエディ・スリマンが、サンローランで復帰した時でさえ、そのニュースが世間的に注目されることはなく、あくまでもファッション好きのコミュニティの中で騒がれた程度です。

テクノロジーには答えがあるが、ファッションには答えがない。

テクノロジーには、大きな方向性としての答えがあります。ある程度の幅はもちろん存在しますが、全員が進んでいく方向性は明確なんです。

しかし、ファッションに置いては方向性すら存在せず、「戻ることさえも未来」となりうるのがこの分野。皆向いている方向がバラバラなんです。

これに関しては、以前Googleリーダーがサービスを終了してしまった時に書いた記事にも、同じような話を書いたことがあるので、ぜひそちらも参考にしてみてください。

参照:Googleリーダーの終焉から考える新しい時代の情報収集とは。 | 隠居系男子

スマートフォンの延長線上で、皆が同じものを使うウェアラブルデバイスは、腕同型のものまでが限界でしょう。メガネ型になったら、もうアウト。

ましてや、皆がリンゴマークの描かれた洋服を毎日着るわけがありません。

だれでも自由に使えるようなシステム

ではどのようにすれば、テクノロジーとファッションは融合していくのでしょうか。

僕はやはりApple1社が創り出す製品だけでは絶対に無理だと思います。

可能性があるとすれば、iTunesの時のように、誰でもカンタンに使えるプラットフォームを準備すること。

それに3Dプリンターのようなものを組み合わせれば、自分がデザインした洋服にウェアラブルデバイスの機能を組み込むことが出来るような仕組みを作ることだと思います。

ファッションという文化は、歴史的にみても、決して企業が作り上げたものではありません。“その時代に生きる人々”が創りだしたものです。互いに褒め合いディスり合い、そうやって色々な趣味趣向、文化が生まれてきたんです。

「歴史は繰り返さないが、往々にして韻を踏む」というように、きっとまたテクノロジーを融合させた新しいファッション文化は、人々が創り出していくんでしょう。

だからAppleに期待することは、堀江さんの宇宙論じゃないですが「誰でも作ることが出来るような環境を創りだしてしまうこと」なんだと思います。

堀江さんは、「誰でも宇宙に行けるようになれば、その中でなにか面白いことをやる奴が絶対に出てくる。そのためにも、自分がやることは安く誰でもカンタンに宇宙に行けるようにすることだ。」といつも公言していますが、まさにそれと同じ発想。

ちなみに、この話は以下のTEDの動画でみることができます。

最後に

バーバリーのコンサバ的な要素や、NIKEの最先端テクノロジーを駆使したムダのないデザインを取り入れた“製品”を作るのではなく、ぜひともAppleには、そのテクノロジーをだれでもカンタンに取り入れることが出来る“システム”を作って欲しい。

それは、iPhoneアプリのようにデジタルの無形物ではないので、かなり難しいことではあると思いますが、3Dプリンターのようなものが普及し始めている今だからこそ、時価総額世界一の会社にその分野で、また革命を起こして欲しいなと願います。

それでは今日はこのへんで!

ではではー!

鳥井弘文

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