J.Crewの日本再上陸はいつ?WIRED vol.9の特集にみるその魅力とは。

WIRED VOL.9 (GQ JAPAN.2013年10月号増刊)

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

日本から撤退をしてもう5年、J.Crewが最近また注目されるようになってきました。

今回は、WIREDの最新号に掲載されている特集「【HOW JENNA SAVED J.CREW:J.クルーを救ったジェナ・ライオンズの魔法】アップルにジョブズとアイヴがいたように、J.クルーには、背水の豪腕経営者”ミッキー”と叩き上げの天才デザ イナー”ジェナ”がいた。」を読んで思ったところを少し書いてみようかと思います。

J.Crewが忘れられない

今年の6月頃にNYに行った際に、一日フリーな時間が合ったので、その時間を使ってマンハッタンの色々なアパレルショップをまわってみました。

五番街のハイブランドがひしめき合う通りから始まり、そこから南下してファストファッションをひと通り眺め、SOHO地区のセレクトショップや路面店など見て回ったのですが、結局一番自分の印象に残ったのがJ.Crewです。

なぜ、これほどまで印象に残ったのか?

正直、自分でも感覚的なところが大きくて、具体的な理由が今ひとつ掴めていないんですが、その時考えた理由は以下の3つ。

内装が絶妙なバランス

J.Crewのお店は決して広くはありません。もちろん、セレクトやブランドの路面店なんかと比べれば広めですが、他のファストファッション、ユニクロやH&Mなんかと比べれば、少々狭めです。

しかし、内装に窮屈さを感じること無く、逆にゆったりと見られるような陳列になっていました。ファストファッション特有のあの威圧感はなく、ここはポイントが高かったです。

スタッフさんがオシャレ

男性スタッフ、女性スタッフどちらも、J.Crewの商品をいい感じに着こなしていて、まさにそのままマネしたいと思えるような、こなれた感じが非常に好印象ででした。

どこもブランドやショップのイメージを植え付けたいがために、やり過ぎなコーディネートになってしまっている中、そういういやらしさは全く感じられません。

セレクト商品も置いている

これが一番意外だったのですが、結構しっかりとセレクトの商品を置いていているんです!

おなじみのニューバランスから、オールデンや小物類など、決して浮くこともなく見栄えが良くて、かなり目立つ位置に陳列されていました。

「あ、ファストファッションのお店だけど、ファストファッションじゃない!」って直感的に思ってしまう雰囲気。

WIREDの特集は期待通り

こんな印象を抱いていたので、WIREDの特集は結構楽しみにしていたんですが、やはり読んでみて納得。

こんな思想で店作りに取り組んでいたら、そりゃあ頭一歩飛び抜けたお店になるだろうなーっていう拘りっぷり。

そんな中、特に気なった点を2つ上げておきます。

クリエイティブサクセス10箇条

  1. いいアイディアは悪いアイディア
  2. 企業体質はオフィスに表れる
  3. むやみに成長を追いかけるな
  4. あえてリスクを冒せ
  5. これから5年でできることを考えろ
  6. 顧客の立場で考えろ
  7. 品質の高さはコピー出来ない
  8. 感情を読み取れ
  9. 上場はするな
  10. うまいローストチキンは難しい

ここで具体的な内容に言及すると、長くなってしまうので、気になる方は本書を読んで欲しいのですが、この10箇条、まるでベンチャー企業みたいですよね!

古い体制に囚われることなく、進化し続けようと努力する姿勢が垣間見える、良い10箇条だと思います。

第三者の商品を扱うこと

上記で書いた「セレクト商品も置いている」というところに繋がる話ですが、J.Crewがどういった想いでセレクト商品を扱っているのか、そこに言及している部分があったので引用しておきます。

第三者商品を扱うことは、J.Crewにとって新しい戦略だったが、注目を集めるかもしれないとミッキーは考えた。なぜならデザインチームは、職人の手で作られた美しいレザーブーツをわざわざ再現しようとはおもわない。それがレッドウィングというミネソタ州の企業が100年以上前からやっていることだとしたらなおさらだ。だからJ.Crewは外の世界に門徒を開くことにした。「うちがやるよりもずっといいものがあれば買う」と、ミッキーは外部とのコラボレーションについて説明する。その例は既に100を越える。

キュレーターのようにほかブランドの商品を取り揃えることもブランディング戦略のひとつだ。ハンドメイドのオールデンのコードバンのロングウィングチップシューズが25足あったとして、それを1足710ドルで売ったとしても、小売店はたいして儲からない。しかし、J.Crewが丁寧に商品をセレクトしていることを強く印象付けることができる。「人は希少性のあるものが大好きだろ」と、ミッキーは言う。そしてその希少性に惹かれてやってきた人々が、シャツやパンツを買うのだ。

自分も、セレクト商品の見せ方がよかったと書いておきながら、実際に買って帰ってきたのは20ドルもしないTシャツでした。そう考えると、まんまとJ.Crewの罠にハマっているんだと思います笑

日本の大手セレクトショップとの決定的な違い

日本の大手セレクトショップは、ハイブランドのセレクト商品と自社のオリジナルブランドの商品両方を持っているのに、それを完全に分離して考えているフシがあります。

たとえば、ユナイテッドアローズなんかはまさにその代表例。原宿本店でハイブランドを扱っていながら、BEAUTY&YOUTHやgreen label、coenなんかもやっており、そこは完全に住み分けられています。

原宿本店に行く人は、絶対にgreen labelやcoenの服を着ることはありませんし、アローズ側もそういった提案を一切していません。

しかし、J.Crewの場合であれば、原宿本店にも置いてあるようなオールデンの靴と、20ドル以下のTシャツを一緒に提案するわけです。

コレって、本当は極めて日本のストリートファッションに近い合わせ方なのに、日本のセレクトではそれを提案しないんです。

あくまで消費者側がそうやってきているというだけです。不思議でしょう?

そして、この一連の流れって何かに似てますよね…?

appleとSONYの関係と類似

appleとSONYの関係です。appleは、apple製品の中で有機的な繋がりを創りだして、ひとつのapple IDで全ての商品を紐付けられるようにしています。

Mac Proを使うような人だって、ジムに行く時にはきっとiPod shuffleを使うだろうし、そうゆう人も使う前提で提案されている。

しかし、SONYの場合は、それぞれの商品が完全に独立していて、全く結びついていません。SONYの商品やサービスを使う人は幾つものアカウント所持を義務付けられるという始末です。

SONYのウォークマンシリーズのエントリーモデルはあくまで中高生がターゲットであり、家に50インチ以上のBRAVIAを置いて、そこにPS3を繋げている人ではありません。

でもappleの成功の秘訣は、もともとSONYのウォークマンであり、井深大・盛田昭夫の精神が受け継がれているという…。

最後に

今の時代、人々のライフスタイルは多様化し、高いものを着ている人間が常に高いものを着ているというような時代ではなくなりました。普段は安いTシャツ、短パンで過ごし、夜に外食する時は少しいいジェケットに腕を通す。というカタチです。

そういった人々のライフスタイルに合わせた提案をしていくことが、これからは求められているような気がしています。そして、その提案を今一番リアルに提供できているのがJ.Crewなんではないでしょうか。

はやくまた、日本にも再上陸して欲しいですね!

あ、今回ご紹介したWIREDは電子版でも見ることが出来ます!詳しくは以下のサイトから。
雑誌『WIRED』VOL.9:特集は「オープン・ガヴァメント」 << WIRED.jp

それでは今日はこのへんで!

ではではー!

鳥井弘文

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