先日もご紹介した東京大学総合教育研究センター准教授・中原淳さんと元プロ陸上選手・為末大さんの対談本「仕事人生のリセットボタン ── 転機のレッスン」。
参照:東大生がバイトするなら、家庭教師よりもスタバのほうがいい理由。 | 隠居系男子
この本の中で、もう一つご紹介したい部分がありまして。
それが今日の題名にもあるように「チーム(会社や組織)」での働き方について、です。
「ここは『永住する場所』じゃなくて、『経験を積む場所』なのです。」
早速引用してみましょう。
中原 会社では離職する人はいますか。
為末 ほとんどいないんですが、実は今、卒業を制度として組み込めないかと思っています。うちの会社はプロジェクト型で動いていますし、一生いる場所ではないと思うんですね。先生に分析してもらった通り、僕も三、四年周期で変化を好みますし。引退して一番楽しかったのは、オフィスに起業したいという若者が来てその支援をしている時ですね。将来はそんな新しいことをはじめる人の中に包まれていたい。そうすると一〇年うちの会社にいますという人はいない方がいいと思うのです。
中原 そういう感覚に共感してもらえる人に入社してもらえるのなら、何の問題もないのではないでしょうか。僕も似たようなこと考えています。僕は、自分の研究部門のメンバーには、「僕の研究部門を踏み台にしてください」とはっきり言っています。中原研には、たくさんの研究プロジェクトがあります。そこには他ではなかなか得られない「経験」があるのです。それは僕が意識して創ります。ただし、ここは「永住する場所」じゃなくて、「経験を積む場所」なのです。でも、これは言うのは簡単なんですけれども、なかなか大変です。だって、出入りが激しくなりますよね。みんなすぐに跳躍していくから(笑)。
働き方の流動性を高めていく。
いかがでしょうか。
僕はこの話を読んだ時にすごくおもしろいなあと思いました。
最近よく「お金の流動性」の話が話題にあがりますが、働き方ももっともっと流動性を高めていく必要性があるのではないかなと。
会社はいつ辞めたっていいし、そしていつだって戻ってきていい。
下記のブログでまとめられている家入一真さんの連続ツイートも、とっても同意です。
参照:「会社をやめたい」という人を引き止める経営者は、マジで無能だ。 : まだ東京で消耗してるの?
自立して成功や失敗を繰り返すから、他者の苦悩や葛藤に対しても理解できるようになる。
従来の会社組織のように、雇用者と被雇用者の関係性で硬直化してしまうから、上の人と下の人の熱量や温度感にドンドン差が出てきてしまって、その中にお客さんが生まれてしまう。
そうではなく、各々が一個人として確立することによって、チームとして組んだ時にも互いに依存することなく上手に機能するようになるんだなと。
以前も書いたように、これはとても逆説的なんですが、個人の時代だからこそ、チームの時代であるということを最近強く実感しています。
参照:多動力は身につけるものではなく、開放するもの。 | 隠居系男子
フリーランスのような仕事をすることで、その立ち振る舞いの中から多くを学び、何度も成功や失敗を繰り返す。だから、他者の苦悩や葛藤に対しても理解ができるようになるし、依存関係にならないようにいられるんだと思います。
昨日イベントでもご一緒させていただいた柿次郎さん率いる「ジモコロ」チームや、藤本さん率いる「のんびり」チームもまさにそんな感じでとても理想的な関係性でした。
参照:「魔法をかける編集」(インプレス)出版記念トーク『のんびりジモと暮らし』藤本智士(Re:S/のんびり)×徳谷柿次郎(ジモコロ)×鳥井弘文(灯台もと暮らし) | かもめブックス
最後に
以前も書いたように、自身の「やりたい!」があるからこそ、他者の「やりたい!」もしっかりと尊重できるようになり、共に働く仲間がその人らしく成長発展していけるよう、気づかうことができるようになる。
参照:チームで「何をやれるのか?」よりも、ひとりの「やりたい!」を実現したほうが断然おもしろくなる。 | 隠居系男子
一方で、この流れはとてもシビアな価値観も求められるようになるとも思います。いよいよ実力主義の社会になってきたとも言える。
参照:生産性向上・副業OK・パラレルキャリア前提の社会は、雇用される側にとって残酷な社会となってしまうのか? | 隠居系男子
そんな時に大切になってくるものは、「ホームといえる何か」なんじゃないかなと思うんです。
「ただいま」って言える場所、思える場所があること。
それがこれからものすごく大切になってくる気がしています。
株式会社Waseiや「灯台もと暮らし」というメディアもそんなホームと思ってもらえるような居場所にしていきたい。
いよいよ働き方に関しても、次のフェーズに入ってきた感じがします。
いつもこのブログを読んでくださっているみなさんにとっても何かしらの参考になれば幸いです。